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ラウル・デュフィ展@パナソニック汐留美術館 メディアミックスの魁、海と音楽そして花の画家

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ラウル・デュフィ展を観てきました。

会場に入るとまずは絵画のコーナー。最初期の≪グラン・ブルヴァールのカーニヴァル≫では色調も暗かった彼が、マティスに出逢うことでどんどん才能を開花する様が展示されて。

彼の画の主要なテーマの一つはクラシック音楽。≪モーツァルトに捧ぐ≫はモーツァルトの彫刻が赤・青の背景に配置されて。画の中には鍵盤やヴァイオリン、譜面なんかも。

≪サン=タドレスの大きな浴女≫はココ・シャネルの水着を着ていて。太ましい健康的な身体。海も彼のインスピレーションの大きな元で、≪船、鳥、泳ぐ人々≫はまるで海に開けた窓の様。≪ニースの窓辺≫はマティスがアトリエとして借りていた部屋を描いた逸品。

≪ヴェルサイユ宮殿風景≫はピンクのヴェルサイユ。≪ピエール・ガイスマール氏の肖像≫はまさにフォーヴな筆致。≪モーツァルト≫もラフ画の様な筆致は印象派が前段にあってこその画の方向性だなぁと。思えばその感慨はこの館でみたギュスターヴ・モローにその端緒はあったかもしれません。

自身が病魔に侵されながらもその苦しみは全く出さずに温かく幸せな光景を描いた≪シャンデリアのあるアトリエ≫に、音楽の軽妙さ、楽しさが画かれた≪オーケストラ≫

逆にファッション業界のマウンティングうずまく会食会を描いた≪公式レセプション≫に、チック・コリアの「スペイン」を想わせる≪赤いヴァイオリン≫、そしてオーケストラ後段のティンパニーからの視点の≪コンサート≫は赤い情熱がみなぎって。≪五重奏≫は客の口角からも愉しい空気が伝わります。

そして晩年に辿り着いた境地はまるでウィスキーの上質な黄金色のくゆりが伝わる≪黄色いコンソール≫に、葉の力強さのある≪花束≫。本当にこの人の画はHappinessを伝導してくれるなぁ。

デュフィの活躍は絵画にとどまりません。『動物詩集またはオルフェウスの行列』の挿絵ではフクロウ、亀とヒマワリ、羽の生えた馬、寺もあるチベットの山羊、南瓜に苺にハツカネズミ、象が版画で画かれて。

また布に織り込まれる形で≪オルフェウスの行列≫の古代のパレードやヒマワリのような≪亀≫、ポンペイの壁画の様な≪ペガサス≫、祠のある≪チベットの山羊≫、トビウオのような≪ヨーロッパの果物≫、象と橙の≪ジャングル≫。ジャングルにはチーターも。

そしてマイセンの磁器のような柄の≪象と枝葉(デザイン原画)≫に近現代のポスターのような色彩と大胆な構図な≪仔象(下絵)≫、≪象とチーター(3色展開のデザイン原画)≫に色とりどりにクロスするチェック柄にゾウの≪ジャングル≫。

デュフィはポール・ポワレに見いだされ、ファッションの世界に飛び込みます。白黒の古代的な≪イヴニング・コート(ペルシア)テキスタイル(様式化された花、葉飾りと果物)≫/ポール・ポワレ、≪ドレス テキスタイル(象とチーター)≫/モンジ・ギバンは線が印象的でした。

≪貝殻と海の馬≫は黄色と青に銀の刺繍が入って軽やかで。≪ほたて貝(デザイン原画)≫は赤黒、≪ほたて貝の仕様書≫は紫。≪ブラウス、スカート テキスタイル≪波≫(ブラウス) テキスタイル≪ほたて貝≫(スカート)≫/ポール・ポワレは緑の線が。

コップのような花の≪アラム≫は≪舞踏会にて 白と黒のイヴニング・コート≫/フェルナン・シメオンにも使われて。ビアンキーニ=フェリニ社の布地用版木やテキスタイル・サンプル帳も展示してありました。

デュフィがデザインでよく扱ったのが花草で。≪薔薇≫はその主要なモチーフの1つ。≪薔薇とストライプ(下絵)≫はどこかイタリアン。≪ドレス テキスタイル≪イリーブの薔薇≫≫はシンプルな柄。流れが浮世絵的な≪薔薇(デザイン原画)≫に、光量が3色に変化する≪薔薇(3色展開の下絵)≫に青いバラの≪マリー・ローズ≫、緑が印象的な≪薔薇≫に紫から茶・青でしっぽりとした≪薔薇と花≫、2色で浮かび上がる≪ドレス テキスタイル(薔薇)≫/ポール・ポワレも。

他の花では黒い≪牡丹≫にとんがった≪野の花(下絵)≫、勢いのある≪カーネーション(下絵)≫ 、途中の美がある≪花柄の構図(紙の試し刷りに着彩)≫からの完成形の≪花柄の構図(デザイン原画)≫、≪花(4色展開のデザイン原画)≫は色違いのリズムがあって。花を貫く≪夏(デザイン原画)≫に直線的な円としての≪花(デザイン原画)≫が。

薄紫にピンクと水色の≪花と葉(紙の試し刷り)≫に赤にオレンジの≪花と葉≫。ふわっとしたライトブルーの≪サテンの花≫にパステルに透ける≪アラム≫。

赤い≪ドレス テキスタイル≪アラム≫≫/モンジ・ギバン、白黒の≪ドレス テキスタイル≪様式化された花、葉飾りと果物≫≫/モンジ・ギバン、灰色の≪ドレス テキスタイル≪星空の花≫≫/オリヴィエ・ラビドス。

バリな≪サテンの葉≫、ぞわめく白黒の≪葉(下絵)≫、織り込まれるように重ねる≪葉≫、エルメスの≪クッション テキスタイル≪葉≫≫も。

また蚕がふっくらと刷られた≪蚕≫≪蚕(紙の試し刷り)≫では蚕がこんなにも魅力的に描かれるとは。≪ドレス テキスタイル≪蝶≫≫/ポール・ポワレはヴィヴィアンウェストウッドみたいでした。

≪ヴァイオリン≫の緑の門、≪パリ モニュメント≫の黒に浮かぶ祝祭、≪ダンスホール(紙の試し刷り)≫はtofubeatsのジャケかというようなヴェイパーな踊る男女とチェロ弾きの連続でカッコよかった。また≪テニス≫はテニスがファッションになる世の中を反映して。≪テニス(6色展開の下絵)≫もウォーホルみたい。

≪兵士と大砲と椰子の木(デザイン原画)≫はイマジネーションが拡がる藍色と白。≪収穫(紙の試し刷り)≫はエッシャーにも届くような。≪空想の風景(下絵)≫はファンタジックな巨大果物とピープル。

≪中国風庭園(デザイン原画)≫の黒金に無限に続く≪おうむ(デザイン原画)≫。≪騎士と少女たち≫はバーチャルボーイのよう。≪アルファベット(紙の試し刷り)≫は青い唐草。

≪闘牛≫はエルメスのスカーフみたい。≪ドレス テキスタイル≪闘牛≫≫/クリスチャン・ラクロワは情熱的。≪≪馬≫の仕様書≫には赤バックにピンクとパープルの馬。≪ドレス テキスタイル≪馬≫≫/オリヴィエ・ラピドスは鮮烈な赤。

そして≪幾何学模様の構図(デザイン原画)≫は幾何学を越えて有機的なレベルまでデザインが進化していて。それは≪ドレス テキスタイル≪波≫≫/モンジ・ギバンもそう。

≪アラベスク≫ではイスラムまで射程に入れて。≪ジャケット テキスタイル≪アラベスク≫≫はまたピンクで。そして丸にも味がある≪うろこ≫と黒ピンクの≪ドレス テキスタイル≪うろこ≫≫/オリヴィエ・ラピドスと黒白の≪ドレス テキスタイル≪うろこ≫≫/モンジ・ギバン。

そして最後に展示してあったのは冒頭に写真を載せた2019年につくられた≪ドレス‐マイフェア・レディ テキスタイル≪赤い水玉模様≫≫・≪ドレス‐マイフェア・レディ テキスタイル≪サテンの花≫≫・≪ドレス‐マイフェア・レディ テキスタイル≪薔薇と扇≫≫・≪ドレス‐マイフェア・レディ テキスタイル≪アネモネとアラム≫≫が。

今まで様々な展覧会でちょっとづつみてきたデュフィ。彼がこんなにもテキスタイルとして服飾に関わって来たとは知りませんでした。メディアミックスによって才気がさらに爆発するのは鳥山明がドット画でさらに開花したのを想起させられました。

そしてルオーギャラリーでは≪秋の夜景≫、≪守護の天使≫、そしてダニエル・ジャコメによる複製の≪月光≫・≪フュナンビュル(綱渡り)≫・≪道化師たち≫・『伝説的風景』をみることができました。

by wavesll | 2019-12-09 00:30 | 展覧会 | Comments(0)
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