![]() 愈々みんぱく(国立民族学博物館)! ![]() 本展は西洋の驚異、東洋の怪異における想像界の生物相を通して人類の想像力、如何に人類は世界を認知したかを彫り刻むExhibition. そこには例えば人魚であれば日本の人魚の根付の他、カンボジアのソヴァン・マチャー(人魚姫)の影絵人形、オーストリアのジュゴンの木彫りにソロモン諸島のトビウオ漁釣り具、アボリジニによる虹ヘビ(ジンガナ)、イヌイットのセドゥナ、メキシコの人魚の仮面、ベニンの魚足王、コンゴのマミワタ、タンザニア・ティンガティンガの海の怪物に欧州のセイレーンと全球的な「イメージの原型/遷移」が展示されて。 それは龍でもそう。中国の龍頭ムカデ凧に始まり、ミャオ族の刺繍、掌中劇の指人形・東海龍王、沖縄の魔除け(ヤカジ)、韓国の巫神図(ムシンド)に怪獣ヨンド、ブータンの舞踏劇仮面(ドゥルック)にマレーシアの龍の精霊の木彫り、ガーナの軍旗にトルコ影絵芝居カラギョスの人形(竜に乗るジン)にモンテネグロの弦楽器(グスル)、そして一説にはホルスのセト殺しが源流だという聖ゲオルギウスのドラゴン退治にボリビア・アイマラの悪魔踊りの仮面と衣装。 「人魚」・「龍」という二大イメージだけでなく 水怪:白蛇伝の海の怪物, 河童, 猩々, マレーシアのカブトガニの精霊とナマズの精霊, カナダ・クワクワカワクゥの蛸 天 霊鳥・怪鳥・鳥人 中国の鳳凰, インドネシアのジャタユ, バリの有翼のシンガ, ジャワのガルーダ, マレーシアのワシの精霊, ホピのカチーナ人形, ペルーの首長人形, リベリアの鳥女(ちなみにこれみながら笑い飯の鳥人って迦陵頻伽かもと想った) 天象:天狗, アボリジニの雷神, 漢の雷公, カナダのサンダーバードとイナズマヘビ 天馬:イスラム教のブラーク 地 巨人:カナダのワイルドウーマン, アボリジニの夢の時代の巨人ルマルマ, 隼人の首領であり東日本ではデイダラボッチとなったという「やごろどん」 有角人:バリ・バロンダンスのランダ, メキシコ・ゲレロ州の悪魔仮面, ドミニカのディアボロ コフエロ, コンゴ民主共和国の呪術用の像(ンキシ), プエルトリコのヴェヒガンテ 変身獣:四日市の大入道, インドのナラシンハ、カナダ・クワクワカワクゥのエコーマスク, グリーンランドのトゥビラク 霊獣・怪獣:十二支が一つになった寿という獣, 麒麟, コンゴ民主共和国のキフェベ, メキシコのナワル, メキシコのアレブリヘ 蟲:メキシコ・ナワの蜘蛛や蠍や蝗の仮面, 『太平記怪奇絵巻』「大森彦七事」(寺蜘蛛), 土蜘蛛, マリ・ドゴンのカナガ, ナワの悪魔仮面, 能面(真蛇), スリランカ・シンハラのナーガ魔神, ブータンのドゥル, 台湾パイワンの百歩蛇 人間植物:カチーナ人形(トウモロコシ、サボテン、カボチャ、デビルズクロー、ウチワサボテン、オナモミ) 等が自由度の高い回遊式展示であらわされて。その呪力の高密度にヤラレ。生の凄さ。けれどここからさらに展示は続いていく 驚異の部屋(ヴンダーカンマー)から見世物小屋的に人魚のミイラが展示されたり。これらは日本に来たオランダ人が偽物と知りながらも持ち帰り今はライデン国立民族学博物館に所蔵されている。会場では人魚ミイラのX線写真でつくりものだとわかった。 その他にも鬼の首、ろくろ首、河童、竜、雷神のミイラや牛鬼の手、河童の手、人魚の牙や猫鬼の頭蓋骨、三頭竜のミイラがあって。 驚異の部屋にはイッカクの牙がユニコーンだと展示されたり、メガロドンの歯の化石が天狗の爪だとされたり。 実物の持つうさんくささとおどろおどろしさでクラクラ。そして2Fの展示へ。 2Fでは想像界の変相として、博物学の隆盛と科学による整理によって驚異・怪異が削られていく様、そして今のクリエイティヴにおける驚異・怪異が示されて。 トルコ『至福の書』(複製)や「土州奇獣之図井説」などの幻獣観察ノート、ジョン・マンデヴィル『東方旅行記』(複製)に15世紀の『自然誌の神秘』(複製)、ブラジル北東部の「紐の文学(リテラトゥーラ・デ・コルデル)」に幻獣の商品化としてのイエティ、ネッシー。マッパ・ムンディと呼ばれる『ヘレフォードの世界地図』(複製)、プリニウス『博物誌』、コンラート・ゲスナー『動物誌』、カズヴィーニー『被造物の驚異』、『山海経』と、西洋と東洋の博物誌史が展示された。 そしてラストのパートはアート、マンガ、ゲームの世界における幻獣表象として、江本創の作品やヤン・シュヴァンクマイエル、ペルーのパブロ・アマリンゴの絵≪精霊の神話的変化≫、アミーン・ハサンザーデ=シャリーフの絵本、五十嵐大介≪異類の行進≫、そしてファイナルファンタジーの幻獣。こうなると悪魔絵師金子一馬の作品も観たかった。 世界を認知するとき、己の知識を越える事象を捉えようとしたときに、ブリコラージュの手法を使って、神話的な「源流」にアクセスすることで成そうとする。その本能的な文化性質が、この星で遷移しながら同時多発的に巻き起こっていく。科学が進歩して”想像界”が収縮された現代においても、その人間が持つ天然自然な世界認識の像はポップカルチャーの中に息づいている。 この人類学、比較文化論的な、想像/創造へのアプローチは、真に俺の欲するものを直撃する展覧会だった。これは、凄かった…! 売店にあった五十嵐大介先生のサイン。またスーベニアに龍涎香のクリームがあって嗅ぐことが出来た。 ![]() cf.
by wavesll
| 2019-11-23 22:12
| 展覧会
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