フランス人間国宝展 at 東京国立博物館 表慶館が素晴らしかった

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東博・表慶館にて開かれたフランス人間国宝展に最終日に行ってきました。

日本の通称人間国宝(重要無形文化財の保持者)認定を基に、フランスにおいて認定されたメートル・ダール/Maître d' Artの保持者たちの作品群。日本伝統工芸展とか好きな人にはかなり響きそうな展覧会でした。

まず入ると陶芸家ジャン・ジレルの≪Tennmoku(天目)≫が。
曜変天目の再現としては瀬戸の陶工の長江さんの方が見事なように感じましたが、ジャンさんの作品もメタリックな天目として愉しめました。

そして奥に入ると鼈甲細工、革細工、金銀細工の部屋が。

クリスティアン・ボネによる鼈甲が光に透ける≪花瓶≫はアールヌーヴォー的な卵にもみえて。セルジュ・アモルソによる革鞄≪クフ王≫シリーズは品の良さと格好良さを非常に感じさせられました。

そして≪グラス チューリップ≫がメインヴィジュアルにも使われたロラン・ダラスプの金銀細工。
ファンタジー世界の砦のような≪パンチボウルとレードル≫、銀の枝が伸びる≪枝付き燭台≫、≪キャビア船≫、≪トレイ≫、≪ゴブレット≫も好いし、コップで表現された≪ドン・キホーテとサンチョ・パンサ≫なんてのも。≪一輪挿≫も粋でした。

階段を上に上がると麦わら象嵌細工、壁紙、真鍮細工の一室。

フランソワ=グザヴィエ・リシャールによる和紙の壁紙≪オービフォールド≫が明暗の変容をするライティングに映えて。

その中に包まれるナタナエル・ル・ベールの真鍮細工が何しろ素晴らしい。

アーク・ノヴァのような≪マヨルカ≫と≪無限≫。臓器のような身体性を感じさせる≪灰色≫。≪トルソー≫というなの壺。肺がイマージュさせられる≪呼吸≫。金と黒の須恵器 子持高坏のような≪テーブル オペラ≫、緑・黄緑、そして木の茶の≪テーブル シャイアン族≫。そして本展随一の印象を受けた黒孔雀のような≪テーブル 春の月≫が美事でした。

リゾン・ドゥ・コーヌの≪ルクソール≫という家具もシックとゴージャスが両立していて素晴らしかった。

第四室は 傘、扇。これがまた素晴らしく良くて!

ミシェル・ウルトーによる傘たち。椿姫な≪日傘 日本≫やレースがひらりとする≪花嫁≫、≪イシス:豊饒の女神≫の舞う赤。老婦人が持ってたら凄くイイ感じの≪パゴダ≫、確かにアール・デコな≪アール・デコ≫や確かにアフリカな文様の≪アフリカ≫。

跳ねるデザインの≪突風≫や植物な白岩感のある≪フォンタンジュ嬢≫、淑女のスカートの中を覗いてしまったようなコケティッシュさのある≪土星≫、赤が映える≪日傘 スペイン≫、本当に上品な落ち着きのある≪銀杏≫、どれも素晴らしかった。

そしてシルヴァン・ル・グエンによる扇がまた好くて。日本で生まれた扇子が現代フランスの感性でリファインされていて。

”こんなのありかよ!”というようなボウボウが出た≪イソギンチャクの夕べ≫や、立体の羽根の≪香り立つポップアップ≫。そして透明な”トゲ”がでた≪ウニ≫、≪ホワイト・ウェディング≫も立体的で。前衛扇子。

四角と丸のカタチの≪非対称なスルタン妃≫や畳むと三角形になる≪ピラミッド≫。珊瑚の様な柄の≪ゴルゴン≫、抽象画な≪セルジク≫にそれが折り目で立体的になっている≪セルジク 折り紙≫、空に風に流れる雲が描かれた≪風の神アイオロスに捧ぐ≫や、≪マラルメに捧ぐ≫も美がありました。

菱形の折り目達がついた≪ダイヤモンド≫や広告が織られた≪200%≫、PSのゲーム『IQ』のようなヴィジュアルの≪格子(ピックに捧ぐ)≫や人の顔とグラスのだまし絵が描かれた≪ジュリエット・グレコ≫。≪孔雀の太陽≫も美しかった。

対になる白鶴が表現された≪鶴≫、立体裁断な≪星々のきらめき≫、木の感じがいい≪秋の夕暮れ≫にクリスタルも使われた≪カロリーナ≫。柄の部分が蓮な≪蓮(黒/革)≫にまさに黒蓮が表現された≪蓮(黒)≫。

ヴェールがついた≪霧氷の花びら≫に広げた時逆三角形になる≪トライアングル≫、マジシャンのような≪ホワイト&ブラック≫といい、非常にアヴァンな扇、大変愉しめました。

そして吹き抜けの空間を抜けるとピエトロ・セミネリの折り布が。

まず目に飛び込んでくる≪トレーン≫が凄い!黒い鳳凰の尾のよう!圧倒され、思わず”すげぇな”と呟いてしまいました。

そして≪権力者≫、≪強さ≫、≪義務≫はどことなく東洋というか、スルタンな感じを思わせる作品。≪力の荘厳≫は鎧のようで、≪隠遁者≫は恐竜の鱗のよう、≪深き淵より≫も美しい黒の連なりでした。

第6室は銅盤彫刻、紋章彫刻、エンボス加工(ゴブラージュ)

ジェラール・デカンの紋章彫刻による≪明日≫はガラスに動物たちを浮き上がらせる連作。金の円柱の≪方舟≫とこれも動物が彫られた≪陶印≫も良かった。

ロラン・ノグのエンボス加工による≪構造と動き≫はミニマムな複雑性というか、白地に立体的な構造が編まれていて、”こんなの家に飾ったら最高の空間になりそう”と想いました。

≪ITO≫は細い糸のような線で幾重にも円が重なる作品。紙に死神などがエンボス加工で画かれた≪黙示録≫も。

リアルな大和絵のような金色の空を見上げる≪雲1≫、≪雲2≫や≪三連作 風景≫も素晴らしかった。

さらにファニー・ブーシェの≪継承≫は神域の空間が広がっていて。白いふわりとした布の花の上に銅の球が浮かんで。感銘を受ける、非常にシンボリックな逸品でした。

そして階段を降りるとネリー・ソニエによる羽根細工が。

花を中心に植物が羽根で形づくられる≪沼地のはずれで 蜜採集≫や羽根で竜魔がつくられた≪ドラゴン≫、木のウロが羽根によってつくられて金の虫が這う≪窪み≫の感じなんかアルチンボルドに通じるものを感じて。

アクアリウムのような≪ツグミと鯉 分け与える≫や実際の林檎の木に羽根を飾った≪夏の盛り 思いがけない樹木≫なんて作品も。

そして最後の部屋はエアニュエル・バロウによるガラス作品。ガラスの巨大な波があらわれている≪探究≫には金沢国際ガラス展でみた作品群を想い起しました。

この展覧会、フランスの現代工芸を観ることが出来てなんか世界が広がった気がしたし、表慶館の建築も凄く雰囲気があって行って良かったです。今後も表慶館で開かれる展覧会、ちょくちょくチェックして行こうと想いました!

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by wavesll | 2017-11-27 21:28 | 展覧会 | Comments(0)
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