欲望の民主主義 世界の景色が変わる時 第1・2章 第3・4章 第5章
![]() 第6章 二つの「革命」 建国よりフランスが掲げてきた「自由」「平等」「博愛」 マルクス・ガブリエル:哲学者 民主主義の倫理 他者への想像力とは ガブリエル 「民主主義と呼ばれるものの基本的価値観はここパリで18世紀の終わりに定義されました。言わばルネサンスの成果です。もっと具体的に言うならもちろん平等 自由 連帯です。 これらは基本的価値観で民主主義が人間社会で推し進めるはずのものです。問題はそれが真に意味するものです。この問いに答える唯一の方法は哲学にしかありません。 古代ギリシャでの創造と破壊においても哲学は基本的なものだったのです。18世紀にはヨーロッパでも同様のことが起きました」 民主主義の創造と破壊 ジャン=ピエール・ルゴフ:社会学者 / 作家 ポピュリズム隆盛の仕組みは…混沌から秩序へ? ルゴフ 「私にとって政治とは一種の文明です。私にとって政治とは一種の文明です。さまざまな流れがあります。保守主義的な見方もあれば人間への悲観的な見方もあります。 さらにそもそも人間には永遠に破壊的欲動があるとも言えるでしょう」 破壊的な欲望 ルゴフ 「特に政治における大きな危険の一つは純粋主義です。この”人権”の概念には純粋主義の面がありました。しかし人権とは民主主義的な価値からのみ成立しているものではありません それにも関わらず…この人権の概念が広く共有されていると考える”大きな幻想”があったのです」 幻想…? ルゴフ 「その幻想とは”誰もが善人で思いやりがあり悪は人間の中には無く外にあるのだ”、”悪が生まれるのは悪い社会と悪い制度があるからだ”という考え方です。 善人を作るためには自分が認めた国家から指導されれば良い…この思考は既にフランス革命の時に含まれていたのです」 世界の民主化に大きな影響を与えたフランス革命はある男の残した言葉が礎となっている ジャン=ジャック・ルソー ルソーは社会契約の重さについて言う 単なる欲望の衝動に従うことは奴隷状態だ。自然状態から社会状態への移行。その時、本能と正義が、欲望と権利が入れ替わり、自分のことだけ考えていた人間は、初めて理性の声を聞く -ルソー 理性の声を聞いた人間は一般意志の存在に目覚める。個人の欲望を抑えて、常に公共の利益を目指すのだ。 「主権とは、一般意志の行使に他ならない」 一般意志を求めて、絶対王政下の市民たちは反旗を翻した。アンシャンレジーム、すなわち、当時古いと思われていた王の支配の体制を変革。近代国家を誕生させたのだ ダニエル・コーエン:経済学者 経済格差への抗議?庶民にとって民主主義とは コーエン 「”一般意志”という考えは18世紀の観点で考えるととても興味深い。ルソーはどうすれば王の権力に対抗できるか考えていたのです。 まず王の権力がある。この権力に対して”一般意志”という概念をぶつけたのです。 まだ民主主義ではないけれど 途上にある中で一国における最高権力とは何か?根本的な疑問を発したのがルソーです」 王の権力に対抗できる最高の権力 コーエン 「しかし 今日この考えを使えば不幸なことに悪い結果を導くでしょう。”国民”、”人民”という概念を用いるとその多くポピュリズムに行き着きます。 ”国民 人民の名において”と語るのです。しかし"人民"は既に存在せず。もし仮に存在するとしても王に対抗する観念としてだけだと思います。 また一人の人間が民衆の言葉を代弁する事にも不安を覚えます」 人民が燃え上がったフランス革命。だが、その有り様は当時痛烈に批判した男もいた。エドマンド・バークだ。 アイルランド出身の哲学者にして、政治家。彼が捉えていたのは人間の性だ。いたずらに現状からの変化ばかりを求めてしまう、人間という生き物。 実際、急進的な革命後のフランスは恐怖政治が巻き起こり、あざなえる縄の様に逆行する動きが生まれる。 我々の本性の抱える大きな過ち…それは、次から次へと飽くことなき欲望の追求の果てに手に入れた全てのものを失うしかないことである -バーク 時に、純粋な夢は 破壊的欲望へと形を変えてしまうのか?そして歴史は繰り返すのか? マルセル・ゴーシェ:政治哲学者 / 編集者 「思考や感情、欲望…実はどれも一緒です。何かを欲望するのは思い描くことができるから…人は情緒的な理由で思考を維持します。理性的な理由ではないのは明らかです」 思考=感情=欲望? ゴーシェ 「フランスはとても矛盾した国です。無政府主義かつ権威主義の国ですから。時期によってその"針"は大きく振れます。 絶対自由主義の大きな動きがはっきり表れ広がっていったのは68年からです。これはフランス社会を大きく変えてしまいました」 ルゴフ 「一つ目の革命はもちろん民主主義を誕生させた革命です。しかし私にとってもう一つの革命 68年の「5月革命」は1789年のフランス革命と同じくらい重要な意義を持っています。 どちらも民主主義全体に関係した重要な問題をはらんでいます」 フランスにとって忘れられない、もう一つの革命。それは戦後最大の危機とも言われた1968年の5月革命だ。 教育制度の改革を求め、パリの学生たちが起こした暴動。それがきっかけで、政府に不満を抱く労働者や市民たちも加わり、町中が破壊される事態となった。 この動きは日本をはじめ、豊かさを享受し始めた世界の国々にも広がっていった。だが、その急進性から人々の支持を徐々に失っていく ルゴフ 「第二次大戦後 特に60年代、世界は急速に変化し大きな変貌を遂げました。そしてフランスはある時期に何もかもが停止するのです。 この革命は経済と科学技術の発展の時代…言わば”栄光の時代”に起きました。新しい歴史的状況で育ち戦争を知らない若者世代が消費社会に反発したのです」 消費社会への反発 ルゴフ 「誰もがこの革命について語りました。”我々がいる社会は何なんだ?”と…マルクス主義をベースとする多くの分析 批判が沸き起こりました。 そしてもう一つ68年の革命について問われたことがあります ”近代国家はなぜ必要なのか?”、”どこを目指すべきなのか?”」 近代国家はなぜ必要なのか?どこを目指して? ゴーシェ 「1968年 街はとても荒れていました。私は21歳でした。政治運動にのめり込んでいったのは15歳の頃です。"左翼"の”反スターリン派”で… 68年は私が15歳からの活動の意義を確認するための年でもあったのです。しかし想像したようにはうまくはいかず その後政治哲学を学び始めました。 まさに民主主義についてです。私を大きく成長させました」 ルゴフ 「68年の5月革命の≪不可能な遺産≫はさまざまな概念を根本的に変えました。教育の概念など今までの歴史が完全に断絶され、重要な慣習、文化などが捨てられ… 個人の自立性ばかりが強調されたのです。その一方で”支配と圧力”の同義語のような権力や国家制度のヴィジョンが表れたのです。 国家体制と個人の間に生まれた新しい関係が民主主義国家の中心で発展することになりました。」 個人と国家の間に生まれた新しい関係 ルゴフ 「同時にこの影響は分断も生み出しました。社会的階層における分断、新しい層と大衆層の分断です。 近代化への変化からグローバル化から完全に取り残されてしまった階層と”すばらしい!あそこに向かって進もう”と現代へ向かって先端を行く社会階層と2つの対極にある階層が生まれたのです」 学生たちの反乱が鎮圧され、革命の火が消えると共に、消費社会の論理が雪崩れ込む この時から既にグローバル資本主義への助走は始まっていたのか 加速化する欲望の資本主義 もはや経済の論理ばかりが社会の争点となる 富める人、貧しい人 人々の両極への分断を深めていく… 急速に変わりゆく世界情勢もまたフランスを自由主義経済へとのめり込ませていく 欲望の資本主義が世界を覆った末に、見えてきた 風景 歴史は終わらなかった。人々の分断と共にテロや難民と言った新たな問題を招き寄せていくこととなる。嵐をしのいだ後に、本当の嵐がやって来るとは、人々はこの時まだ気づかなかった 欲望の民主主義 世界の景色が変わる時 第7・最終章 欲望の民主主義 世界の景色が変わる時をみて cf. 欲望の資本主義2017 ルールが変わるとき 第1章~第3章 第4章~第5章 第6章~第8章 第9章~最終章 『欲望の資本主義2017 ルールが変わるとき』をみて
by wavesll
| 2017-05-31 21:43
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