AIにハッタリは通じない。囲碁や将棋と同じようにどんな勝負でもデータを活かしてお役に立ちます。AIと手を組めば新しい戦略が見つかるはず。
第五回のゲストは漫画家の福本伸行。 福本「(AIには)もう勝てなくていい。やるとするならAI VS AI。仕方ない。」 ジャンケンくりえいとん開発者田中亜友子「相手が出した手を見て後出ししている。AIは画像認識に使っている。手の部分を切り出し、グーチョキパーを判定する。」 限定じゃんけんとかはジャンケンに心理戦や戦略を持ち込んでスリリングに。 福本「勝負は勝ったり負けたりするから面白い」 菖蒲墓面白さは勝ち負けだけではない? 囲碁や将棋などの完全情報ゲーム(自分と相手のすべての手が分かる)では1997年にチェスで勝った。 人間の対局データから勝てる手をみつけ、その後AI同士で対戦し強くなる。2016年には完全情報ゲーム最高峰の囲碁でも人間に勝った。 さらに強いAlphaGoZeroはゼロの状態からAI状態で戦い、人間の棋譜を必要としなくなったうえで進化した。 将棋最高位名人に勝ったAIポナンザの開発者山本一成 「どのようにディープラーニングでボードゲームを扱うかは洗練された。ディープラーニングとマシンパワーの向上と、進化のノウハウ蓄積。」 AlphaGoZeroは3日間で初心者からトッププロを越えた。1hで7万局打った。 麻雀は見えてない牌が何なのかを予測と相手の戦略の読みが必要になるため、より難しい。現在研究が進んでいる段階。 福本「麻雀が上手い人はAIみたいな考え方をする。効率と期待値。動き的なもので感情を読む。それでもAIは人間に負けることがある。何が来るかわからないツモで。それはAIが計算できない。AIの打ち方を逆手に取る方法はあるだろう」 確率を超えてAIも運や流れを「学習」するか? 徳井「逆に物凄く賢くなったAIが面白いゲームをつくることはできるのか?」 松尾「それは非常に面白い話。囲碁なんて奥が深い。なんでこういう構造なのかは私の仮説だが、手を読む、探索すると評価が変わる。それを水平線効果といって、自分がみえてない先まで行くとまた先が見えて評価が変わる。こういうことが何度も何度も起こるゲームの方が面白い。 一見するとよくない手なんだけど、先の先まで読むと凄い良い手ということが、何重にも起こる。囲碁というのはフラクタル性があるんじゃないかなと。」 フラクタル性とは部分が全体の相似形、同じ構造が表れる性質のこと。一見複雑に見える形も細かに観察すると同じ形で出来ている。自然のフラクタルはシダ、雲、木の枝分かれもフラクタル構造 これが囲碁にも見出せると松尾さんは言う。相手の石を囲うと何重にも同じ構造が表れる。 松尾「人間は何重にも構造が重なると考えられなくなる。AIならフラクタル構造のあるゲームを見つけ出すこともできるじゃないか」 大将棋:鎌倉時代には普及していたとされる将棋、29種類、130枚の駒を使う。一回プレイするのに3日とかかかる。駒も現代の将棋と違って非常に多くの種類があってマスもめちゃくちゃ多い。麒麟というのはピョンと飛んで取ってから戻ったりもできる。 大将棋をかなり小さくしたのが将棋。今の将棋はゲーム性が高い。ゲーム性が高いとは先を読むことで逆転が起こりやすい。 逆に言うと大将棋の中からどの駒を取り出すと面白い将棋に成るか、AIに逆転現象が起こりやすい設定をみつけさせることもできそう。 勝負の醍醐味、面白さってなんだ? 福本流将棋 1.駒は全部同じサイズ 2.配置は自由 3.相手の駒がなにかわからない 王が何かわからないから探りながらPlayする。”もしアレが王だったら” ざわ ざわ。 ゲーム性は構造と設定に宿る? スポーツの勝負の世界にも人間は熱くなる。データやAIの活躍は増えている。バッティングも昔はダウンスウィングが推奨されていたが、データによればアッパースイング、打球速度158キロ以上、角度25度前後だと約8割がヒットになるという結果が出て、このバレルゾーンの発見でメジャーの常識と戦術が変わった。 福岡ソフトバンクホークスに協力していた村澤清彰(野球選手トラッキングAI 開発会社 代表) 「プロ野球のデータを活用するシステム開発。センサーやAIを使った画像解析をスマホやタブレットでみれる仕組みを提供。 選手一人一人に自分の打席や投球を見返せるシステム。打球速度、打球角度が出て、自分が調子がいい時の状態がわかる。 今まで対戦したことがないバッターと対戦するときに他の左ピッチャーとの対戦で三振を取ったときとかホームランを打たれたときを予習できる。一軍で活躍している人ほどこのデータをみている。」 AIのデータ分析を5年前からホークスは取り入れ、球場にカメラを設置しプレイを分析している。 AIは選手の移動した距離を情報化。今は攻撃の時に使っているが、守備の時もどの位置取りをするとアウトになりやすいかを分析している。 普通観客の目線はボールに絡んだものだが、AIが記録するのは13人の全選手の動きをデータ化。これでポジションごとの運動量をみつけて選手交代に活かしたり、野球の最適解を探す。 こういう時の選手ごとの分類をするのに”クラスタリング”でグループ分けをする。 クラスタリング:似た特徴を持つデータをグループにまとめる。 全球団のデータをまとめると1試合で4万以上の項目。これをクラスタリングするには人間の計算能力では間に合わず、AIが活躍する。人間の主観では気づかない部分がある。人間が直感的に想っている、野球の世界では信じられていたことが誤りだと判明する。 ヒットになりやすい角度をデータで証明。20度から25度。するとメジャーリーグ全体が対応。 昔はダウンスイングでピッチャー返し、センターを抜くのが良いとされていたが、実際はアッパースイングでフライを打った方がいい、落合博満は正しかったと最近のデータ分析が証明した。歴史の長いスポーツでも人間の思い込み、常識はなかなか覆せなかった。 ババ抜きで心を読む。AIで感情解析。 千葉美帆(音声感情解析AI開発会社 広報) 「人の声からリアルタイムで感情解析。4万件の音声データを集め、複数の評価者が全部聞き、この感情は喜びに近いと教師データをつくり、声のボリューム、スピード、音の高さなどを照らし合わせて、声の調子の波形から感情を分析」 決定木を組み合わせランダムフォレストをつくり、正解確率を高めている。 アフェクティヴコンピューティング:微感情を読み取る研究 一瞬嬉しい表情をする、一瞬嫌な表情をすることで、ポーカーフェイスを見破る研究。 福本「なんで勝負をするかというと感情を動かしたい、あるいは感情を揺さぶられないように律するため。感情を揺さぶられなかったら単なる労働」 松尾「感情がなぜあるのかというと生存のため。生存の指標の為。AIは生命でないので感情を持たない、そのために頑張ることもない。人間は感情がドラマをつくる」 徳井「エンタテイメントの勝負とAIは相性がよくない気もするが、今後ヒトとAIの組み合わせで新たな勝負に成るかもしれない。」 松尾「野球でもフライより野手を抜く方が物語性があるかも。物語性の皮をAIが引き剥がすことになってしまっているかも。」 福本「人間=へっぽこAIと想いそうだが、人間=生き物、AI=機械と湧けて考えることがやっぱり必要」 松尾「勝負は人間同士が火花を散らすことが面白い。AIでパワーバランスが崩れると、ここは止めてこういう風にやっていこうとなるのが人間なのかも。」 手に汗握る勝負の瞬間はAIにはないが、冷静なAIが助けることがあるはず。それでも人間は勝負することをやめないでしょう。 第三回で藤田和日郎先生がAIに敵意むき出しだったのに対し、福本先生が割り切っているのが冒頭から凄く面白くて。 そして一番面白いなと思ったのが「新たなゲームの創造」の下りで大将棋からゲーム性を高めるためにAIを使えば、現代の将棋とはまた違う解が導き出されるかもしれないという話。なんか適者生存で進化してきた生物に対して別の道筋で生きてきた「異質な兄弟」が生まれるかもしれないという感覚がありました。福本先生のステルス将棋も面白かった。 また野球のAI分析戦略に関しては、スラムダンクの花道がシュート練をビデオ撮影してもらうくだりを思い出すというか、技術は新たなツールだなと。ただビッグデータが面白いのは、ニュートン力学にアインシュタインがコペルニクス的回転をさせたような、それまでの常識が完全に砕かれるドラスティックさが認知の世界で起きるからだなと。すーごい面白い回でした。
by wavesll
| 2019-04-24 20:11
| 小ネタ
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