
西荻・数寄和にて髙橋瑞稀さんをはじめとする東京藝大大学院修了者の五人展「春の瞬き」をみてきました。
髙橋さんの画をみるのは
卒業・修了展ぶり。その時の≪シナプスの地形図≫が長時間煮詰めてクオリティ密度を高めきったのに対して、この≪ルテンの風景[a transition]≫は冬から春へ遷り変る季節の芽吹きが軽やかに展開されて。
バオバブの木にまた別の植物の花が咲き誇り、空へ、海へ大地へ抜けていく。一枚の画面の中で季節が遷移するのは≪四季花鳥図屏風≫みたいな日本画の感覚もありつつ、視点が変幻し、木が山脈に成り大地が桃色に成りというメタモルフォーゼは顔料の鉱物感が鮮烈にあらわれ、視線がぐにゃりと移動していくような最近の写真動画を思わせるキュビズム体験でした。
≪視覚処理の過程 [What I saw also what my brain saw.]≫


これは他者をみたときに第一印象は表面的なものしかみえずからっぽだけれども、中身を知る毎にその複雑な内面がより焦点がシャープになって捉えられるという様を現したミクストメディア作品。絹地を使ったりテクスチャーが複雑でまさに自由自在に駆け抜けてる感があります。とても面白い。
≪モニターで見た花の風景 [Some flowers I saw on a monitor.]≫

≪ブレインストーミング≫

この二品も絹地を使ってデジタルな画面が演出されて。特に≪ブレインストーミング≫の方は極彩色の鳥にも花にもみえますが、その実はMRIでみた脳の画像だそう。今は医療技術で一部を彩色で抜き出すことも可能だよな…などと考えるとまた愉しい。VJ的にイメージの奔流がザッピングされる感覚も感じました。
Webに載せる許可を取ってなかったので他の方々の作品の写真はULしていませんが、良き作品がたくさんありました。また髙橋さんの作品も明日、そして最終日の明後日は展示数が増えるそう。これは
奇想の系譜展とかみた人にも現代における潮流としてみてもらいたいなぁ。生がディスプレイ越しより断然いいです。西荻もいい町なので、諸々ぜひぜひ◎