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Ghédalia Tazartès ‎- Diasporas (1979) 世界放浪の先に創られた仏前衛音楽家による法悦の光闇

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Ghédalia Tazartès ‎- Diasporas (1979) FULL ALBUM



一聴すると最初イスラム圏のアザーンのような歌唱から動物の唸り声そしてチベットの聲明のような歌唱になっていって、”この暗黒舞踏の劇伴のような音楽はいったい誰によってつくられたのだろう?”と検索してみると、世界を放浪して得たテープを駆使して前衛音楽と民俗音楽の実験を行ったフランスの音楽家の1stとのこと。

1st Albumというのはその人のそれまでの人生の凝縮液となることが多いですが、この盤も旅の中で蠢いていた狂気的な陶酔状況を重ねに重ねて、一つの法悦の闇の旅路を創っていると思います。

中盤からは場面が一転、アルゼンチンタンゴのような雰囲気に。そして再び呪術的なカッワーリーのような謡いへ。フィールドレコーディング的なSEも相まりトランスへ、行く直前にアフリカに跳んでスピーキン・ポリリズム、さらに原始の叫びのような謡いに。不気味に鳴る発動機の音にぐにゅぐにゅ鳴る電子音、スーペルリアリズモなあり得ない組み合わせの中で脳汁が排出されて。

と想ったらプリミティヴなクラウトロックのようなシャウトへ。フランス語での語りが情念を増していく様は古代の魔書を呼んでるよう。さらに唐突に現代のバスルームか何処かの幼児の声へ、一体この盤はどうなっちゃうんだ!?と想っているとパイプオルガンらしき響きが。農村と宇宙が同居する感覚を味わいながら、またしても転調(もう慣れたw)、熱帯雨林の唸るような語り(ホーミー的かもしれない)に喇叭が合わされて。再びチベット的な霊性の真言。そこに太陽が昇っていく。最後は宇宙空間へ。

ディアスポラ、国を持たない旅人が、地球の自然・文明の果てに、覚りを開きかけるような闇の葉てを観る。「天啓」への旅路、そんな想いを抱く盤でした。

by wavesll | 2020-05-29 07:04 | Sound Gem | Comments(0)
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