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自粛考 「何かをしなかったこと」をちゃんと評価する価値基準

COVID-19からこっち想うのは「何かをする事」は評価されやすいが「何かをしなかった事」は評価されにくい、或いは「当然」と無為にされるという事です。

これがSNSの承認欲求文化と“自粛”の食い合わせの悪さの主要因になっている気がします。「あれをしない」でなく「こんな新しいフォームのことをする」の提案が肝要という事でしょうか。

更に言えば「した」を評価し「しない」を評価しないのは、極めて消費社会的な価値観であり、上の世代なんかは完全にそういう価値観で、グレタとかZ世代のムーヴメントと文化衝突してるとか、そんな壮大なことも想ったり。「した」とカタチに残らないと分からない世代って非常に前時代的ではあります。

恐らく、中年以上の高齢者の「成功者」は「何かをした」ことで成功してきた訳で「何かをしなかったこと」を評価する物差しを持っていなくて。冒険的にイケイケな者ほど評価される世の中で成功体験を積んできたのでしょう。故にCOVID-19の局面がここまで来てもパラダイムをシフトできない。

この消費社会への全面的な賛成の価値観は、“欲しがりません勝つまでは”へのアンチテーゼであるのかもしれません。この国の歴史の流れから「生産」至上主義が必然となっているとして、それを貫くには、必要とされる生産(ワクチンやN95やKF94などの高性能マスク)増産に心血を注ぎ、自粛という「意識問題」から物量資材に基づく「技術・行動問題」にしなければ、高齢者等は対応は無理か…とも想いますが、やっぱりこの問題の根本にある「したこと」だけを評価し、「しなかったこと」を評価しない価値基準に切り込めないものかとは想ってしまいます。

この「したこと」至上主義は、菅政権においても自縛しており、五輪を強行し、電通や竹中に金を流した結果、国民の心を感染対策にUniteすることに矛盾を生じさせ、感染拡大を引き起こしました。未だに反省せず、謝罪もせず、パラリンピックも強行しようとしています。

この根深い問題に対して、現実的に老人世代に伝わる様に意見するには「〇〇しない」ではなく「〇〇しないかわりにXXする」という形に翻訳して伝えるのが落とし処だと想います。

パンデミック下で接触を避ける行動の為には、コミュニケーションの部分、そして娯楽の部分でインターネットを駆使することが肝要です。はっきり言ってしまえば家でウマ娘やFGOにでも熱中しているのが一番安全。とは言え高齢者はデジタルやオタカルチャーに対する拒否感がありますから、今求められているのはご高齢の方でも楽しめるスマホゲーとか、そういうものなのかもしれません。

また「自粛」というと「我慢」という言葉を想起します。我慢することも大切です。特に、政府に対しては「政府がオリパラを我慢する姿勢も見せないのに、何故一般国民が我慢してくれると思うのか」と怒りを禁じえません。

範をみせる立場にある政府こそ、「我々も我慢するから、お願いですから皆様も我慢してください」とすべきです。

とは言え、一般国民の我々自身としては、「我慢している」と想うよりも「新しい欲望の発散方法」にストレスを転化する方が現実的に実効力のある自粛方法だと想います。

それはデジタルを用いたレクリエーションであったり、想像力や創造性を駆使し文筆や画を描くことなど、危険性が薄い行為で、如何に楽しめるものをDigって発散していけるか。私も、微力ながら、このBlogなどで娯楽コンテンツを拡散・発信することをなるだけしていく所存です。

この「したこと」しか評価されない国で、「しないこと」を黙々と行っている方々、あなたがたはヒーローです。私も鑑賞がアイデンティティレベルな生活の柱なので、ぎりぎりの心のせめぎあいの中で、自粛するかしないか日々決定している毎日です。みなさんが「していないこと」は評価されるべき素晴らしい姿勢です。その一助に私もなれたら幸いです。

by wavesll | 2021-08-16 23:38 | 小噺 | Comments(0)
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