
God Speed You! Black Emperorといえば轟音ポストロックバンドの雄ですが、その名前の由来になったのは1976年のこのドキュメンタリー映画。BLACK EMPERORという暴走族の新宿支部の少年たちを取材したこの映画の存在は前から知っていたのですが、今回アマプラでみれて。でなんとYoutubeにも上がってました。
冒頭の警察官との衝突のシーン、そして新人がグループに加入するシーン。そこで非常に強く感じたのは暴走族のメンバーである少年の幼き顔つきでした。多分同年代の少年からしたら凄味とか恐ろしさとか感じるのかもしれないけれど、もう三十路も半ば、オトナ側から見るといかにも少年って感じの風貌だし、言っていることも何というか“とっぽいガキだなぁ”と思ってしまって。
ちょっとこの映画をみるにはトシを取り過ぎてしまったのか、逆に少年の両親のなんとも苦い渋い会話の方が、社会の凄味を感じたりもしました。
一方で暴走族の少年たちは、2021年の子供たちと比べて、少年が少年らしい無軌道さを出せているなぁなんて想って。どっかしらバカっぽい無敵感が暴走風景からあるというか。一方で鬼滅のブラックであったりあまりに”良い子”な流行というか、さらにはCOVID-19で自粛を迫られる今の少年たちは、あまりにも求められる成熟さが昔と比べて大きすぎるようにも。
日本文化には不良とオタクの2極があるなんて話があり、今はヤンキーは絶滅してしまってるなんて話を聞きます。1976年ではTVゲームもなく、フラストレーションを晴らせる対象はリアルワールドの不良行為かスポーツだったのかなぁと。と、共に一時期アイドルの現場で覗いたあの野太い歓声を想い出すと、若い奴はいつの世も衝動を抱えていて、その発散先を求めているようにも想います。
少年、子ども、青少年は本質的に生物的には昔からそう変わっていないのだろうとも思って。みな幼さの残るYouthだと。変わったとすれば環境。昔から想うのは、インターネットは「子供たちだけの世界」を壊したなということで。
2chが一番顕著ですが、Twitterなんかもすぐに成人の意見に曝されてしまう。子どもが同年代だけの世界にいられない。しかも大人の責任を果たさない偽大人の声に曝されたり。まぁ最近はLINEとかクローズドなSNSが主流らしいのでまた違った様相が生まれていると想いますが。
クラスLINEグループでのイジメ問題もそうですが、無論子供たちだけの集団がバラ色だとは言えません。映画の終盤で暴走族から抜けたいという少年を執拗になじる様子が流れるのですが、本当に胸糞悪いというか”やっぱり組織になると人間性が腐るな”と想わざるを得ませんでした。
今のチェーンソーマンや進撃の巨人の時代感覚からすると、70年代の不良少年たちはまるで思慮が軽いというか、言ってしまえば低能にもみえるのですが、そのシンプルな無軌道さは、一種動物的なエナジーがあって。劇中でかかる和ロック音楽もいやにかっこいい。それは311や国の経済が沈没しつつある時代には持てない一種の馬鹿さがあって、確かに後ろ暗い世界へ取材したドキュメンタリーなのですが、どこかしら眩しいところを感じたのでした。