安倍吉俊さんの原画展『灰羽連盟とその周辺』で入手した『古街』という同人誌。
フルカラーで、人類が滅びかけている世界で彷徨する少女型のウツロと呼ばれる存在を主人公とした漫画が画かれていて。
大変面白くて、断片なのだけれども、此処から始まる、或いはそれ以前に存在するどこか、こういう半FPS的なネットRPGとしてシリーズされているかのような物語の大河が感ぜられて。
後書き?を読むと、そもそもこの『古街』という物語は1994-1995年には安倍先生の頭の中には存在していて、1999年、2002年にも断片が漫画として発表されていて、そして今年初めに夢で再びこの物語が再生され、そこから新しい創作が始まったとのこと。
ヒトの死体からつくられた労働体としてのウツロが、その脳内の調整を解除され旅している雪原の都市世界というだけでも物凄くわくわくしますし、時が過ぎる中で本当に私家版として紡がれる物語の流れる様にも感動を覚えました。今後も『古街』は漫画と小説で物語が画かれるそうで、できることならばまた入手していきたいなと想いました。
『古街』が余りに良すぎて、”あぁ、オリジナル同人の世界ってこんなGemがあるのか”と開眼させられ、『灰羽連盟とその周辺』展の通販で『惑星ラーン』という作品も購入してみました。
こちらは2016年発酵の漫画で、現在の我々がいるような世界の中学校の生徒の物語と、その中学生ウネというあだ名の少年がみた夢でアクセスしている母星を追われ、巨大な図書船団の中で蔵書を管理するニーウたちの物語が画かれていて。こちらも「虚霊」と呼ばれる祖先霊のような存在など、世界観にわくわくさせられました。
同人誌って、物語のプロトタイプというか、世界観・設定の魅力が物凄く詰まっているのだなと。それも新芽の魅力と言うか、こちらの脳内でも作品世界が広がっていく感覚。漫画や小説としてこの物語が完結する様を想像するのも楽しいですし、『灰羽連盟』のようにアニメ化されることで全貌を観ることが出来るなんてのはドリームだななどとも想いました。いやぁ~この歳ですが、コミケやコミティアで同人誌買いたくなってきたw