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IMPOSSIBLE ARCHITECTURE展&瑛九展@埼玉県立近代美術館

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埼玉県立近代美術館にてインポッシブル・アーキテクチャー展をみてきました。

「建てられなかった建築展」。正直建築展の場合、図面と白い紙での模型だけだと面白みが薄いところがあると個人的には感じるので、その壮大な計画が建築図面だけでなく木製模型やCG映像などでもあらわされていたのがとても良かったです。特に木製模型は建築の日本展@森美に続きやっぱり魅力的な展示物だと感じました。

会場に入るとまず飛び込んでくるのがウラジーミル・タトリン≪第3インターナショナル記念塔≫。レーニンの時代の共産主義のモニュメント。模型だけでなく、長倉威彦による鉄塔城が実際に町中に在るようにつくった映像がまた良かった。

また前川國男の≪東京帝室博物館建築設計図案≫のところに掲げられていたジョサイア・コンドルが作った最初の≪東京帝室博物館本館≫の写真が京博のように優美な姿で”これもいいなぁ”なんて思わされました。

そして展示はMETABOLISM 1960:都市への提案 という建築家たちの運動の篇に入ります。

この中でも最もぶっ飛んでいた計画が菊竹清訓≪海上都市1963≫。房総の山を核爆弾で破壊し、その岩石と土砂で東京湾を埋め立てそこに皇居などをうつし新首都「ヤマト」を打ち立てるというwヤバイw実際この発案はその後のメガフロート建築にもつながったそうです。

他にもここでは同じく菊竹清訓≪国立京都国際会館設計競技案≫や黒川紀章≪東京計画1961-Helix≫の二重らせんのビルの木造模型があって面白かった。

またこの時代、中空に建築をつくる計画というムーヴメントがあって、コンスタン(コンスタン・ニーヴェンホイス)≪ニュー・バビロン≫やヨナ・フリードマン≪可動建築/空中都市≫の展示も。ヨナ・フリードマンは2017年にクラウドコンピューティングを駆使し宅地と緑地の新しいバランスの都市計画を提案していました。

磯崎新≪東京都新都庁計画≫ではフジテレビ新社屋みたいな球体のある模型が。レム・コールハース/OMA≪フランス国立図書館≫でも幾何学な楕球形が使われていて、1980年代後期のトレンドだったのかもしれないと感じました。

また変わった展示ではもはや建築されることすら意図していないダニエル・リベスキンド≪マイクロメガス:週末空間の建築≫の図面が図形楽譜のようで面白かった。さらに今回一番巨大な展示物として、養老天命反転地の荒川修作+マドリン・キッズがフランス・エピナール市モーゼス河につくろうとした≪問われているプロセス/天命反転の橋≫なんて作品も。

そして21世紀の「インポッシブル・アーキテクチャー」へ。

藤本壮介≪ベトンハラ・ウォーターフロントセンター設計競技1等案≫はセルビア・ベオグラードでの建築のコンペ案。ぐるぐる回転する回廊がラゾーナ川崎をもっとすごくしたみたいな公共空間を形作っていました。

また山口晃≪新東都名所 東海道中「日本橋 改」≫会田誠≪シン日本橋≫は悪名高い日本橋の首都高を地上から消すのではなくさらにその上に巨大な太鼓橋を架けるといういう案でこいつはユーモアあるし楽しい計画だなと◎

そしてあえて「建築可能だった計画」として展示されたのがザハ・ハディド・アーキテクツ+設計JV(日建設計、梓設計、日本設計、オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン設計共同体)≪新国立競技場≫。様々な書類から、未来の日本のフォルムを提示していたのに極めて政治的に潰されたこの計画に懸けていた意気込みが伝わりました。


メインビジュアルにお使われている≪ヘルシンキ・グッゲンハイム美術館≫はWeb上から利用可能なオブジェクトをDLしそれをキットとして建築の装飾を形成する手法で、まさしく現代の神殿的な建築だなと。それと同じ手法が活かされた≪西57丁目のタワー≫はゲームオブスローンズのキャラから愛称がカリーシと呼ばれているそうです。映像に流れていたCreepの合唱での「I'm a creep, I'm a weirdo」が建築家たちの心の声に聴こえ印象的でした。

IMPOSSIBLE ARCHITECTURE展をみたあと1Fに降りてコレクション展をみたのですが、ユトリロやモネ、ピカソなども良かったのですが、埼玉ゆかりの画家瑛九の展示が結構良くて。特に≪田園≫はこの日にみたArtの中でも1,2を争うくらいの素晴らしさでした。ライト・デッサンという鑑賞者が光量を操作できる展示だったのですが、空と大地がぶわっと迫ってきて。瑛九氏を初めて知ったのですが、本当にとても良かった。

その他屋外の彫刻作品なんかも面白いのが多かったです。インポッシブル・アークテクチャー展は明けて本日24日まで。渋谷から小一時間かからずに行けます◎

by wavesll | 2019-03-24 05:42 | 展覧会 | Comments(0)
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