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ロンドン・ナショナル・ギャラリー展@西美 傑作に次ぐ傑作の高密度な芸術空間

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これだけは観ずにはいられなかった!国立西洋美術館で開催されているロンドン・ナショナル・ギャラリー展。
その空間は本当に高密度の傑作に次ぐ傑作の間の数々でした。

I. イタリア・ルネサンス絵画の収集
まず出迎えるのがパオロ・ウッチェロ≪聖ゲオルギウスと竜≫。竜の翼がなんとも異次元な空間設計で面白い。右上には雲が渦巻いてるし。

そしてドメニコ・ギルランダイオ≪聖母子≫は子どものこまっしゃくれた顔の後ろにある赤い十字架とマリアの頭にかかるヴェールのような光輪が印象的。

そしてこれがみたかった!カルロ・クリヴェッリ≪聖エミディウスを伴う受胎告知≫!(上にある画像の作品)!絵の具がキラキラとさんざめいて。天から射す光線による奇跡。ガブリエルの羽が茶色なのもいいし、上にある孔雀の黄色い尾っぽの鮮やかな事!右上の天井画や、左端の階段の上に子どもがいたり、中央下に果物が画いてあったり、聖エミディウスが街の模型を持っていたり、中に描かれる人物・図像すべてに意味があるのだろうなぁ。こういう画は初めて観たなぁ、ルネサンス初期、ダヴィンチやミケランジェロ以前にこんなArtがあったのですね。

ジョヴァンニ・バッティスタ・モローニ≪円柱の上に兜を置いた紳士の肖像≫は鎖帷子が良かった。

そしてヤコポ・ティントレット(本名ヤコポ・ロブスティ)≪天の川の起源≫はユピテルがヘラクレスに不死の力を与えようとユノの乳を揉んだら母乳がびゅっと飛び出て、それが天の川(ミルキーウェイ)になったという場面を描いた画。本当に勢いよく母乳が出ていて面白かったw

II. オランダ絵画の黄金時代
幕開けは押しも押されぬレンブラント・ハンメルスゾーン・ファン・レイン≪34歳の自画像≫。こんなにも柔らかな闇の中の光を描けるのはレンブラントだけでしょう。こちらまでほどけ、ほころんでいく優しい絵画でした。

フランス・ハルス≪扇を持つ女性≫は白いヴェールと金のアクセが印象的。顔も優しげでした。

ヨハネス・フェルメール≪ヴァージナルの前に座る若い女性≫は薄幸そうな少女と楽器たちの配置が面白かった。というかこういう他の展覧会だったら目玉になってもおかしくない絵画が普通に次から次へ出てくるとはこの展覧会スゴ過ぎるw

ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ≪ロブスターのある静物≫はホキ美術館もびっくりな超写実絵画でした。

III. ヴァン・ダイクとイギリス肖像画
アンソニー・ヴァン・ダイク≪レディ・エリザベス・シンベビーとアンドーヴァー子爵夫人ドロシー≫で巨女の美しさを堪能。

ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー≪トマス・コルトマン夫妻≫は洒落者の二人が画かれて。旦那さんの方はアルピーの酒井ちゃんっぽかったw

ジョシュア・レノルズ≪レディ・コーバーンと3人の息子≫は何とも綺麗な若奥様と三人の赤ちゃん。またこの赤ちゃんが可愛いんだ◎

トマス・ゲインズバラ≪シドンズ夫人≫は本当に美女。黒い帽子に青に白が射す衣服、みつめる瞳がまたきりりと美しかった。

トマス・ローレンス≪シャーロット王妃≫は憂いを帯びた老貴婦人の真っ白な衣服と銀髪のキレイさがありました。

IV. グランド・ツアー
18世紀の英国の若者は大陸などに見聞を広めるために旅行しました。そんな気風の中で画かれたカナレット(本名ジョヴァンニ・アントニオ・カナル)≪ヴェネツィア:大運河のレガッタ≫はリアルにくっきりと、しかし旅先の幻想感が浮かび上がるパノラマな大作でした。

V. スペイン絵画の発見
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ≪幼い洗礼者聖ヨハネと子羊≫の純真な少年ヨハネの可愛らしさ。

バルトロメ・エステバン・ムリーショ≪窓枠に身を乗り出した農民の少年≫のいたずらっぽい笑顔。

フランシスコ・デ・ゴヤ≪ウェリントン公爵≫はとっつぁん坊やなんだけど色々と苦労を重ねたのが顔に滲んでいて、これもアルピーの酒井ちゃんぽかったw

エル・グレコ(本名ドメニコス・テオトコプーロス)≪神殿から商人を追い払うキリスト≫はエル・グレコの頭身を存分に味わいながら、蒼と真紅の衣をまとったキリストが自堕落な承認を払う様がみられる傑作でした。

ディエゴ・ベラスケス≪マルタとマリアの家のキリスト≫は普通に一家の台所の奥にキリストを挿入する機知が面白かった。

フアン・バウティスタ・マルティネス・デル・マーソ≪喪服姿のスペイン王妃マリアナ≫の悲愴な感覚も凄かった。

フランシスコ・デ・スルバラン≪アンティオキアの聖マルガリータ≫はおちょぼ口の不思議少女が魔獣を従えていて凄く好きな一枚でした。

VI. 風景画とピクチャレスク
クロード・ロラン(本名クロード・ジュレ)≪海港≫はロンドン・ナショナル・ギャラリーの基となった38点の内の1つ。橙色に染まる海と船達、なんか現代的な強度があるというか、時代を越える魅力のある古びない絵でした。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー≪ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス≫は朝日が輝く帆船の姿に冒険心が掻き立てられます。イタリアのグランドツアーの風景画が英国に於いて昇華されたような感覚を持ちました。

ジョン・コンスタブル≪コルオートン・ホールのレノルズ記念碑≫は木々がすっくと生えている中でミケランジェロとラファエロの像と鹿がある絵。このリアルな筆致は一見の価値がありました。

VII. イギリスにおけるフランス近代美術受容
この傑作群の展覧会もこれが最後の部。そしてこの間がまたすごいのなんのって。

ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル≪アンジェリカを救うルッジェーロ≫はイタリアの叙事詩『狂えるオルランド』の一場面で怪物から美女を救う金色の聖闘士な画でプログレのジャケになりそう。これは気に入りましたねー。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー≪西方より望むアヴィニョン≫は古代都市の趣

ポール・セザンヌ≪プロヴァンスの丘≫は大地が方形の塊に立ち上がって。

ポール・ゴーガン≪花瓶の花≫は赤白青緑の花々が咲き零れて。ゴーガンってこんな絵も描いていたのだなぁ。

アンリ・ファンタン=ラトゥール≪ばらの籠≫は触れると壊れてしまいそうなバラの質感が素晴らしかった。

カミーユ・ピサロ≪シデナムの並木道≫はスナップショットの現代的感覚が好き。

クロード・モネ≪睡蓮の池≫は夏の緑のざわめきが聴こえる風景。素晴らしいエナジー。

ピエール=オーギュスト・ルノワール≪劇場にて(はじめてのお出かけ)≫は可愛らしい少女が舞台を一心にみつめている姿が可憐すぎる!

エドガー・ドガ≪バレエの踊り子≫は緑がかった青が逆に踊り子たちの身体の物質感覚を際立たせて魅惑的な画でした。

そして…フィンセント・ファン・ゴッホ≪ひまわり≫。”ひまわりは他にもみたことあったし、そんな目当てでもないよなぁ”と想っていたのですが、最前でみるとその絵画の輝き、まるで太陽。黄金の煌めきは彫刻かのよう。これにはやられました。間近でみてこその至高の画ですね。最高の絵画体験を味わうことが出来ました。

by wavesll | 2020-07-10 03:57 | 展覧会 | Comments(2)
Commented by desire_san at 2020-09-04 14:35
こんにちは、
私もロンドン・ナショナル・ギャラリー展を見ましたので、詳しく丁寧なブログを読ませていただき、この美術展を再体験させていただきました。

この美術展で、日本ではめったに見られないウッチェロやティツィアーノなどの絵画を見ることができてよかったです。また、フェルメールの人物の仕種、表情を極力抑制し、画面に絵画的美意識以外の余計な意味を持たせ、光が凝集して強い光の明部を眩いほど輝かせ、筆使い遣いが聞こえてきそうな繊細な表現に魅せられました。
アングルの珍しい神話画、赤、黄の暖色系を中心とした光を絶妙に使ったターナーの作品、ゴッホが「ひまわりは私のものです」と称したゴッホの心象が感じられる「ひまわり」などが強く心に残りました。

私はロンドン・ナショナル・ギャラリー展見て、絵画の中身と魅力を広い視点でほけ下げてレポートしてみました。ぜひ一度目を通していただきお役に立てることを願っています。ご感想・ご意見などありましたら、ブログにコメント頂けると感謝いたします。
Commented by wavesll at 2020-09-04 18:15
desire_sanさん
ご覧になられたのですね◎
素晴らしい、物凄いスケールの展覧会でしたね!

ウッチェロなど初期ルネサンスの画家がみれたのは僥倖でした。それから時代が下っても名品揃いで。

ぜひブログ、拝見させていただきたいと思います。
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