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MATMOS / Jeff Carey Japan tour 2019 with in the sun@神楽音

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神楽音で開かれたMATOMOS etcのLIVEをみてきました!なんと7h超えのデイイベント、15:00過ぎオープンで22:20頃までLIVEでした!

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今回まず楽しかったのが15:00オープンしてからのMATMOSのDJ!!!

フルートの息吹からダムダムしたビートに入ってくる出だしからのヘヴィメタルをビートでざくっとドラムンベース的に切って、スペ語の早口からコミカルなスパイドラマみたいな音、トロピカルハウスな鍵盤音に重くリヴァーヴ効いたビート、そしてシリアスな質感の音楽にたるい日本人女の語り、サウンドクラッシュか泣きのギター、AMSRな物音打音からのディスコファンク、R&Bから雅音な電子音そしてヒップホップを電気的にスクリューにシンフォニックな女性Voをチョップ、からの英語オッサンの語りそして映画のマーチなサントラから叩きつけるようなビートのヒップホップにロックを重ね、最後はまさかの「ハイサイおじさん」!

常にジャンルを縦横無尽に航海した音楽のアドヴェンチャーなDJ Set、素晴らしかった。

真ん前で躰揺らしてたらシュミットにDJ終わりで「You are best listener」と笑顔で言われ。凄くジェントルな人でした。ダニエルもきさくに話してくれて。演者との距離が近い!後でわかることなのですが、会場にいた人で”あ、この人も、あの人も演者だったのか”と驚いて◎

私はMATMOSを知ったのは比較的最近で。『Ultimate Care II』という洗濯機の発する音だけでつくられたアルバムで知って。このボルティモアの音楽デュオはこのように毎回異なるコンセプトで音楽をつくっていて、音楽とArt双方でフロンティアを行き続けていると思います。

そして今回DJで彼らの音楽的な感性の豊饒さも改めて認識できて。シュミット曰く「デイイベントだから昼から電子音で頭を振るのは間抜けに見えるから、こうしたヴァラエティに富んだ選曲でいったんだ」とのことでした。

物販で『Ultimate Care II』のヴァイナルがあるのを指さし「I like it」というとシュミットは「ツアーでは洗濯機を実際に使ったライヴをしたんだ。残念ながら日本には来れなかったけどね」と。みたかったなー。

さてさて、この日はMATMOS以外もどんどん出てきて。それも粒ぞろいでした。なんとMATMOSの2人もフロアでライヴをみて。ほんとなんか自由でいいなー◎

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最初にLIVEしたのはMax Eilbacher and Duncan Moor。

長方体のベルが鳴るとライトが明滅する仕掛けから徐々に光と音が交叉していって、PCでの轟音に移行し、そこから日本語と英語の語りが流れる中で演劇的なダンスパフォーマンス。足元のボタンを踏むと音が切り替わったりコミカルな「びよ~ん」という音が鳴ったり。ボタン壊れちゃって直すのもご愛敬w最後はやはり二人で長方ベルで〆。

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次に出てきたKLONNSはもうとにかく爆轟。流石エレファントノイズカシマシ人脈の流れだけある。凄かったです。

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Jeff Carey live at Hoio on November 6, 2018

Jeff CareyのLIVE楽器はもはやコックピットというか、ゲームのジョイスティックとサンプラーとキーボードが一体となったもので、それで 宇宙空間をぶっとばすかのような弾力のあるノイズをやってくれました!

突き抜けて、急旋回。雷の内部にいるかのようでした。

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cemetery
日本の若き駿才。アニメ映画『イノセント』のような民謡や、チベットの聲明のようなものをハード・シンフォニックに電子音楽化してて興味深かった!Jeffからの流れでさらに飛翔していく感じ。すげー良かった◎ハオ!

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in the sun "performed in studio joy" March.2019

そしてこの日一番の衝撃と言ってもいいのがこのin the sun !!!!
野獣のごときドラムの太塊な打音の連なり!そこに電子音の気嵐が巻き起こり、とてつもなく心身が全開になるライヴ!秩父のバンドなのか、とてつもない魔獣がいたものだ!

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offseason

先日のφononに続いて伊東篤宏さんの蛍光灯を使った自作楽器「オプトロン」をまた拝めるとは。狂乱の轟音カオスでした。

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KΣITO

ほぼビートをその場で手打ちでサンプラー演奏するエレクトロニックアーティスト。ソリッドな音像で、「ア・マ・ゾーーン!」とかのネタが楽しかったです。

そして愈々、MATOMOS!!!!!
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新作『Plastic Anniversary』からプラスティックの音で創られた楽曲たち(1曲のみ除く)を。

最初に披露したのは「Thermoplastic Riot Shield」。機動隊などが使う強化プラステイック製の盾からつくられた音でのパフォーマンス。盾をこすりつけて音が鳴ったり、盾を叩いたり。VJではデモ隊などとの衝突が画かれ、まさに今この時の問題意識から発露した音なのだなと。

カラーボール?な液体プラスティックがべちゃっと盾にかけられたり、あるいは最後は縦に吸い付きハーハーいう熊男の映像が流れてちょっとエログロ的な要素も。

次が「Silicone Gel Implant」。シュミットがプラスティックのボックスをパーカッションのように叩いたり、トイレで使うブラシでこすったりする曲。曲終わりで「僕はいいドラマーじゃないから」と言っていて、全編MCがジョークに富んでいて面白かったw最後はダニエルがプラゴム袋笛を吹いて。

3曲目は「The Crying Pill」。大きなピル型のプラスティック容器をぶつけたりこすったりパカっとあけたりして音を鳴らす。子どもの頃はバナナが2本入っているものだと思っていたそう。

そして4曲目が「not plastic」な楽曲。キーボードでの静謐なメロディーが奏でられました。

このライヴ、まさにライヴ演奏で電子音楽が奏でられて。タブレットとPC、キーボード、パッド、そしてコードやプラスティック・インストゥルメンタルが所狭しと並ぶ机上で操作・演奏する様は二人の音楽ラボに来て実験をみているかのよう。

次に「Breaking Bread」では、BreadというバンドのLPをシュミットが割って破壊し、その破片に針を当てたりびよんびよん弾いてビート・メイク。これ面白かったなー、レコード破壊したのはばびったけどwその時の観客の悲鳴もその場でサンプリングするというのが凄いw

そして最後にやったのが「Plastisphere」。今問題となっている海洋でのプラスティックゴミをテーマとした楽曲。プラ袋をシュミットがくしゃくしゃにさせる音、そしておそらく海洋のぐわっわわわんとしたボディの効いたノイズが轟としてのアンビエントで流れて。プラスティックとテーマにするなら海洋ごみはやるだろうと想っていましたがこのライヴの〆としてよいパフォーマンスでした。

AMSRというかフィールドレコーディングというか、楽器以外の音を音楽として鳴らす表現方法は、例えば日本だとYosi Horikawaなんかもやっていますが、本当にアイディア勝負でもありArtパフォーマンスにも近いなと。

個人的にはこういう音楽は音に「言語」以外の意味性が託されるのが面白いなと思います。サウンドの未知をつきつめたら、そこに意味性も生成されるという。中にはこないだ鴎庵で紹介したシャチもそうですが、生物のコミュニケーションをサウンドにするものも。ちなみにEテレ・ヘウレーカによるとアリの蟻音って結構意味が解明されてきているらしいです。人間以外の言語での「歌」作品なんてのも面白いかもしれません。色んな創造意欲が刺激される一日となりました。

by wavesll | 2019-05-19 06:13 | Sound Gem | Comments(0)
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