






いよいよこの旅の主眼、正倉院展へ。
今年は日時指定チケットなので、12:00~13:00に入場できる券で11:50頃に奈良博についたのですが、もう行列ができていて。結局12:20くらいに入場って感じでした。(ただ出る時間は指定されてないのでそこまで問題はありませんでした)
そしてその中身は、”え!?コロナで入場絞った時にこんなに好いの出していいの!?”といいたいくらい、今までみてきた正倉院展の品々の中でもトップクラスの品が弐品、そして他のも逸品揃いで素晴らしかったです。
まず第一に出てくるのが
≪杜家立成≫。光明皇后による中国古典の写しなのですが、様々な色紙を使って作られた巻物で。正倉院と言ったら光明皇后ですよね。これを収める≪御書箱≫と、その≪色麻紙≫も後で今回出陳されていました。
そして今までの正倉院展で見た中でもトップクラスな品だった
≪螺鈿紫檀阮咸≫!これは円い胴の絃楽器なのですが、その装飾の素晴らしさといったら!表面もまぁまぁいいですが、なんといっても裏面の螺鈿で形づくられた二羽のインコの薄緑青と桃色の白銀の輝き!羽一枚一枚まで細工されている美事さ。こんなすごいのなっかなかないなぁ!前面・裏面そして側面も螺鈿と玳瑁で銀と朱で模様がつけられて。こっれは超一流の逸品でしたね。
会場には≪刻彫尺八≫と≪螺鈿紫檀阮咸≫を鳴らした音も響いて。これも中々に乙でした。
鈍い透き通りが美しい
≪白瑠璃高坏≫にまるで木の葉のように葉脈があるような大ぶりの
≪瑪瑙坏≫と、おちょこのような≪瑪瑙坏≫、さらにはダークバーガンディーな
≪漆小櫃≫に匙や木版、そして鏁子といった小物の≪漆小几≫、そして光を受けて浮遊するような
≪水精玉≫が。
そして刀子(ペーパーナイフ)の逸品も。≪紅梅把鞘金銀荘刀子≫と、象牙や犀の角でつくられた≪烏犀把白牙鞘金銀荘刀子≫、綺麗でした。
また楽舞用の錦の脚覆いである
≪女舞接腰≫の、まるでデジタルノイズが入ってきているかのような柄の劣化の仕方が良くて。楽舞用の錦の足袋である
≪笛吹襪≫の中原から西アジアな赤に黄色の文様がまたよくて。
服飾でいうと
≪曝布彩絵半臂≫の花草文様が描かれた上着も古代の生活を想起させますし、ベルトである≪革帯≫の、穴の部品の面白さも良かった。さらには丸っこいのだけれども尖っている黄色の果てのような靴である≪錦履≫に反り返りがものすごく印象的な靴
≪履≫も良かった。
また切れ端なのだけれども
龍や鶏や
猪などが描かれたとわかる≪十二支彩絵布幕≫も(一つは何が書かれているか不明でした)。
そしてここから木工の名品たちが。
クローバー、キノコ、あるいは雲のようななんとも好い感じのフォルムの
≪黒柿蘇芳染金絵長花形几≫、さらにはエメラルドグリーンにに黄色の渦巻きな≪碧地彩絵几≫、さらには献物をのせた台の上敷である、葡萄柄が白に浮かび上がる錦の≪白綾几褥≫に、木が金色に伸びる上には赤色が渦巻き、下には五色の斜め線が入る≪籠箱≫そして≪朴木粉絵高坏≫には花の柄が。どれも素晴らしかった。
そしてこれも超逸品であった
≪白銅柄香炉≫、二匹の小さな獅子が配置され、組み紐が柄には施されて。また金の柄杓型の部分は下にまるで神仏具のようなオーバルの連なりのフォルムが。
そして、遂に出てきた、これをみたくて奈良まで来た!
≪漆金薄絵盤≫!蓮華形の香台である本作は、蓮華の花弁一枚一枚が分厚く、あるものは金色に、あるものは赤色に、あるものは緑に、そしてすべてが混在に彩られ、花弁の下側には鳳凰や迦陵頻伽、焔が描かれて。
この圧倒的な存在感。蓮華の花びらたちは決してシンメトリーに配置されているわけではないのだけれども、それが野の原始的な魅力を発し、そのArtとしてのアウラは、鏡面でみるのと生で見るのすら全く違う印象で、この煌めきは写真じゃ真価はわからないだろうと。この品の兄弟品が幾年前の正倉院展に出陳されて、それを日曜美術館でみたのが正倉院展へ行きたくなった理由だったから、今回、初めてこういう蓮華形香台のとてつもない極みをみれたのは物凄く嬉しいものでした。
また正面からみると柄が浮かび上がる≪密陀絵雲鳥草形漆櫃≫に、≪夾纈羅幡≫の三角な先から四角へ続く幡の様にも”よくぞ保存してくれた”と。
≪茶地花樹鳳凰文臈纈絁≫は鳳凰が現代アートのような解れで今に姿を残していて。
そしてここからは書物に関連する品々が。
そのものずばり、古文書では物部氏の記述も残る≪続々修正倉院古文書 第三十二帙 第一巻≫に下痢で休むけど責めないでくださいなんて記述もある種々の連絡文書≪続修正倉院古文書 第四十九巻≫なんてのもw
さらに
≪筆≫!これが神具のような、肉抜きされたロケットのようなカバーに、斑のある竹を使い尾はドラゴンボールの神殿のような意匠に、図太い三角型の毛の筆。筆もここまで美しくなれるんだなぁ。その他にも小さな筆や斑があるように竹を塗った筆なども出陳されていました。
さらには≪墨≫、国産であったり舶来?であったり、
昔の墨は舟形に成形されていたのですね。さらには墨を入れた箱≪赤漆葛箱≫も、菱形を二重にした意匠はなんだか現代のデザインセンスにも通じるものあるなぁと。
また麒麟が雲の中からふわっと飛ぶ様を何とも薄っすらと描いた
≪絵紙≫。麒麟の目が朴訥と見通していてよかった。
そして
≪青斑石硯≫。青斑石でつくられ、土台には五色の>>>のような意匠が施されて。本当に昔は書に関する事物がArtまで高められていたのだなぁと。
さらにさらに書物を書くときなどの麻の作業着≪早袖≫や墨がつかないように腕をカバーする
≪白絁腕貫≫なんて出陳も。
そして最後はいつも美しい字の究みを魅せてくれる聖語蔵からタイトルの詰めた液体のような字形はフォント化したい≪大般涅槃経集解 巻第四十九≫と、光明皇后が父・不比等、そして母にささげた≪般若波羅蜜光讃経 巻第六≫などが。
いや~、真に、此処にこれて良かった。
そして庭園もみることができました