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さらば、全てのエヴァンゲリオン シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 自分語り&ネタバレ全解放の感想

シンエヴァ、みてきました。
自分は中高生時代のエヴァのアニメO.A.時はエヴァみてるなんてオタクの極みで、斜に構えてみていなかったのですが、大学時代に違法地帯のYoutube辺りでみて、”これは面白いぞ”となり、ヲタ的な性向の開花も相まって新劇場版はなんだかんだで全部映画館で観た気がします。そして漫画もほぼほぼ読んで。そんな訳で20年弱の間エヴァを観てきたのだなぁと。

この作品はそういう長く関わってきた人も多いと想いますし、思い入れも凄い人も数多いることでしょう。そういう方は(私がそうであったように)ネタバレ情報を1パーセクも入れたくないと想います。故に逆説的にネタバレなしでは書くのは無理だなと。そういう訳で、この画像の下からは観たことを前提として、エヴァをみた/みてきた”気分”を書けたらと想います(よってネタバレが嫌な人は是非、観た後で読んでいただきたい)
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さて、そもそも観る以前に、相当迷って。というのもご多分に漏れずCOVID-19の感染状態と睨みっこしながら、”もう正直公開日にみれなかったし、俺自身のエヴァへの執着も薄れてきてるし、Blu-ray待ちでもいいか…”とすら思ったのですが、Webで劇場の座席の予約状況を観たらかなり空いていたので、”おっしゃみるか”となりました。

そして観て第一の感想は”おぉ…終わった。エヴァンゲリオンが終わった”ということ。言ってみたらこの2h40mはまるごとエピローグというか、全編かけてこのエヴァンゲリオンという四半世紀にわたるシリーズの風呂敷を畳んだなと。この「きっちり終わらせた」というのが大きかった。個人的には観る前は”貞本版のマンガで綺麗に纏まってるし、シンエヴァははっちゃけてぶっ壊れてもいいだろう”と想っていたので、ここまできっちりと終劇したのがまず最大の驚きでした。

そして一部ではかなり物議を醸しているアスカXケンスケのカップリング。そしてアスカからシンジへの「昔は好きだった」、シンジから旧劇ラストの浜辺のアスカへの「好きだった」という告白。ここには痺れましたね。これは本当の意味の時間芸術と言うか、新劇場版の序が2007年に公開され、そこから実世界でも14年の歳月が経った今シンエヴァが公開されたことで、破からQまで意識を失っていたシンジ以外の人々にも14年が経っていたように、庵野監督も、そして我々も14年の歳月が経ったということが最大のキーだったなぁと。

旧劇場版でも「オタク気持ち悪い、現実と向き合え」のようなメッセージがありましたが、やっぱりシンエヴァでも「大人になって現実を生きよう、エヴァンゲリオンを卒業しよう」というようなものがあったと想います。これはもっとドラスティックに言えば『物語』からの卒業ともいえるかもしれません。

それは、アスカとのエピソードでも顕著に表れていて。昔は、教室では昼行燈でも、エヴァに乗ると最高の能力を発揮してぶっちぎる、或いはナイーヴさすら魅力に思えたシンジのことがアスカは好きだったけれども、十代ではなくもうアラサーの女性として、男の魅力はもっと仕事や社会活動で如何に貢献できるかとか、日々の気遣い、愛情、頼りがいとか、そういう地に足に着いたもので、いわゆる『魔法的な底力』や『覚醒』で逆転満塁ホームランできる世界ではなくなった。

と同時にアスカはシンジにあくまで構って、愛情を持っている。昔は好きだった。でも今この14年の間にできたケンスケとの情や日々の重み。そういう描写は良かったですね。

自分語りパートになりますが、私も私の中で、もう思春期アティチュードの精神状態でアニメ的世界を自分事として楽しむことはここ数年難しくなってきて。”結局匙加減次第の、リアルでないフィクションでしょ?物語って”と。第三村の農業描写辺りをみていても”なんかレイの反応が典型的で浅いな”とか思っていたし、エロサービスシーンも“もうこういうのじゃ興奮もしないなぁ”と若干冷めていたのですが、このアスカとの関わりは凄く沁みましたね。

そしてマリwマリが大活躍w今までの新劇場版ではマリって”何か新しい事やりたくて出したキャラなのだろうけど、どうもふわふわした存在感だし、上手く描けてないキャラだな~”と想っていたので、この大活躍はビックリw

「マリは安野モヨコの化身、ミヤムー等にフラれた庵野がモヨコに救われた私小説がシンエヴァンゲリオン」なんてメタな説もありますが、まぁそれは置いておいても、ずっと想っていた初恋の人でない、ふらっと会った女の子と付き合って日々を紡いでいくことってあるよなぁとかまた隙あらば自分語りがwまぁ恋愛ストーリーとしてはここら辺には心打たれましたね。

冒頭のパリでの決戦や南極地下でのなんかぐわぁぁぁぁああっと展開されるバトル・ヴィジュアルはやっぱり見応えがありましたね。一方でマイナス宇宙?の場面が転換する父子の戦いはなんというかしょうもなかったですね。ゲンドウの告白の辺りは貞本漫画を読んでいたのでかなり理解できました。冬月も補完できたし、貞本漫画は補助線として読んでおくといいかもしれません。

「イスカリオテのマリア」とか方舟であるヴンダーとか、キリスト教のモチーフは、言ってみればシンゴジラにおける過去の日本映画のオマージュにも似た、「フィクション世界の引用による歴史的重層のリアル化」なのだろうなぁと。過去の創造物で物語をスイングバイするというか。ただ、上の記述もそうですが、個人的にはイメージの魔法と共に恋愛的な実人生とのシンクロが響きました。

この映画、見終わった後で、驚くほどすっきりするというか、成仏するんですよね。各種考察を読んで種火つけてこの記事も書きましたが、見終わった直後は”もう感想記事も書かなくてもいいかな”と想うくらいw

それは『物語』が好きで好きで仕方ないのに『物語に依存するヲタク』が嫌いで嫌いで仕方ない庵野さんによる、エヴァンゲリオンに落とし前を着けて、あえて言えば「風化させるための作品」であったのだと想います。それは同時に90年代半ばにぐしゃぐしゃになった庵野さんの精神状況がようやく成仏しグシャグシャが風化できたのだろうなと。

「創作には闇が必要」論ってあります。勿論庵野さんレベルだと技術的にプロフェッショナルですから、また位相の違う話かもしれませんが、エヴァという闇が浄化された後に庵野監督がどんな作品を撮るのか、創るのかはとても気になります。とりあえずシンウルトラマンはみるぞ!←ヲタから卒業できてねぇw あ、あとBeautiful World (Da Capo Version)最高でした!

by wavesll | 2021-03-16 20:53 | 映画 | Comments(0)
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