人気ブログランキング |

Alfonso Cuaron『ROMA』@THX 人物たちの本当に生きるRealityを作劇としてみる、「映画をみるとは」なんて事すら問いかけられるような名画

c0002171_00483625.jpg
アルフォンソ・キュアロンによる『ROMA』をイオンシネマ海老名のTHXでみてきました。

こんなにも映画らしい映画をみたのは久しぶり。登場人物たちがまるでその生活を本当に生きている様を眺めているようで。まるで”Showでなく生活の普遍性の中に人生の実があるんだよ”なんて諭されているかのよう。

今インターネットによって私生活をShowのように曝す生活を、半ば自分もしていたりして、そんな時代に”他人からみて自分は面白いか”が意識されない物語を見るというのは孤独のグルメの海外評のように”Showでなく本当に生きている人間の映像記録は劇の中にしかない”というパラドクスをみたりもしました。

この映画は冒頭のシーンで飛行機が映ることで”あぁ白黒なんだ”と気づかされるように、余計な説明はほとんどされないつくりになっています。『ROMA』とあるけれどスペイン語と先住民系の言語で、場所もわからないし、時代も過去だとは分かりながらもクルマやら家電・風俗から自分は想像していきました。タイトルも含めその辺りはWikipediaをみればわかるのですが、お薦めは手探りで観て、後で調べるというものかもしれません。

映像美も素晴らしいものがありますが本作で特筆すべきは音響設計。その立体的な音像は完全に映画館向けと言うか、その多チャンネルな音で”あぁ劇場にいるのだ”と思うくらい。こんなにもシアター向けな映画がNETFLIX限定で公開される時代とは。だけどやっぱり映画館で見れて幸せだったなぁ。

音響のリアルさはエレベーターのシーンなんか本当に自分もエレベーターに乗っているくらいでした。この『ROMA』に対して前作のスペクタクルばりばりの『GRAVITY』も撮れてしまうキュアロン監督の手腕には惚れ惚れと驚愕しますが、『ゼログラビティ』でもその3D技術が宇宙空間体験のリアリティを表現するために縦横無尽に駆使されていたことを考えると本質は変わらない気がします。『GRAVITY』も船橋のTCX+Dolby Atomosでみましたが、キュアロン監督の作品は最高の設備に存分に映えますね。

遊興や精神的感応の向上の夢幻に惹かれ溺れて身勝手な男たちに対して、子どもと実生活とに身体・人生を向き合う女性たちのなんとしなやかに逞しいことか。”女と家族を幸せにしてやれなくて何が男だろうか”なんて考えさせられたりしました。寡黙な主役の女性が終わりに吐露する心情がまた沁みて。

私自身の弱さにあまりに刺さる映劇でした。というよりこの映画はなんというか、劇というより実人生に感じて。“そうだよな、そんな面白いことばかり起きるはずもない、これが人生の味だよな”と。本当のリアリティをドラマとしてみる、「映画とは」「映画を観るとは」なんてことすら問いかけられるようなそんな名画体験となりました。

by wavesll | 2019-03-10 00:46 | 映画 | Comments(0)
<< 3月11日に想。 海老名VINAWALK新星堂の... >>