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『旧ベルギー領コンゴ地方の伝統音楽』清らかな熱塊

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ベルギーのドキュメンタリー作家アルマン・ドニとその夫人リーラ・ロウズヴェルを隊長として1935~1936年に旧ベルギー領コンゴとベルギーの国際連盟委任統治領だったルアンダ=ウルンディを訪ねたドニ=ロウズヴェルト・アフリカ探検隊による最初期のアフリカ音楽のフィールドレコーディング。

全く"西洋化"に穢されていないその音は、澄んだ鮮やかさを持って我々に時空を超えた”Alternativeな文化”をみせてくれます。ドニ=ロウズヴェルト隊はこの探検で『Wheels Across Africa』というドキュメンタリー映画を撮っており、本CDについている冊子でもその中から新生児の頭部を縛って長頭に変化させているマンベトゥ族や、イトゥリ森やキヴ湖畔の部族たち、”失われた巨人族”ワトゥシ族のルアンダ王や、ピグミーの割礼式の写真が載っており、そして彼らの音が円盤に収められています。

新しい分野の音楽を拓くときに意識するのは”最高の物を最高の音で聴くこと”の大事さ。そうして一旦閾値を超えると、その分野のさざれ石なものにも良さが分かるようになります。そしてアフリカのピグミーと呼ばれる(これは西洋人からの呼び名で彼等には独自の部族名があります)人々の音楽において、この盤はその閾値を超える、まさに最初期にして決定版な魅力を内在する一枚であるように思えました。

アフリカに限らず、真に素晴らしい伝統音楽には、古ぼけた煤けた音でなく、みずみずしい雫る感があるように思えて。この清らかな森林の鼓動も、その真価を発揮してくれました。

by wavesll | 2019-07-31 23:30 | Sound Gem | Comments(0)
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