Bob Dylan - Like a Rolling Stone
先日、マスメディアのハレとケ。/TVのバラエティを叩くより報道検証企画を求めたい。という記事を書きました。 その中で最近のTVバラエティは悪意の面白さを追求しすぎているという様なことを書きましたが、これは具体的には月曜から夜ふかしだとか、イッテQだとか、スター名鑑だとかゴッドタンだとかそんなバカなマン辺りを指しているのですが、こうしてみると今の面白番組ベストラインナップじゃないかw これはつまり旧来のTV番組のつくりだとネット等の辛辣な感性の批評から阿呆扱いされてしまうことから、毒気を増すことでエンターテイメントのつくりをアップデートした結果だと想います。 この十数年、TVのあらゆるところに"お笑い芸人"が蔓延し役者やミュージシャン、スポーツ選手なんかもかなり"面白いコメント"が出来る様になった感が今はあります。 一時期流行り言葉になった"空気を読む"なんかもお笑いがTVに飽和したことから生まれたのではないかと私は考えています。それは同時に旧来の笑いがコモディティ化した故にTVでの"お笑い"がエクストリーム化していると。 これは個人的には弊害もあると感じていて。というか、<みな"お笑い"をやれるようになってユーモアに満ち溢れた楽しい世の中>になるかと想ったら<窮屈な"空気読め"な国>になってしまった。 これはボケ・ツッコミの本質として<異端をマジョリティの立場から嗤うこと>を孕むからだと想います。ツッコミ或いは"いじり"というのがボケ扱いされた人間からするとハラスメントに感じる事、あるのではないでしょうか。オネエやハゲは嗤っていいと安全圏にいるつもりの人でも他者を嗤う人間は自分も一歩"普通"から外れると嗤われる。 "自分の中の絶対的な基準"に沿って行動できる人は良くても"空気を読む"小心者の人は誰が主導しているわけでもない、しかし集団が生み出す鵺のような"空気"に圧力を感じているのでは。 年を重ねオジタリアンやオバタリアンのように図々しくなれればいいけれども、ナイーヴな十代はかなり他人の顔を伺いながら息苦しさを感じているのではないか、そしてそういう"空気"をつくる一端はこの国を覆う"お笑いと悪意"なのではないか。というのはメディアのパワーへの妄信でしょうか? 実は"お笑いの害"への対策はかなり明確にあって。年壱で出川や山ちゃん、狩野辺りが集まってACとかのCMで「俺たちはお金を稼ぐためにショーとしてバカにされても楽しそうにしているんだ。今、笑われることで心につらさがあっても周りが喜んでいるから嬉しいと想おうとしていた君、つらい時はつらいと言っていいんだよ。怒っていいんだよ。空気を読むことなんかより、自分を大事にすることが大切な事なんだ」とかやるといいのではないかなーなんて思います。 しかし実際問題、他人が喜ぶって嬉しいことだし、私もtwitterやblogやるくらいには承認欲求をこじらせている人間ですから、ネタに生きるプライド、みたいなものも理解できます。とは言え、自分を犠牲にすることで笑いを取るのはやっぱり禍根を残してしまうのではないかと想うのです。 LINEとかで裸を晒してしまう女の子を例に出すまでもなく、後々思い返して自らに大きな傷を作ってしまう対価に"その場の快楽"では余りに足りない。もし人を喜ばせるとしたら"本当の芸"でするべきではないか、そう思います。 と、同時にTVに於いては"本当の芸"より"茶化したフリートーク"の方が数字を獲れてしまうのが苦しいところで。「神ってる」が「流行ってない」と言われるのが顕わすのは旧来の本物の芸の王様である"野球"が存在感を失い"趣味の一つ"になった今。 ネットによって趣味が細分化された現在に"大衆"を相手にするマスコミが最大公約数のコンテンツとしてお笑いフリートークに頼るのは理解できます。そして、本物の芸を持つ人が本当の芸を魅せることをしなくなることで更にTV芸しかないTVから人が離れていくという。 勿論TVは寡占事業ですから、パワーが完全消滅することはないでしょう。最近もフリースタイルダンジョンや逃げ恥がムーヴメントを起こしていますし、TVは一定のプレゼンスを保持するでしょう。芸人の"人間力"はますます増していくことだと想います。ただ、"板の上のファンタジー"と”その人の素”は区別されるべきで、その人の素の人間性が酷いからと言って排除していった結果が、しゃべくり芸のみがのさばるTVなのだとも思います。 さて、TVのお笑いの害への対案はそんな感じですがTVの笑いをエクストリーム化させたもう一つの"悪意"、"2chに代表されるWebのヘイトな罵詈雑言"は2chを潰せばそれで済むということでもなく、カストリ紙のような"低俗の正義、悪辣の誇り"によって批判も蛙の面にションベンですし、何よりも不味いのがネットが無ければそういう罵詈雑言を知ることもなかった子供がいきなり悪い大人の言説に触れる状況が起きてしまっているということ。 この冷笑的な空気の蔓延が、呪いの言葉が呪いの言葉を呼び、「汚い言葉や欲望の発露が<本音>なんだ」となってしまって<本音>をあけすけに言うことが持て囃される。これは<空気を読む>ことが余りにも強いられることの裏返しかもしれません。 ネットに書かれる<本音>。2chに書かれる便所の落書きの他、今年の流行語にも選ばれた<日本死ね>への反発もニュースになりました。言葉の下品さに眉を顰める"一般人"、「これは社会の歪に苦しむ人々の魂の叫びなのだ」という"良識派"。目的を重視するか手続き論を採るか。私はこれに関しては言葉の裏にある社会の暗部に対するアクションこそが最も重要だと想います。 <日本死ね>というのはあくまで煽りで、本当に伝えたいことは働くためには保育園に入れないといけないのに入れられない苦しさ。言葉の裏側にある現実の苦しみを想像したい。 それと同時に「チョン死ね」等のヘイトの言葉が書き連ねてある2chに対しても「あいつらはクズだ」と断じ、唾棄するのみになるのは悲しみを生む構造の根本的解決を放棄していると言えます。個人的体験では、攻撃的になり人に対して呪いの言葉を放ち続ける人は大きなストレスを抱えていたり、社会や他者から否定され続けている状態だと想うのです。 これを「怠惰な連中のゴミのような繰り言だ」とするのは簡単ですが、Brexitやトランプ勝利はこうした"マイノリティにパイを奪われるマジョリティ側の不平不満"の発露、いや"魂の叫び"でした。それはこの国でも安倍氏が首相の座をこんなにも長く続けて居られることに既に現れている事象。 汝の敵を愛せよではないですが、ネトウヨに対してモラルを振りかざして非難するのは言ってみれば対症療法で、根本治療のためには2chを始めとしたネット上のヘイトの裏の社会のストレスを緩和することをして初めて解決があると想います。 "<日本死ね批判>批判"の人も、立場が変われば同じ態度を"異教徒"に取ってしまっています。2chねらーのみじめさ、哀しさに、保育園レスのママへの思いやりの1/3でも分けてやって欲しい。そう想うのです。 日本のTVお笑い文化とネットが醸造した<空気を読むことの強要、悪意な本音、冷笑>、それに対抗するには"本音2.0"が有効なのではないかと私は考えております。 思春期の頃なんかは捻った思考をして世の中を斜めにみることが格好良く感じる向きがあって。真面目がカッコ悪く感じたり、"賢しい"ことが格好よく"世の中をハックするのが格好いい"みたいなことがあったかもしれません。しかしその成れの果てがDeNAのような虚業だとしたら。 寧ろ真っすぐな正攻法こそ学ぶべきもので、オリジナルな捻りは自分自身から自然と出てくるものではないかとこの年になると想います。無論、新しい技術を積極進取するのは一番大事で守旧的なマインドになっては淘汰されてしまいますが。 そこで発言するときに"本当にそこまでの悪意を言いたいと想っているのかな"というのは自問したい。或いは"真面目とか真っ当って気恥ずかしいけれど、自然に<それいいよね>とか思うこともあるよな"ってことも。 今はSNSとかで"みられる自分"を意識して、自意識に苦しむ人も多いかもしれません。今現在承認欲求に苦しんでいる人は、捻じれた自意識を芸術作品に昇華させられたら勿論最高なのですが、それが難しい時は困ってる人を助けたりしたらすげー素晴らしいことだと想います。 Webではニッチなスウィートスポットを追求し、リアルでは感性合う人などSRなので承認要求を爛れさせるより"必要とされること"を黙々とやるのが格好いい。 何も物凄い社会問題のボランティアをしようというわけでなくて、身近な人の"必要としている助け"をすることは素晴らしく貴いことだと想うし、"ヴォランタリーな奉仕"に賞賛が贈られる社会って、全然いかしてると想います。そういった意味で気の利いたサーヴィスにチップを払う海外の文化って面倒だけど、好意/行為に感謝を示す風習というのは悪くないのかも。 そうして”無理に過激を装わない<本音>を見極めること”の上で、"衝突から逃げずに対話によって<本音>と<本音>を刷り合わせること"が一番大事だと想います。 この<対話>という部分が最も大切で。"ネトウヨ"だとか"パヨク"だとか、相手をレッテル張りして人間として扱わないことでは何も解決しないし、寧ろ政治的な部分だけをピックアップして話すから対立が激化してしまう。礼儀を忘れずにファクトベースで合意形成の論議をしていけばいい。 また友達との間のSNS疲れなんかでもそうですが、<言いたいことは言う。しかしちゃんと伝え方を工夫し、良い距離感を維持する>のが理想で。自己欺瞞せず、偽りをする必要はなく、そこで自分の意思を伝えて具現化させるのがコミュニケーションだと想います。 そういう"人間関係"をやろうと想ったら、自然と付き合える人数は少なくなってしまうかもしれません。人間が管理できる数は150人までである。さらに、最大で5人までの親友を持つことができ、仲のいい友だちは15人までが限界だみたいな話もあります。 そうなると"対話もいいけれど炎上して1:Nの関係で多数と相対しなければならなくなった時どうする?"と言う話があると想います。この時はまた別の方策が必要ですが、目に見える人間集団の中で"コイツめんどくさい奴だな"と想われても、本音を話せる対話の努力をする、或いは自分がつらくなった時につらいことの愚痴や相談によって伝えるスキルを磨くことは有用で。 そしてコミュニケーション能力・政治力だけでなく<本物の芸を磨くこと>が世を渡っていく上で一番な戦略となってくれる、そう思います。本物の芸として板の上で歌舞くこと、そして素の旨みはレジリエンスの範囲で隠し味として効かせる。それが"伝達の力"で相乗効果を生む。そう<本音で>想うのです。 cf. ●続・アドラー心理学 <幸せになる勇気/黒い十人の女/天> ぬくもりという名の獣道 ●自衛隊教官が教える「訓練を乗り切る隊員と急に折れる隊員の違い」とメンタルヘルス(togetter) ●おもてなし大国・日本の「思いやり指数」は世界最低レベル(DIAMOND Online) ●正義の人たちがインターネットを殺した(マイルドヤンキーにさよならを) ●2016年の音楽界を振り返る 西寺郷太 X 柴那典 X 宇野維正 X 田中宗一郎(WOWOWぷらすと) Bob Dylan,My Back Pages, Glasgow, 9.04.1995 Bob Dylan, Lenny Bruce
by wavesll
| 2016-12-12 21:49
| 小噺
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