草間彌生展、ドチャクソヤバかった。くらくらした。富士山からの“21世紀の草間彌生”にガガガツーン喰らって。そして初期からの画のその情念、(男根を打ち出してるから敢えていうけど)女には敵わねえなあと。そして『天上よりの啓示』、こんな蠢く生命の構造体初めて見た。文句なし。お勧めです。
と直後にTweetしたのですが、これだけでも情熱は伝わるかも(笑)
新美に着くと
なんと平日にしてチケット売り場に行列が。流石ミュシャ&草間は凄い。10分ほど並んでチケットを買えば中での並びはなかったです。
草間彌生展、最初の展示は
『生命は限りもなく、宇宙に燃え上がっていく時』という富士山の絵画。
これは浮世絵の原画で、その浮世絵展にも行っていたので感慨深かったです。ってかこんなにデカい原画だったのか…!
そして次の広間が一気に開けてドガーンと作品の焔がExplosionしている『連作「わが永遠の魂」』。これがもの凄い熱量。
公式Webサイトに特設ページがあり、撮影可だったので後で写真載せますが、このグワワワワとくる炎のような熱源は現場で体感してこそだと想います。
私は
『星のすみか』『初恋』『人間達の営み』『行こう、空の彼方へ』『私に愛を与えて』『開花の季節に涙するわたし』『永遠の美』『恋は呼んでいる』『人間愛の果て』『悲しみの日々を超えて』『心のすべて』『空の一隅』『天空の祭り』『生きる喜び』『ふるさとへ帰りたい』『原爆の足跡』『宇宙の足跡』『祭りの中の群衆』『死が訪れた瞬間』
が好きでした。いや、全部で130点あるというヴォリュームで。水玉の連弾にはアボリジニのアートのような鮮烈なスピリチュアルを感じたのですがスタッフの方に聴くと特にアボリジニアートへの参照はないとのこと。彼女にとっては水玉はまさしく世界がそう捉えられるという表現。
さて、第二部に入ると白黒の線画でやはり水玉のぽつぽつがある人物画
『(無題)』等の初期作品が。
繰り返される水玉は姿を変えてNY時代は「YAYOI KUSAMA」が羅列され貼られる『文字の集積』、「VIA AIR MAIL」が繰り返し貼られる
『Airmail Stickers』、数々の顔写真のコラージュをアリの巣のような線がうねり貫く
『顔の集積No.2』へと変幻していきます。
そして
『The Man』という作品を始め男根がうにょうにょ生える作品が勃発。男根を顕わすであろう突起物の作品群をみていると、水玉というか斑点に関しても性的なモチーフなのかもしれないという想いに駆られました。
アボリジニの話でいうと、ウルルには女陰とされる部分があったりもして。ただどちらかというと水玉/斑点は性病の湿疹というか、
鈴木其一の点苔のような自然から生まれる不気味な生命力を感じました。
『自己消滅』『自己消滅#2』ではポップアートのようなヌードを伴う作品をみせ、『Kusama's Self-Obliteration 草間の自己消滅』というビデオ作品ではハプニングというパフォーマンスアートの様子も。
また文学作品では"自殺"、"陰茎斬り"、"男娼"、"心中"、"精神病院"といったキーワードが並び此のおどろおどろしさが後に『連作「わが永遠の魂」』のような原色の明快さにネガポジ反転するのだなと。
そんなネガポジ反転の象徴がカボチャ。銀紫金の『南瓜』の輝きが素晴らしくPOPで。美術館の外にも巨大な『南瓜』がありました。
また
『生命の輝きに満ちて』は1965年の『無限の鏡の間』にプロトタイプを持つ、電飾と鏡の無限空間作品。時空に放り出された気持ちになりました。
帰国後の作品1970-2000では蛾や蝶が飛び交う『自画像』や、『闇に埋れる我青春』、『みどり色の死』、『魂のをきどころ』、『暁の蕾』、『戦争の津波』、『無名戦士の墓』、『戦争』、
『自殺した私』、
『水に映った蔭』といった一連の作品の陰鬱な情念に降参。草間彌生には敵わないし、女性の情念の前では男の陰鬱なんてなんと甘っちょろいものなのだろうと想わされました。
そして次の部屋がこの展覧会の最大の輝きで。
水玉の連関はネクストレヴェルへ行き、おたまじゃくしの
『魂を燃やす閃光A.B.Q』、草間彌生流のエネルギッシュなボタニカル作品『一億年の星屑』、瀧のような、幹のようなモノクロ作品
『よみがえる魂』、ちんぽこちんな突起物が可愛い無限に上下に伸びる梯子の『我ひとり逝く』に加え、
『天上よりの啓示』、この蠢く赤、黄緑の小丸、草間彌生の作品からは常に生命の蠢動を感じますが、これほど生命力にあふれた絵画は稀有で、ほとんどありえないくらいのエナジーを感じました。これは生で見て欲しい。
最後の部屋では黄色と黒の触手・樹枝の
『黄樹』、"実家の商売からだというけれど草間さんはカボチャに出逢えて良かったなぁ"と思わせる
『かぼちゃ』、そしてその発展形
『黄樹リビングルーム2017』も"草間彌生の世界に住む"といった感じで感銘を受けました。
さて、そうしてまた『連作「わが永遠の魂」』の間へ。写真撮りまくってしまいました。これ、ネタバレになってしまうかもしれないし、せっかく本物を観れるチャンスが今あるのだからこのインパクトは変に先入観なく現場で先に見て欲しいです。と、いうわけで、もう見たという方向けとして写真を載せます。
会場外では観客が水玉のシールを貼って完成させる作品『オブリタレーションルーム』が。最後の最後まで楽しませてくれる素晴らしい展覧会でした。
おまけ(5/9追記)
GINZA SIXの白赤南瓜、上から見るか、横から見るか、下から見るか