第69回正倉院展@奈良博レヴュー

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正倉院展をみてきました!
あべのハルカスでの北斎展から谷町四丁目G CURRYでの牛すじGカレーを挟み、近鉄奈良駅についたのは13:14分位。

”どれくらい並ぶのだろう?去年の正倉院展では1.5hくらい並んだな”と想っていたら、なんと全然列が短い!北斎展や京博の国宝展に美術クラスタが分散したのかもしれません。

開場に入るとすぐに目に飛び込んでくるのが上にも画像を載せた≪羊木臈纈屛風≫。

ろうけつ染めの屛風。日本でつくられたことが確実だそうですが、実は天平期に日本には羊がいなかったそう。伝搬した西方文化に心躍らせ想像の翼を羽ばたいた古代の人々の思いが素晴らしい。

また、見ている内に気づいたのですが、木の幹をエメラルドグリーンの猿が登っていて。尖っているというより円やかなハイクオリティの美しさが正倉院好みですね。

この隣にはもう一つろうけつ染めの屏風である≪熊鷹臈纈屛風≫が展示してあるほか、≪臈蜜≫の展示も。ミツバチの巣から作った蝋なのですね。

≪鳥花背八角鏡≫は鳳凰、麒麟、狻猊が描かれた鏡。≪槃龍背八角鏡≫は双竜と亀の鏡。また≪緑綾帳≫は青銅色に美しく、≪木画螺鈿双六局≫の木画という技法も面白かったです。

正倉院展では古代の楽器が去年も展示されていましたが、今年も大理石製の縦笛の≪玉尺八≫と樺巻装飾の縦笛の≪樺纒尺八≫が笛の音と共に展示され、西方の竪琴≪漆槽箜篌≫はオリジナルと再現品の二品が展示されていて、ロマンが掻き立てられました。

そして≪碧地金銀絵箱≫は本展覧会の白眉の一つ。エメラルドブルーに金と黒で彩られたヒノキ製の箱は英国茶会にでも出てきそうな玲瓏さがありました。

≪蘇芳地六角几≫は仮玳瑁というタイマイのようにみせる加工が面白かった。

≪玉長坏≫と≪玉器≫はウイグルのホータンからの素材でできた逸品。古代の行路にワクワクします。

≪緑瑠璃十二曲長坏≫もハイライトの一つ。下からのアングルも鏡でみれ、エメラルドのような緑の透明な美を愉しめます。そしてよくみるとウサギの文様が彫られていて◎

≪金銅水瓶≫も印象的な逸品。注ぎ口の鳥の意匠も面白いですが、首の処の幾何学的なデザインがロボロボしていて気に入りました。

≪犀角坏≫はインドサイの角の盃。≪斑犀合子≫はサイの角の腰飾り。古ならではだなぁと。

鼈甲の蔓が巻き付いたようなカタチの≪玳瑁杖≫は今回の一番うれしい発見の品でした。プリンスみたいなハートのデザインが面白い≪錫杖≫も良かった。

水晶・真珠・瑪瑙などでつくられた≪琥碧誦数≫は青ガラスが泡のような≪雑玉誦数≫や水晶が雫のような≪水精玉≫と合わせて麗しの宝石ショッピングで売って欲しい◎念珠の箱である≪亀甲形漆箱≫も黒に金のロゴが真に好い感じでした。

≪東南院古文書 第三櫃 第十八巻≫という東大寺の荘園に関する越前国の報告書は本筋とは関係ないけれども「糞」という漢字が書かれていて、”古代のフォントハンターだったらこの「糞」は使いたいな”と想いましたw古文書だと紀伊国・淡路国の決算報告書、阿波国の納税基礎数報告書である≪正倉院古文書正集 第三十七巻≫も細い字で綺麗でした。

≪黒瑠璃把白銅鞘金銀珠玉荘刀子≫はメスみたいな古代の小刀。≪沈香把仮斑竹鞘樺纒金銀荘刀子≫も木を巻き付けた技巧が面白かった。

また≪紐類残欠≫という水晶玉の腰飾りの網袋の組みひもは『君の名は』効果かもと。

≪赤紫黒紫羅間縫帯≫はドット欠けの美。≪雑帯≫は古代のギンガムチェック。≪最勝王経帙≫は経巻のつつみで迦陵頻伽が描かれていてその残片の≪組帯残片≫も印象的。そして竹ひごで編まれた≪竹帙≫が”これはアフリカか!?”と想う位ヴィヴィッドで好きでした。

聖語蔵からは≪阿毘達磨大毘婆沙論 巻第七≫の筆運びが美しくて良かった。また鳩摩羅什の経典を写した≪仏説菩薩蔵経 巻下≫もありました。

国宝展、北斎展からするとデザート的な見応えでしたが、正倉院展をデザートにできることに此の秋の関西のアート展の底知れなさを感じます。

国宝指定の基準の一つに”他に類のない独自の意匠”というものがあるそうですが、≪羊木臈纈屛風≫なんかはその域に達していると感じたし、その他≪碧地金銀絵箱≫や≪玳瑁杖≫など幾つも素晴らしい名品があり、好い展覧会でした。
by wavesll | 2017-10-30 08:29 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)
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