端から聴いてみると、なるほど…「民謡」と「演歌」は異なるものなのだとわかります。民謡の方がさらっとしている。東北の民謡なんてアイヌのユカラと演歌の間くらいの位置にあるように感じて。日本の人間性、野に居を構えて暮らす生き物としての日本人を聴いてる気になる。 最初の頃は去年聴いた中国民歌55枚BOX『天籁, 中国少数民族原生态民歌典藏』との対照で聴いて。中国少数民族の歌たちはそのヴァリエーションの起伏の凄さが凄かったですが、日本民謡大観は個別論というか、フォーカスの具合が木目細かくて面白い。 今年は五輪の演出であったり民クルをラジオで良く聴いたり、The Room Radioなどでも民謡がかかってたし、民謡がフィーチャーされることが多かったですが、Mixで民謡入れる時に日本民謡大観から引っ張ってきたりしたらぐっとディープ感出るなと。ラップの繋ぎのなかに「田植踊」とか。私がみたい、聴きたい日本は、日本民謡大観漁ってる方があるなぁと。いやマジで「機織唄」と「石切唄」のビートヤヴァイ。漁師歌なんかも聴けるし。 そう、民謡の魅力の一つは「多種多様な仕事唄」にあります。「田植唄」や「茶摘唄」などのベーシックな仕事唄は日本全国で聴かれますし、「紙漉き唄」や、中には「鯛の一本釣り唄」なんてのまで、様々なヴァリエーションに富んだこの国の仕事が歌と共に在ったのだなと。いつしか仕事唄というものは消えていきましたが、例えばSIerでキーボードの打音とラップなITヨイトマケ唄なんてのがあってもいいじゃないかなんて思ったりも。 そう、日本民謡大観のもう一つの魅力は「仕事に纏わる必然的なフィールドレコーディングな採音がAMSR的に唄と共にビートミュージックとして響く」というものがあって。「石切唄」なんてその最たるもので、石を切る時の鋭い音が、一定のビート感をもって鳴るのです。さらには「酒造唄」なんて揺蕩う水音がなんとも気持ちいいし、「木挽唄」のノコギリを挽く音、さらには「餅搗唄」の餅を搗くビート、これらはフィールドレコーディング的、あるいはコーネリアスのようなSEを使う音楽の好さがありながら、その音がその音でなければならない必然性があるというのが素晴らしくて。きわめてイマの音でありながら、時代を越える「本物の音」だなぁと。 そして、これは70枚を聴き通すことで一番思ったのですが、日本民謡大観を聴くことで、“日本人の音楽はつまらなく、欧米やアフリカにこそ本物があり日本はコピーだ”みたいな偏見が消え「日本の音楽」のプリミティヴさがホント良く分かって。日本人自身こそが最も自分自身の音楽を見限り、「邦楽/JPOP」を“ここからここまで”と狭いところに押し込めているのかもしれません。民謡を聴くとビートミュージック的な先進的センスだけでなく、アフリカあるいはブラックミュージックな美味しさ、またラウドなセッションの爆発力に、ワールドミュージックなエッセンスまでが次から次へと鏤められて。これらの感性は「輸入」でなく、古来からあったのだということが分かったのが一番の収穫でした。 さて、聴きながら呟いたTweet群を記します。日本民謡大観は何十枚とあるので、大著を読み進める様なMP使う感覚がありましたw 東北篇 『日本民謡大観 東北篇1』 「ホーハイ節」は本当に特異点となっている民謡だなぁ。「米搗唄」といい、訛りが何とも異世界へ繋げてくれる。「道中馬方節」、みちのくの遠い旅路を想。「馬方三下り」日本のブルーズって、こういうカタチではなかろうか。「土搗唄(胴搗木遣)」やっぱり九州から一気に東北へ来るとその違いにびっくりするなぁ。「津軽山唄」凄い。これは秋冬に聴くと、身に凍みる寒さでさらに味わい深い。「ヤッチョイ」の謎を求めて陸奥の更に奥へ我々は旅立ったのだった。「南部銭吹唄」まるで口琴のような歌唱。ここにおいて北方の文化圏を感じる。それこそサハまで連なるような。 『日本民謡大観 東北篇2』 「じょんがら節」のカンタもいいね。「津軽小原節」の津軽三味線の線の太い音がまたいいね。高い男声がまたいい感じに合う。「八戸甚句」の攻撃的なカッティングがとてもいい。「相内盆踊唄」のファルセットな掛け声に可能性を感じる。「嘉瀬の奴踊」のパンチの効いた歌。やっぱり東北って特質的だ◎「なにゃ どやら」こりゃまたガッツのある歌だなぁ。「田名部おしまこ」この竹林を吹きすさぶ風のような唄、いいな。「田植唄」もこんなに倍音になるとは東北のバイブス凄すぎる。日本民謡大観、何度聴いても発見があるな。 『日本民謡大観 東北篇3』 「気仙坂」とかヤバすぎだろこれ…すっげぇな。おみそれモン。「さんさ踊唄」もやばい。さんさ踊り、こんなにヤバいのか。エグいビート感。 『日本民謡大観東北篇4』 漁師歌まで収録してるのはやるなぁ!漁師歌、興味あったんだよね。リズムと節の2つのヴォーカルが完全にワールドレベル。遠くから聴こえる唄と太鼓 『日本民謡大観 東北篇5』 「土突歌」とか、この世あらざる呼び声だ…!「草刈唄」草刈りでこんなにドープな唄歌うのかよ…!草生えるはこんなん。「秋田万才」て、なんかこの電気的に捻れたようなヴォーカル、いかれとるw!最高だ◎! 『日本民謡大観 東北篇6』 「秋田音頭」めっちゃヒップなラップじゃないか。驚いた。「西馬内盆踊(音頭)」とか、モロ「オラ東京さ行くだ」のルーツ的なグルーヴだなぁ。「ひでこ節(木伐唄)」深山に響くような声。山深い温泉にでも浸かりたい。「飴売唄」とか「杓子売唄」とか、仕事唄ってホントいいなぁ。仕事じゃないけどTweet唄とか、スワイプ入力唄とかあってもいいのかもしれないw後はOffice唄とかSalesforce唄とか。 朝、『日本民謡大観 東北篇7』をスマホのapple musicへ。 遠き呼び声に静かに整い、浪は凪いでいく。始めてみる異世界のような、けれど土地と魂が繋がっているように感じる東北の地。 『日本民謡大観 東北篇8』 「酒田甚句」を初めとして、マツリなことほぐ空気。楽しい音に、ポン酒も進みそうだ。スマホで流す民謡もいいもんだ◎田植踊の口上、まくしたてるリジムが超いい感じのフロウ。最高。 『日本民謡大観 東北篇9』そして『日本民謡大観 東北篇 10』聴いてる。東北篇もこれで〆。 「おつづら」やべーなw 関東篇 「田植唄(潮来出島)」からの「田植唄」のflow、流麗だ。関東の田植唄ってパリピ感あるんだよなw「飴屋唄」もアッパーでパワフルだ。「機織唄」の機織りのビートのなんたるかっこよさ!惚れたぜ。「石切唄」の石切りのビート音とか最高じゃん。「鰯網大漁唄」なんというか、新鮮鮮烈に情景が浮かび上がる。日本の光景だなぁ。今、新しい。「げんたか節」の酔いどれな節とかさ。 蝉声響く朝の町『日本民謡大観 関東篇2』をかけてる。 「餅搗唄」の餅搗きビート良すぎるな。「石刀唄」の石か刀を打つ音。民謡の仕事唄は、ビートが採音的なものが結構あって、それがまたたまらなく面白い。 国内旅行気分ならapple musicで『日本民謡大観 関東篇3』を聴くといい。 「草津湯もみ唄」や「利根堤防工事唄」なんてあるぞ。夏休みの自由研究の素材にもなるんじゃね?それはキッズには地味すぎるかw 『日本民謡大観 関東篇4』 「麦打唄」のやっぱらかいでなフロウ、いいな。「下妻そうだよ」のビートがたまらん。こんなかっこいいとは、やるな、下妻。「秩父音頭」の「おっせぇおっせぇおっせぇは」に笑うw「胴突唄」家を建てる際の唄か。ほどよくサイケでよろしい。 『日本民謡大観 関東篇5』 「小念仏(細田の川)」いいね。三味線のグルーヴがいい。 『日本民謡大観 関東篇6』 「銚子大漁節」このVoのフェイク、たまらん。「大漁木遣」もいいな。なんというか、手拍子のビートが逆にイマっぽい。「木挽唄」の鋸で木を切る採音が、キムタクのソロアルバム冒頭のコーネリアスの曲でサーフボードをワックスかけする採音みたいでいい。「餅搗唄(千本搗)」も餅をつく音が採音されてるけど、仕事唄ってAMSR的な面白さもあるよな(最近AMSRって聴かなくなってきてるからブームは消費されたのかもしれないけれど)。 『日本民謡大観 関東篇7』 「木遣唄」こゆな攻撃的なコーラスあるのか…スゲエな。江戸木遣「大木遣」のソウルフルさ、凄…!「今の十七」とか、中国民歌みたいな味わいがあるなぁ。「神奈川節」なんてのがあるのか。神奈川県民としてはこういうのをさっと謡えるとかっこいいよなぁ。 『日本民謡大観 関東篇8』 「米搗唄」のアッパーな畳み掛けの謡いと米をつくドンドンアゲてくるビート、ハイになる。「樫立踊(場踊)」の味のあるVoいいなぁ~。 『日本民謡大観 関東篇9』そして『日本民謡大観 関東篇10』を聴こう。 「長持唄(箱根駕籠かき唄)」のロングトーンのchoirに、なんか救われる。箱根越え、むっかしからしてたんだもんなぁ。「お船唄」がいいねぇ。 中部(北陸地方)篇 ◯輪でも各地の祭りが出たらしいけど、今かけるにあたってのヴィジョンのあるディレクションをしないと大火傷するのは長野五輪で学ばなかったのか。「酒造唄」液体がたぷんたぷんと酒の音がする。コーネリアスより遥か前から超アヴァンじゃん。「馬子唄」が渋つよつよにかっこいいブルーズなヴォーカルだったな。「真野音頭」のトライアングルみたいな金属音印象的だ。民謡はそれぞれの音が際立ち、スパイスカレーみたいだ。 『日本民謡大観 中部篇(北陸地方)2 』かけてる。 祭り拍子が聴こえる。盆だなぁ。「亀田甚句」いいねぇ、魂を燃やすようなヴォーカル。「鹿瀬おけさ」に中央アジアを感じるなど。「出雲崎おけさ」アガる!「地蔵堂おけさ」“そうそう、こういうのでいいんだよこういうので”に突入しとるw「佐渡おけさ・選鉱場おけさ」佐渡島の北沢浮遊選鉱場はめちゃくちゃいい光景だったなぁ。 『日本民謡大観 中部篇(北陸地方)3』 「柴崎よされ」いいねぇ。笛がピーヒャララだねぇ。鉦もいい。 『日本民謡大観中部篇(北陸地方)4』 「ノヨサ」まるでパプリカのようなノスタルジックなメロディ。「素麺さん」素麺の唄なんかあるのかw昼は素麺にすっかw?「帛の帯」古ぼけたレコードから流れる江戸な謡いって感じ。三味線のトーンといいイメージ的には御座敷で唄われるような。「堀之内囃子(祇園)」はさらに奥座敷な、神域でかかってそう。「堀之内囃子(堀之内甚句)」のシャウトがパンク。「七夕祭囃子舞」旧暦の七夕は今月だったよね。天の川に届くかのような電子的な笛の音が素晴らしいね。「木綿糸紡ぎ唄」のナチュラル帰って来たヨッパライボイスのお婆ちゃんの唄、いいなぁ。「蚕糸繰り唄(伊勢音頭)」の名調子!いいねぇ! 『日本民謡大観中部篇(北陸地方)5』 「網起し大漁木遣」こいつはロックなチャントだぜ。「越中おわら節」風雅だ。素晴らしい。「麦や節」金属的なVoに三味線がずんちゃかいっていい感じ。「新川古代神」というバチンカタンに三味線が鳴るアッパーな歌いいね。「古代神」に「古代臣」もある。「新保古代神」はなんかフィドルみたいな感じ。 『日本民謡大観中部篇(北陸地方)6』 「さんさい踊」のまるでサントリーウーロン茶の中国語カバーのようなピュアな歌。 『日本民謡大観中部篇(北陸地方)7』 「田切唄」の中国語みたいな質感。中国の田舎であったり、アフリカの森であったり、シヴィライズされる前のプリミティヴな感覚の発露が日本の唄の地層にはあるのだな。これってめちゃくちゃ希望のある話だと想。失われた本能をもう一度Digしていくと良いのかも。「たたら唄」ガコンとたたらの板が音を発している。空気を吹き込んで製鉄をする。民謡、仕事唄は産業を伝えるね。唄で息を合わせていたのだなぁ。「砂取唄」浜辺でかな?リバーブの効いた歌声にきゅっきゅざっざと砂を取るフィーレコが入る。こうした採音唄は民謡の大きな魅力だな。 『日本民謡大観中部篇(北陸地方)8』 「加賀万歳(町尽くし)」や「加賀万歳(お福の嫁入り)」での口上。この日本人古来のリズム、符割感覚がのちのちままごと「わが星」なんかにも繋がるのかなぁ。「白峰ハイヤ」「ハイヤ崩し」北陸にもハイヤ・ネットワークは広がっているのか…!「七分五厘の焼鯖」なんて唄があるのかwいいなぁ◎ 『日本民謡大観中部篇(北陸地方)9』 「梅運び唄」舟で櫂を漕ぐ音がよく聴こえる。「酒造唄」でも酒を回す?かき混ぜる音が良く収録されていた。めでためでたである。 『日本民謡大観中部篇(北陸地方)10』 「神子踊」の原住部族のような白火の熱を放つ歌。これは凄い。「猫の子」“猫は鼠獲る”という向井秀徳が歌いそうな詞wTLの音楽クラスタの中で浮いている感じだけど、個人的には民謡ってアヴァンなんですよ。「平家踊(かごめし)」もJPOPというよりワールドミュージック的な音の広がりというか、世界規模なSongカルチャーな音。「なんぼや」の合唱も、まるでブルガリアン・ポリフォニーじゃないか。「舟寄踊」の気が触れたような歌唱、最早オペラとか越えてる。元々こういう感覚が日本にもあったんじゃないか…。俺は日本の音楽土壌を狭く見誤っていた。「左義長ばやし(蝶よ花よ)」の推進力。踊り狂うパレードの画が浮かぶ。「左義長ばやし(四丁目)」のジャムセッション感!半端無ぇ! 近畿篇 落ち着いたトーンの唄が続いた最後に最高にブルーズ・ハイな「江州音頭」がかかり終劇! 『日本民謡大観 近畿篇2』 「寒天造唄(寒天裏返し唄)」なんてのがある。ハ~コーリャコリャコリャコリャ。 『日本民謡大観 近畿篇3』 「千本搗餅搗唄」餅のピタンとした採音が、魄こもった唄に重なる。餅搗き唄も全国で色々なパターンがあるなぁ。「茶揉唄」なんかもそう。 『日本民謡大観 近畿篇4』 「河内音頭」、「堀江盆踊唄」、「盆唄(おんごく)」、「鼓踊(鎌倉踊)」、「天神祭囃子(ダンジリ)」とここまで全部いいぞ!「素麺掛け唄」なんてのもあるんだなぁ。素麺を掛ける仕事を楽しくするために歌う人達。綿花畑で働く仕事唄が黒人音楽の一つの大河をつくったことにも通じるね。久しぶりにCotton Clubとか行きたいなぁ。 『日本民謡大観 近畿篇5』 朝っぱらから「酒造唄」。米麹の甘い匂いに噎せるかのようなええ気持ちだ。「醤油造唄(もろみかき唄)」のジャブジャブ音、「醤油造唄(樽洗い唄)」のザブザブゴシゴシ音。こういう必然性の有るフィールドレコーディングな音って「SE」を超越してていいね。 『日本民謡大観 近畿篇6』 「布織唄」の機織の音にドローン的な歌唱が重なるこの感じ。そこから「紙素打唄」の紙を叩くビート。「阪本盆踊唄(川崎)」のソプラノ和コーラスがなんともいえずいいね。「阪本盆踊唄(なんちき)」のナンバガ感な節回し。 『日本民謡大観 近畿篇7』そして『日本民謡大観 近畿篇8』 「蜜柑採り唄」がドローン歌唱過ぎるw「柿採り唄」の方が波がはっきりしてるがやはり節回しがドローンw「鯨踊(綾踊)」の寄せては返す波のような打楽がいいね。「オチャヤレ(串本節)」はええじゃないかないか◎ 『日本民謡大観 近畿篇9』 「お木曳木遣(子供木遣)」何気に日本民謡大観で子どもに歌わせるのは珍しい。トーシロ感がたまらない◎「真珠玉採唄」もう唸り声じゃないかwそれにしても本当に多種多様な仕事唄があったんだなぁ。仕事しながら歌っていいとか、案外イイよな、昔の仕事環境。 『日本民謡大観 近畿篇10』 「伊勢音頭(座敷唄)」こいつは腰にくるグルーヴな三味線と太鼓だな。「渡鹿野下田節」の女の子たちのちゃきちゃきな歌いいし、長浜節も最高にファンキーだ。渡鹿野ってまさか渡鹿野島?「さわぎ」やべぇw 中国篇 どこへ行ってもまずは田植唄。瑞穂の国だなぁ。「田植唄(朝の歌-本節)」のドラミング、粋すぎる。米国のバスカーのような打音!「餅搗唄」のパッドみたいなポンポンしたビート感がたまらねぇ。「地搗唄」もいい。クワイエットな良さがある、民謡。「湯かむり唄」の“カポーン”て音がしてきそうな温泉手拍子が良すぎるでしょ◎ 『日本民謡大観 中国篇2』 「がんりき」なんたるガッツのある歌唱だ。「田植唄(囃し田)長唄」タイ、イサーンみたいな笛だな。「籾摺唄」の籾が摺れるキーキー音。こんなAMSRでビリーアイリッシュとフィニアスに一曲つくってほしい。「麦搗唄」のポンポン搗く音でもいい。アーミッシュの生活、みたいなテーマで。「餅搗唄」のあの杵と臼の音は米国にはなくても小麦を粉にする音はあるだろう。「杭打唄(ヨイヤッサ)」「杭打唄(エントコナー)」これこそ素のヨイトマケの唄だな。 『日本民謡大観 中国篇3』 「味噌搗唄」の木が鳴る歌に癒される。「木挽唄」でもこんなにはっきりノコギリで切ってる音するのもめずらしい。とてもいい。鋸音は通低するビートになりえてる。「さんこ節(拳唄)」の手拍子、天然のJディラビートじゃないか。そこに乗るラップのフロウも最高。ヤバ。「石見博多節」島根に博多から人が来ていたのだろうか。「隠岐おわら節」というのもある。これは富山だよね。「ハイヤ節」もあるし、日本海側の交通の要所だったのかな。 『日本民謡大観 中国篇4』聴いてる 民謡かけてるといい感じに入眠できる。「盆踊唄(酒田)」や「盆踊唄(加茂)」の軽く歪むようなしなりのある明るい歌唱がなんともいい。歌の本能的な良さが出てる。日本民謡大観を聴くことで、“日本人の音楽はつまらなく、欧米やアフリカにこそ本物があり日本はコピーだ”みたいな偏見が消え「日本の音楽」のプリミティヴさがホント良く分かる。日本人自身こそが最も自分自身の音楽を見限り、「邦楽/JPOP」を“ここからここまで”と狭いところに押し込めているのかもしれない。民謡を聴くとビートミュージック的な先進的センスであったり、あるいはブラックミュージックな美味しさがある。これらの感性は「輸入」でなく、古来からあったのだ。「田植唄(7)」のフォーク的な絶唱。様々なエッセンスが民謡の中には見出だせるなぁ。 『日本民謡大観 中国篇5』 「油締め唄」のクリック音みたいなビートはなんなのだろう?オーガニックにこんな音でるなんて最高すぎんだろ◎「紙漉唄」の紙を漉く水音。小学生の時和紙を漉いたなぁ。ニガリの匂いを思い出す。「茣蓙織唄」の高速ラップ「石切唄(鑿とぎり唄)」の石を削る音。最高に「イマの音」なんだよな、民謡。「石切唄(打つけ)」も「石切唄(すくい)」も朴訥とした石切ビートがいい。「投げ節」まるで憂歌団の木村充揮さんみたいなブルージーな声だ。 『日本民謡大観 中国篇6』かけてる 人声どろーん。「季節唄(秋)」が淋しさを打ち消すような絶唱。そういやAgeHaの「さびしんぼナイト」って結局行かなかったな。クラブというのに20代の頃は親しんでなかった。 『日本民謡大観 中国篇7』 「田植唄(囃し田)晩唄」でアディエマスのように世紀を越える。「餅搗唄」も中国地方はアグレッシヴだな。「茶摘唄」悠然とした歌唱。「蜜柑撰り唄」の非バランスな感じ。「柿つき唄」柿をつく音、柿ってつくんだ!?「砂糖締め唄」砂糖って締めるんだ。なんか聴いてて中国地方の民謡が一番ティピカルに日本民謡っぽさを感じる。 『日本民謡大観 中国篇8』かけてる。 「石屋節」の石を打つ音「燐寸軸木揃え唄」なんてのもあるのか。 『日本民謡大観 中国篇9』 「安芸万歳」、これリズムがJukeみたいな異次元さあるな。民謡…恐ろしい子…!「一合蒔いた」がお婆ちゃんの可愛らしい歌唱でいいね。 『日本民謡大観 中国篇10』 「盆踊唄(岩国音頭)」「盆踊唄(野島盆踊)」のロックに割れた音。「盆踊唄(思案橋踊)」の壮大な映画のBGMみたいなスケール感。「雨乞唄(さんさ時雨)」の呪術的な闇の雰囲気。あらためて、なんか「日本」の典型的な音が中国地方にある気がした。 日本民謡大観、ついに後は四国と九州北部を残すのみだ。 四国篇 水換唄(水車踏唄)の水音アシッドフォーク感。「仕込唄(酒造)」のじゃぶじゃぶ音いいなぁ。桃源。 『日本民謡大観 四国篇2』 「石切唄(打つけ)」の絶唱と、石で刻むビートの対比が凄くいい。「石切唄(すくい)」はまた異なったゆるりとした石ビート「石切唄(のみとぎり唄)」はハイテンポな石ビート。石を打つBPMが用途によって変わるんだなぁ。 『日本民謡大観 四国篇3』 「ねんねんころりやおころりや」という「子守唄」!四国のだったのか!?他にも犬を撃ち殺して皮を剥いで太鼓に張る恐ろしい「子守唄」もw「牛の鼻やり唄」この突き抜けた歌唱のスケール感が凄い。桂林にでも響きそう。おじいさん凄い。「田植唄(朝唄・昼唄・晚唄)」にも水音が。本当に田んぼで作業してる感覚が伝わる。ナチュラルボーン水音。「和霊神社御田植唄(朝唄・昼唄)」の金属音の響きに“ああ金属って良い音鳴るなぁ”と想。 『日本民謡大観 四国篇4』 「籾摺唄」の朗々と雄大な歌をどしゃぶりを聴きながら。ラストの口上捲し立てもかっこいい。「楮打唄」楮(こうぞ)を打つ木のビートが良い。和紙づくりというのも日本文化の基本なのだなと感じる。 『日本民謡大観 四国篇5』 「馬子唄」の鈴の音にときめく。「馬曳唄」の鈴の音にも。これは馬に鈴をつけてるということなのかな?民謡は基本アカペラだから、楽器やSEの音に逆に耳が研ぎ澄まされる。 『日本民謡大観 四国篇6』 「伊予万歳(松山名所づくし)」のアゲアゲなビートに「伊予節」の奥座敷感。ああ道後温泉また行きたいw「伊予万歳」は三味線のテケテケビートがいい◎「盆踊唄(内泊音頭)」の太鼓いいなぁ◎「八鹿踊」の神秘的でサイケな音像が素晴らしい。 『日本民謡大観 四国篇7』 「麦打唄」のハスキーなヴォーカルが善きかな善きかな。 『日本民謡大観 四国篇8』 「藍こなし唄(馬子唄)」の鈴の音に遠く上げる唄が良いね。「馬子唄」ピコピコハンマーみたいな音が面白いw金比羅とか登る唄なのかな?金比羅さんに登ったときに駕篭で登っている人がいて“殿様だな”と思ったものだw「式三番叟」の太鼓ドラムがアフリカの部族かと思うくらいバリヤバスギ!これにグロウル気味の爺ヴォイスでこのトラックちょっとこいつは凄い。「戎舞わし」も太鼓がマージトライバル。出ました「阿波踊」!エライヤッチャエライヤッチャヨイヨイヨイヨイ! 『日本民謡大観 四国篇9』 「茶揉唄・茶摘唄」茶に関する唄も日本各地にあるなぁ。「木挽唄」の突き抜けるような声、鋸が引かれる音が響く。 『日本民謡大観 四国篇10』 「鰹節骨抜唄(ヨイヨイ節)など」こんな仕事もあるのだなぁ。衣食住が実体を以て浮かび上がる。「ヨサコイ節」本家本元のヨサコイってこんな感じなのか。滋味深い味があるね。 九州篇(北部) 「田の草取唄」水田の水を掬う音。時は初夏だろうか。情景が浮かぶ。「田の草取唄(がんづめ唄)」もジャブジャブやっとる。そして「麦打唄(芒打唄)」の天然匠のビート。仕事唄に心を合わせる。「籾摺唄」作業の喘ぎ声か木の擦れる音か、聴きようによってはえろいな、これ。 『日本民謡大観 九州篇(北部)2』 「酒造唄(酛摺唄)」の草津の湯揉みかと思うようなジャブザブ音がいいねぇ。ヨイショヨイショ。「炭鉱節(元調)」ものすごく素朴でシンプルなんだね、元調は。すっごく和んだ。これに比べると今の盆踊りでかかる奴はかなり化調をまぶしてる感じ。「馬子唄(駄賃取唄)」やはりベルの音がする。馬につけているのだろう。そして「ゴンゾー唄」。若松市唐戸町の唄らしいが、ゴンゾーとはどんな意味なのだろか?「石炭舟船頭唄」土地土地に仕事があり、仕事あるところに唄があるのだなぁ。そんな時の流れかたに肥沃さを感じる。土壌が裕になるあそびがあった。 『日本民謡大観 九州篇(北部)3』 「艪漕唄」艪(かい)をギィギィ漕ぐ音が謡いと響き合う。心の風景という感覚。「海老打唄」の棒で打つビートにソウルフルな歌唱が最高にアッパー。「大漁唄(芋種・住吉)など」この寄り合いで柏手合わせながら唄う感じ、地域コミュニティって感じだなぁ。「祝い目出度(エイショーエ)」なんつーか、江戸時代からの地場の祝い文化って感じだ。ちょっと生硬な感じがまたいいっすね。「博多節(ドッコイショ)」なんというか、九州北部には江戸時代の都市文化の空気がこの頃までは残ってたのかな。この翳の中で蝋燭の灯りで三味線と唄で奏でられる空気感、江戸時代ってイメージだ。「正調博多節」はさらなりだな。幽玄な世界だ。 『日本民謡大観 九州篇(北部)4』 「子守唄」も各地でまことに色々なものがあるのだなぁ。「石搗唄(本拍子)」などの錫杖のリズムビートがまたいいね。「鯨唄(巻上唄)(骨切唄)(大唄)」のシャーマニスティックな唄に、そして特に大唄のリズムの小気味良さにやられた。地場に根づいた文化があった。 『日本民謡大観 九州篇(北部)5』 「長持唄」。このなんていうかな、民謡なのだけど濃すぎずさらっと唄うのが何とも粋だよね。「ノンノコ節(皿踊)」の爆発的なチャント。拍子木のビートと録音ノイズと相まり凄いことになっている!「田植唄」、沁みるね~。「田の草取唄」だけでも幾曲もある。幾田りらちゃんもビックリであろう。 『日本民謡大観 九州篇(北部)6』 「籾摺唄」キィキィ籾(もみ)を摺っている。「米搗唄」ではゴンゴン米を搗いているし、ホントに仕事唄というのは音の情景でもあるなぁ。「米搗まだら」の面妖な雰囲気、いいね。畳み掛けられる。「地搗唄(千本搗)」の搗く音だけでなくヤブ医者などをDISる唄もいいw「胴搗唄(本音頭)」の「やりますぞやりますぞ」な唄がいいね。「新地節」いいなwヤッチョケヤッチョケw「鯛の一本釣り唄」なんてのもあるのか。そして「鯨唄(大唄・正月唄)」の荒々しい男っぷり、かっけーな。 『日本民謡大観 九州篇(北部)7』 「磯節」の冥丁な唄い。「のんのこ節」のフリーキーさ、凄。これはプリミティヴな魅力にあふれてるな。日本語の歌の限界が軽やかに突破されていく。 『日本民謡大観 九州篇(北部)8』 「田植唄(9)」秋の夜に、通っていく歌声に物を想。「御田植唄」の女声に、少しほぐされる…。 『日本民謡大観 九州篇(北部)9』 「池の棒打唄」といい「胴突唄」といい「ケンチャン節」といい、快く滑らかに琴線を響かせるメロディだ。「千本搗(掛矢)(車搗)」の畳み掛ける歌唱。「酒造唄(酘搗唄)」の揺蕩う音。「艪押唄」の荒い掛け声、いいねぇ。「鯛の一本釣り唄」のぴちゃんぽちゃんに「海老打唄」の予想外にアッパーなビート。「船曳唄(松前木遣)」の男声歌唱のかっこよさ。「コツコツ節」の江戸時代の風情な三味線に声調な歌唱に「コツコツ」の合いの手。 『日本民謡大観 九州篇(北部) 10』 ついにこの1枚に。「別府流し」の江戸な節回しで始まり。「日田節」「盆地節」「下ノ江節」「じょうさ節」と三味線ベースで江戸情緒を伝える女声の歌。「出雲節」では翁声で山の神に捧げられるアカペラが。「姫島盆踊唄」では拍子木のビートが素晴らしい。「盆踊唄」のファンシーな感じもいい。「盆踊唄(博多踊)」のさりげなくきさくな感じ。こういった軽やかさはいいな。重くないのが逆にオトナの余裕を感じさせる。「盆踊唄(左衛門)」のこの拍子、おっもしろいビートだなぁ。晩期RIP SLYMEに通じるようなそして「盆踊唄(笠づくし)」の鐘の音の強さ。民謡を聴いていると金属音の魅力の強さにも逆説的に気づかされる。感覚が研ぎ澄まされる。「盆踊唄(山路踊)」江戸時代の喧騒の雅に紛れ込んだような感覚。音によるVR。「鶴崎踊(猿丸太夫)」凄いなぁ。宴も酣。この歌唱、めちゃくちゃファンタジック。続いて「鶴崎踊(左衛門)」もすっごくいい。ラストは「堅田踊(お為半蔵)」さらりと去っていく さて、こうしてApple Music上にあった70枚を聴き通したのですが、ここには沖縄・北海道だけでなく東海地方の音源何かもありません。”どういうことかな?”と調べると、なんとApple Music上にないだけで、実際は『日本民謡大観 中部篇 下 (中央高地・東海地方)』『日本民謡大観 九州篇(南部)・北海道篇』 『日本民謡大観 沖縄奄美 奄美諸島編』 『日本民謡大観 沖縄奄美 沖縄諸島篇』 『日本民謡大観. 沖縄奄美 宮古諸島篇』 『日本民謡大観 沖縄奄美 八重山諸島篇』があるとのこと。なんでApple Musicにないんだよ~、国会図書館案件かよ、頼むぜ~。とw さらに二度目に東北篇を聴いてみるとさらにきめ細やかに聴けて。日本民謡の探究はまだまだ続きそうです^^ と、言ってたらApple Musicでみつかりました!
by wavesll
| 2021-11-07 18:32
| Sound Gem
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