



奈良国立博物館にて正倉院展をみてきました。
開催初めての日曜でしたが、9:15頃に着いて、列がさくさく動いて30分程で入場。途中でヴィジョンで作品もちらりとみれるしいい感じ。
今年の正倉院展は玳瑁(タイマイ)と螺鈿が凄かった!生で観るとその立体的な厚みがなんとも迫ってきて!これは画像では分からない直にみるからこその感動。
≪玳瑁螺鈿八角箱≫は赤い宝玉や厚みのある螺鈿、そして玳瑁の美しさは是非最前列で感じて欲しいです。あと茶の銘品に玳玻天目という碗がありますが、これは恐らく玳瑁からきているのでしょうね。
そして
≪平螺鈿背八角鏡≫も螺鈿の厚みと琥珀のきらめきが美しくて、なんともぎらめく銀虹の螺鈿に会場に入っていきなり心奪われました。
今回なかなか粒ぞろいで、
≪山水図≫は布に描かれた奈良時代から残る山水画。サッサッと描かれた筆致のシンプルさが祖だなぁと。また
≪縫線鞋≫という二足の靴はそれぞれトルファンと唐から伝わったもの。紙や麻でつくられ、ペイズリーみたいな柄も入った素朴だけど洒落た品でした。
正倉院展というと刀子が毎年きらりと光るのですが、今年の
≪三合鞘御刀子≫は柄の部分の黄色い渦のような柄がなかなかいかしていました。また中国の端午の節句に五色の糸を巻く風習に使う
≪百索縷軸≫という糸巻やまだらに二色の≪雑色縷≫という糸の出品も。
第一会場でもう一つのピークとなった作品が
≪沈香木画箱≫。鹿や麒麟、花が四角の面に描かれ、葡萄唐草模様の美しい文様や木目をいかした装飾が本当に綺麗な箱でした。また
≪粉地銀絵花形几≫は白と黒の台なのですが、縁の装飾がまた好くて、さらに脚が蛇というかマーライオンみたいな衣装で綺麗でした。
第二会場へ。
正倉院展には楽器の出品が毎年なされていて面白いのですが今年は楽器特集も。その目玉が
≪磁鼓≫。磁器で出来た三彩の二鼓で、緑と白と黄色の柄がまた好かった。磁器で出来た鼓は大変珍しいそうです。どんな音がするのだろう?
その他にも
≪鼓皮残欠≫や、箏の弦を受ける柱の部品である
≪筝柱≫はデザインもアーティスティックで。また
≪新羅琴≫のなんとも温かい木製の質感に心あがりました。いつか記念年とかに正倉院の楽器たちを再現したレプリカとかでオーケストラ演奏とかして欲しいなぁ。
他にも古代の衣裳の裾である
≪錦紫綾紅﨟纈絁間縫裳残欠≫もとても大きくてこれだけでもスカートになりそうだと想ったほどだし、≪花氈≫・≪色氈≫というフェルトの布地や佐波理という銅・錫・鉛の合金でできたスプーン
≪銅匙≫や
≪白銅剪子≫という鋏の品も。今年は新羅にゆかりのある品が多かったように感じました。
≪佐波理加盤≫は古代のティファールのような重ねて収納できる器でした。
最後の部屋で”おっ!こんなのもあるのか”と感銘を受けたのは
≪未造着軸≫。巻物を巻き取る為の軸が正倉院に収蔵されていたとは。結構透明感があって綺麗で。≪軸端≫は巻物の軸の端に刺す部品。透明感のある弾丸のようなフォルムでミスタのセックスピストルズに蹴らせたくなるかっこよさでした◎
そして後半のクライマックスは
≪犀角如意≫。孫の手のような仏具なのですが、犀の角、象牙、そして瑪瑙が入った水晶などきらめくばかりの美があって、花草模様の本体では赤に塗られた地の処には緑の宝玉、緑に塗られたところには赤の宝玉があしらわれて。素敵だったなぁ。
ありがたいことに近年何度も訪れることが出来ている正倉院展。今年も素敵な収蔵品を愉しむことが出来た幸運に感謝。