毛玉 / kedama - 地下で待つ / waiting underground (bandcamp)

そんな毛玉の4thアルバムが配信リリースされて。
黒澤勇人さんがコロナ禍の中で半地下で宅録したという本作、1曲目の「猫背」のまるで星空の下で聴くような日本語の美しく琴線に触れる清涼なギターソングから2曲目の「コクーン」のトラックの”確かにこれはコクーンだ”という玄妙なトラックのモニョり具合、そして夜の深みへ、内省の階段をどんどん降りていくような「美しい街」と楽曲は進んでいって。
そして4曲目はインストの「wave」。このアルバムにはインストが3曲収録されているのですが、それがアルバムのフェーズのスイッチングポイントになっていて。この「wave」はまるでラジオの掠れた電波が不意に入ってきたような、ちょっと幻想的なギターと海の波音がノイズ交じりに鳴って、そこに浮遊感のある電子音が入ってくる楽曲。
ここから岸真由子さんがヴォーカルをとった楽曲が続いて。これがまたこのアルバムを展開させていきます。どこか朴訥とした80sのモンドさもある邦楽的な浮遊感のある「RPG」。絵本の世界の様な「寒い夜のこと」も良い。そして再び黒澤さんヴォーカルの感情を透き通らせていくメロディアスなアンサンブルの「バーニング」。弦の擦れ具合なんかがまたいい。
そして個人的にはこのアルバムのベストトラックな「kedama radio」。ファンタスティックな風味が満載のインスト曲。こういう「おもちゃ箱をひっくり返した」と形容されるような楽曲、大好きなんですよね◎トイな音も実際に入っているし◎このアルバムの流れの中ですっごくいいアクセントになってました。
このインストでまたフェーズが変わって「流星」は夜の荒涼とした風を感じるようなギター・ソング。そして最後のインスト曲は「ordinary life」。古く放置されていた倉庫から何か物語が始まるような、蛇口の水音とギターとドローンな通低音。生活がそこに在りました。
ラストソングは表題曲の「地下で待つ」。バンド・アンサンブルで切なく心に訴えかけ沁みる歌心のある楽曲。
何か夜風に当たりながら家路へ帰る道すがらに聴いたら凄く良さげなアルバムでした。心の柔らかい襞に触れてくる、それでいて爽やかな空気をくれるような、いいアルバム。最後は鳥の声の採音で締めくくられました。40分と短くさらに多彩なフェーズが合って、聞き飽きない、繰り返し聴きたくなる盤でした。