
みなとみらいの横浜美術館にて開かれていたモネ展。モネ自身の絵画の他、現代美術に浸透したモネの華がみられて。春にみた
ビュールレ・コレクション展での印象派の流れの最後に、米国現代美術家にオールオーバーの祖として見出された≪睡蓮≫があったのも印象深いですが、この展覧会ではそこから現代に繋がっていった潮流がみれた気がしました。
今回はモネからの流れだと感ぜられる現代美術家の作品も展示していますが、その大きな集団にU.S.のアクション・ペインティングの一派がいます。ウィレム・デ・クーニングもその一人。
≪風景の中の女≫だったり
≪水≫はモネが睡蓮で魅せた風景の抽象化を人物画において更に進めた感じ。また
ルイ・カーヌ≪彩られた空気≫は金網を使って描いた”色の影”が新鮮で。2013年作の
≪WORK 8≫の透過する絵具も印象的でした。
そして想像以上に素晴らしかったのがロイ・リキテンシュタインの作品。アメコミを駆使した作品で有名な彼ですがドットで描かれた
≪積みわら≫に、メタリックな鏡面と実線の有無を使って實界と水面をポップに描いた
≪日本の橋のある風景≫!これが複雑な意図をなんとも簡便に表していて本当にみれて嬉しかったです。
ここから睡蓮をモチーフにした一連の作品群が。
最後の部屋はWWII以降の現代作家たちの絵画たち。
サム・フランシス≪無題(WC00956)≫はアンフォルメルの作品。青と紫が印象的でした。同じく
サム・フランシス≪Simplicity≫はポロックのよう。ジャン=ポール・リオペル≪絵画≫もアンフォルメルな一枚。そして
アンディ・ウォーホル≪花≫の多重性も確かにモネ的ともいえそうかも?もしこの展覧会の瑕疵を一つ挙げるならポロックの作品が欲しかったですね。
そして本展覧会の一つの白眉だったのが
福田美蘭≪睡蓮の池≫。高層ビルのリストランテのガラスに写り込んだテーブルクロスを睡蓮の葉に見立てた、モネが決して描かなかった夜景の逸品。さらに横浜展ではその朝の光景を描いた
≪睡蓮の池 朝≫も展示されていました。
そして最後の部屋で格別に存在感を放っていたのは
小野耕石≪波絵≫。小さな立体が粒粒に並べられて、3次元の筆触分割とも言えるような概念を破る作品。
モネという水脈がいかに豊かなユニヴァースを拡げていったかがよく分かる非常に愉しい展示でした。現代美術への導入としてのモネというコンセプトが素晴らしかったです。