北風(ニシブチ): 沖永良部島に生きた人と唄の記憶、このCDを知ったのは渋谷タワレコのワールドミュージックコーナー試聴機でのことでした。
強烈な三線のビートメロディになんとも力強い歌が乗って。”こーれはヤバいな”と想いつつ、その時は買わなくて。
今年は11月まではCDを全然買っていなかったのですが、ジャニスの閉店で盤買いのチャクラが開いて”あぁそういえばアレまだあるかな?”と調べるとタワレコ新宿にあると知り、買った次第です。
自分はこれを聴いたときに”沖縄の島唄か、けれどこの武骨さは凄い” と想ったのですが、よくよくみると沖永良部島、奄美と沖縄本島の間にある鹿児島県の島。西郷どん最終回を視た後にCDを聴きながら解説を読むと、西郷隆盛が島流しにされた島で、西郷どんのことを謡った曲も収録されていました。
タイトルの『ニシブチ』の『ニシ』とは『北』のこと。『ニシブチ』で北吹き、つまり北風をさすそうです。
冷たく乾いた北風が吹く日は三線もよく響き、喉も冴え高音が出ると唄者(ウタシャ)やジューテー(地謡・三線奏者)は述べるそう。
此のCDは1995年の8月、ダレヤメ(晩酌)をしていた林正吉さんと林茂さんがその夜がニシブチなことに気づき、その時腎臓透析を受けていた正吉さんが最期に歌を録音しようとポータブルカセットデッキで録った音源を中心に、正吉さんと茂さんが録りためていたものを編集したものだそうです。正吉さんはこれらを吹き込んだ翌月に入院、そして3年間の闘病の末、お亡くなりになったそうです(ライナーノーツより)
ニシブチの力も獲た、この三線のなんたる力強い音色か、そして発せられる声が生命力、魂が鳴っていて。最初2000年に発売され、今回2018年に再プレスされたそうですが、徐々に出回っている枚数が少なくなってきているので、島唄ラヴァー、民謡ラヴァー、ワールドミュージックそしてグッドミュージックラヴァーの方々に是非一聴きしていただけたらなと思って一筆書きました。