安室奈美恵 Past<Future を聴 小室期を越えるような邦洋融合の好盤

安室奈美恵 - Wild (dailymotion)


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本年で引退する安室奈美恵さん。私が彼女を最初に見たのは安室奈美恵とスーパーモンキーズとしてNTV夜もヒッパレ!に出ていた辺りでしょうか。時は小室プロデュース真っ盛り。

当時の自分にとって巨大すぎるTK Produceの歌手達へのまなざしは今でいう秋元グループのような一種敵視にも似た存在だったのですが、安室奈美恵さんには敵愾心を持つことは薄かったように想いだします。生来のスター性があるとはこういうことなのかもしれません。

そして時代が小室から宇多田や98年以降の世代へ移っていったとき、私自身はアルバムを聴くことはなかったのですが、安室さんの活動が音楽的にどんどん面白いことになっているとは良く伝え聞くようになりました。

ジブラ等と組んだSuite Chicに始まり、よりコアな音楽の魅力へ。けれどTV芸能から姿を引いた彼女の活動スタイルは「意識しなくても音を聞く状態になっている」をPOPの定義とすればPOPとしての存在感が薄くなりロック・リスナーな当時の自分には関わらないままゼロ年代が過ぎていきました。逆に小室楽曲を色眼鏡でみなくなると”素晴らしいじゃないか”なんて認めるようになったりした00-10年代でした。

ゼロ年代以降の彼女の活動スタイルは唯一無二というか、TVに出るわけでもYoutubeも完全にコントロールし、Spotifyを以てPRするわけでもない、されど絶対的なファン・ベースがありパフォーマンスが更新されていくという点で特異で、日本の音楽業界として最大期から生き残るプロフェッショナルな大物という風格があります。


『BEST FICTION』というex小室のベスト盤の次に出したこの自信に満ちたタイトル。いざ聞くと「これは…いい!」と。

恐らく自分の耳が邦楽中心から洋楽中心に変わったことでメロディーの抑揚がそこまでなくても聴けるようになったからというのもありますが、硬質で色恋沙汰が歌われるR&Bのエッセンスに、マーティの言うようにに未来的なエッセンスが鏤められてJ-POPとしてのメロや表現の美味しさと洋楽的なハードさが融合したサウンド、今の耳で聴いてかなり好きでした。

確かに英語の発音などはネイティヴ洋楽と比べると粗く感じたりするのですが、逆にそれが「J-POPさ」にも感ぜられて。洋楽を追いかける内にドヴァっと凄い粒子が発せられたような、音楽の新領域に届いた好盤に感じられました。

このアルバムが特異点なのか、それともまだまだ宝玉のように煌めく楽曲が眠っているのか。五輪のテーマソングだった「HERO」なんかは余り響かなかったので、全てが全て最高の盤に感じられるかは不明ですが、安室さんの最後の一年に、彼女の全貌を聴いていけたら、その中で綺羅星のような楽曲を見つけられたらと思います。本音言うとサマソニに出てくれるのを期待しちゃうけど◎

by wavesll | 2018-01-21 16:40 | Sound Gem | Comments(0)
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