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令和三年のMy Favorite Music Journey

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2021年も大晦日、恒例の今年聴いた音楽の中からフェイヴァリットなもの、マイブームだったリスニング体験をアルバム音源とライヴ音源から綴りたいと想います。

1. 日本の音楽に触れる

『神々の音楽 — 神道音楽集成 —』

『日本民謡大観』

『かなす ウチナー・ミャーク・ヤイマ』


元ちとせ 『故郷・美ら・思い(しま・きょら・うむい)』

『アイヌ・北方民族の芸能』

笹久保伸 with marucoporoporo Live at Sukiyaki Meets The World 2021 『CHICHIBU』と『秩父遥拝』の先にある響
笹久保伸『CHICHIBU』ブラジル、U.S.、 日本のアーティスト達とfeatし創られた澄明で奥深く、秩父そして音楽の表面でなく内面に深める音世界
SOI48 VOL.45 南大阪『昔、近藤組 今、宝龍会』SPECIAL@堺魚市場 にて泉州音頭 宝龍会、BOOGIE MAN、DJ紫式部、Jap Kasai etcをみる!



今年一番巨大なプロジェクト的なリスニングとして、Apple Music上に在った『日本民謡大観』全70枚を聴いたというのがありました。

多種多様な仕事唄に纏わる必然的なフィールドレコーディングな採音がAMSR的に唄と共にビートミュージックとして響いて、“日本人の音楽はつまらなく、欧米やアフリカにこそ本物があり日本はコピーだ”みたいな偏見が消え「日本の音楽」のプリミティヴさがホント良く分かったのは本年一番の気づきでした。

そこで漏れていたアイヌ、琉球、奄美の音も個人的に補完して。日本って多文化が息づいている列島なのだなぁと。「日本の伝統音楽」から今の邦楽へ一本背骨を通して聴ける素地を自分なりにつくって。

その意味で最も攻めた音が鳴っていたのはSUKIYAKI MEETS THE WORLDでのSHIN SASAKUBO with marucoporoporoのLive.

笹久保さんが本年リリースした『CHICHIBU』は令和三年で一番繰り返し聞いた音楽だったと想います。特に1曲目のSam Gendelとのコラボ曲の幽玄さはまるで長谷川等伯≪松林図屏風≫のような風合いで、意識と景色が融け合う心持になりました。

SUKIYAKIではその『CHICHIBU』のサウンドと『秩父遥拝』の仕事唄が電子的な効果も含めて止揚されて表現されてまさに現代的な民謡の世界が展開されていて。素晴らしかった。

また折坂悠太の『心理』にも民謡的なものを現代楽曲へ織り込もうという志を感じて、非常に好かったと想います。こでらんに~AJATEといったアフリカX民謡・祭囃子の動きもあったり、それはここ5,6年民謡シーンを追ってきた人間としても嬉しい所で。そして今年もソイパで各地の祭囃子や民謡の実演をライヴ中継でみれたのも様々な扉が開かれ嬉しい事でした。

そんな中で去年の『天籁, 中国少数民族原生态民歌典藏』に続いて、民謡からさらに領域を広げるリスニングとして手に取ったのが『神々の音楽』。神道の音楽をじっくりと聴き込むのは初めてでしたが、Disc1の神社神道の祭式で参進(さんしん)の際の小鳥、そして虫の鳴き声のフィールドレコーディング感から始まり、白眉は開扉(かいひ)で御扉が開かれる「ギイィィィ」という音と共に笏拍子のぴしぃっとしありましたた音と「オォオーーー」という警蹕(けいひつ)が、なんとも神々の世界が開かれる感覚で凄いものがありました。

2. Sam Gendelに嵌る

PINO PALLADINO & BLAKE MILLS - NOTES WITH ATTACHMENTS 未来の音楽の現在の実演


『Sam Gendel & 笹久保伸』, Sam Gendel & Sam Wilkes『Music for Saxofone and Bass Guitar』, 『Inga 2016』
Festival de FRUE出演から気になっていたけどイマイチ魅力に気付けていなかったサム・ゲンデルに、ピノ・パラディーノの初リーダーアルバムから一気に嵌って。今年のSamは八面六臂の活躍でしたね。笹久保伸『CHICHIBU』にも折坂悠太『心理』にも参加していますし数時間もの配信アルバムもリリースしたり。

Sam Gendelのサックスの破裂音が、なんかエレキギターみたいに歪んで聴こえるんですよね。どうやってPlayしているんだろう?Saxってこんな音出せる楽器だったんだ…!?という驚きは真に新鮮でした。

3. Kiko DinucciからMetá Metáに嵌る

KIKO DINUCCI - "na boca dos outros" 楽器の音色のレアな気持ち良さが素晴らしいブラジルからの快盤


Metá Metá - MetaL MetaL サイケ・ジャズ・サンバの宇宙的パンキッシュな土着アフロ・ブラジル音楽


METÁ METÁ - GIRA サンパウロのエクスペリ・サンバ・バンドがミナスの前衛バレエカンパニーに書き下ろした劇伴


今年本当にたまたま見付けたアーティストで一番感銘を受けたのはKIKO DINUCCI。彼は90sにPersonal choiceというハードコア・バンドをやってからサンバへ来たようで、いわゆる商業王道MPBばりばりというより、アーティスティックな機知がサウンドに込められていて。Kikoが中心人物としてPLAYするバンドMetá Metá はさらにエクスペリメンタルなサンバサウンドでこちらも嬉しい出会いでした。

4. Hyper Popから80'sサンパウロ新興派に嵌る

Arrigo Barnabé - Clara Crocodilo (1980) フレンチに空耳する奇天烈80'sサンパウロ新興派


Itamar Assumpção - Beleléu, Leléu, Eu サンパウロから来た超絶ヘンテコ歌モノ・1980のHyper Pop


Arrigo Barnabé - Cidade Oculta O.S.T. (1986) ブラジルの「おっれはジャイアーン」なダミ声から始まる奇怪エレポップおんがく
Bazali Bam - Bazali Bam ウルトラポップな南アのアフロサイケ
Poder del Alma - Mimo / Bacanal 76 ニカラグアのウルトラ好いラテンファンク


20s初頭を飾ったHyper Popの隆盛。日本でもウ山あまねなど新時代の旗手が現れてきている中、個人的に嵌ったのは80sのサンパウロ派と呼ばれる音楽でした。

この奇妙奇天烈ヘンテコな音が自分の中ではHyperPopと呼応していて。特にArrigo BarnabéとItamar Assumpçãoは本当に脳みそがタルタルソースにでもなってんじゃないかと想うくらいイッチャっててヤバかったwサンパウロ新興派、おすすめですw

また"POP"という点ではBazali BamとPoder del Almaの盤は大変印象深いものが在りました。

5. Latin/Euro

Rubén Rada En Vivo@相模女子大グリーンホール ウルグアイのカンドンベ・レジェンドの最高のライヴ


Cribas + Diego Schissi Quinteto Live Streaming From Argentina


Raúl Monsalve y los Forajidos - Bichos 歓びが爆裂するベネズエラン・フューチャリスティック・ラテン・ファンク・アフロビート

Nair Mirabrat - Juntos Ahora ポップな強度と南米音楽の芸術性を双立させたウルグアイのカンドンベ・ロックのイマ


FRENTE CUMBIERO - Cera Perdida コロンビア発、最高なMusicaのチカラ



Bruno Pernadas Pinehouse Concerts



今年唯一のライヴだったルベン・ラダは外せない音楽体験。カンドンベのリズムで会場が一つになったあの時空、やっぱりライヴは生だなぁ。

と想いながらもCribasとDiego Schissi Quintetoによる、まるでブエノスアイレスの昼と夜を顕したようなライヴ配信も素晴らしかった。

また年初に聴いたヴェネズエラのフューチャリスティックなファンクの衝撃は未だに余波が残るくらい。

Antonio LonreiroプロデュースのNair Mirabrat - Juntos Ahoraは南米(ウルグアイ)の清涼な芸術性とPOP的強度を双立させてとても好かった。

Frente Cumbieroはきびきびと爆発するこのストレートな音楽の楽しい気迫にやられましたね。

そしてポルトガルの気鋭グループは20sらしい混淆音楽の非常に質の高い音を響かせてくれました。

6. Brasil

André Mehmari & Antonio Loureiro - Matéria de Improviso 天空のインプロヴィゼーション


Piry Reis - Caminho Do Interior CARMOからの風 電子音のMagicoと南米の抒情

Eliana Pittman - La Fabulosa! 太陽のように華やかに高まるボッサ・グルーヴ メガレア盤

VASCONCELOS SENTIMENTO - FURTO 新世代のCHAOTIC JAZZ FROM RIO DE JANEIRO



CéU - CéU (2005) ビートがめっちゃ面白い伯剌西爾のおしゃんな女性シンガー

Mandala - Mandala (1976) GismontiやHermetoともPlayした面々による適度にエクスペリメンタルなブラジリアン/ジャズ

Caetano Veloso - Meu Coco リズムが瀟洒で上等な空間を創ってくれるブラジル巨匠の2021作


アンドレ・メマーリとアントニオ・ロウレイロのこの配信盤は今年随一と言ってもいい位良くて、あまり年ベスで見掛けないのはフィジカルが出てないからだろうか。

それに次いで素晴らしかったのがPiry ReisがCARMOからリリースした盤。CARMOはEgberto Gismontiが主宰するレーベルで、ここから出ているのはまず間違いないです。

そしてCDの山からサルベージしたEliana Pittmanのこの盤も素晴らしかった。これ、新宿タワレコで買ったんだよな…たしかタワレコ企画盤だった気が。街のCD屋を潰したら失われる文化的価値は途方もなく大きい…。

リオのVASCONCELOS SENTIMENTOことGUILHERME ESTEVESが放つ宇宙的で煙くて美しくてジャズのかっこよさが凝縮されたサウンド。こういうの、たまらない。こんなのがかかっている小箱に躰揺らしにいきたい。

ブラジル出身で米国にも進出したCéUは何といっても冒頭のクシュクシュっとしたビートが面白い!アンニュイなヴォーカルは最初”フランス語?”とも思ってブラジルと言うのは意外だったのですが王道のPOPど真ん中でもビート感がかなり面白く聴けました。

Mandalaはメンバーの多くはエグベルト・ジスモンチやエルメート・パスコアル周辺で活動していた面々であり、のちにグルーポ・ウンやパウ・ブラジルといった伝説的なバンドを結成という、当時のブラジルの腕っこきの面子が揃ったバンド。鈴の音、水音、ARPシンセサイザー等、遊び心のあるブラジリアンジャズで好かった。

カエターノの21年作は何といっても表題曲「Meu Coco」の瀟洒なリズムのお洒落さと面白さ!これに一気にやられました。

7. Africa

Fulu Miziki Pohoda 2021 サイコーに楽しいコンゴの音楽戦隊によるFes Live!!!!


Omar Khorshid and his Group - Live in Australia 1981 20世紀少年は伝説のエジプト人ギタリストの夢をみるか


Cameroon Garage Funk 陽るい衝動 from 首都ヤウンデ


Weedie Braimah - The Hands of Time ジャンベの奔流が途轍もない西アフリカのジャズ

ヴィジュアルも含めたライヴ・パフォーマンスで今年一番楽しませてくれたのはコンゴのFulu Mizikiでした。

そして”え!こんなギターってアリ!?”な驚きをくれたのがエジプトのOmar Khorshid!

カメルーンの首都ヤウンデが音楽的な隆盛を迎えていた70年代にアドベンチスト教会のムッシュ・アウォノの手によって録音されたインディー音楽家たちの血沸き肉躍る音楽集のこの太く激しい音!

さらにジャンベの怒涛の奔流で一気に場を持って行ってくれたのはWeedie Braimah!!!アフリカ、超弩級。

8. Asia

Pwal! Pwal! Pwal! #1 ミャンマー音楽祭でサインワインなどを楽しむ


Firyuza (Фирюза) - S/T トルクメニスタンの何とも奇やしい配合のヴァイオリンが入ったエスノジャズ
Gede manik - Bali Barong バリガムラン「Gong Kebyar」の超高速乱雷打


ミャンマー支援のイヴェントで”これは凄い、日本でサインワインが生で聴けるなんて”と想っていたのがコロナで配信のみに。それでもやっぱりパッワインはまっこと素晴らしい楽器。ミャンマー情勢は悪化を続けて。支援の為にも、そしてその藝術の素晴らしさからも、リアルイヴェントが開催されたら馳せ参じたいです。

そしてトルクメニスタンのFiryuzaはその民俗音楽具合とジャズの融合の仕方が最高の塩梅。

天才作曲家/異能振付師Gede Manikによるバリ島北部ブレレン地方で興った超過激ガムラン音楽『Kebyar(稲妻/閃光の意)』スタイルの最もハードコアな演奏を聴くことができる75年のレコード。クビャールは瞑想的な宮廷ガムラン音楽を爆砕し、豪放磊落電光石火なサウンドをがなり散らしてくれました。

9. Rock

Se So Neon 「Jayu」「joke!!」


betcover!! "時間" 20210829 (Full Live) 2021年のロックの在りよう

Low - HEY WHAT 『Bon Iver』の先にあるような静謐にドラスティックな世界
People In The Box『Citizen Soul』

DenDerty & МОЛОДОСТЬ ВНУТРИ - Горе


KPOPには斜め目線をしている自分ですが、それでもBTS「BUTTER」は大したもんだなぁなんて想っているとロックバンドでもこんな空間を利かした音を鳴らしてる奴らがいるとは。

そしてbetcover!!は90sの邦オルタナ、そして90sや60sの邦サイケといった日本のロック土壌にジャズロックやEDM的ブレイクダウン、そしてJPOPな抒情性を入れながら、それらを全てその殺気にも似た存在感で纏め上げるというヒリヒリした好いバンドでした。

Lowはまるで『Bon Iver』1stの先にあるような静かで穏やかですらある歌に、えげつないインダストリアル・ノイズ・ギターが入ってくる音像。この静謐さとSolidさの交叉はノイズミュージックに新たな世界を開いてくれました。

そしてPITBの魅力に開眼できたのも今年の個人的に大きなトピック。2010年代、平成の終期にこんな音が鳴っていたとは。

またDenDerty & МОЛОДОСТЬ ВНУТРИ - Гореも好かった。ロシアンロックって偶に無性に聴きたくなるんですよね。

10. 電子音楽/Field Recording

Eli Keszler - Icons 古代遺跡の様な、しかし同時に最先端の現代都市の様な音像の静謐と躍動のエレクトロニクスと生音


Shuta Hiraki『絹雲 Cirrus』採音がゆったりとしたビートになり、静謐の中に刺激の波紋が幾つもさざめく好盤


Teno Afrika - Amapiano Selections 南アの靜かに高揚し時めく電子×生音の連鎖


Zeitgeist Freedom Energy Exchange - Kreuzberg Kix コズミックでフューチャリスティックな生音サンバ・ハウスfromオーストラリア

NYを拠点に活動するパーカッショニスト/コンポーザーのEli Keszlerによる作品は古代のような、しかし同時に最先端の現代都市の様な音像は、まるで遠い未来にNY摩天楼が植物に侵食風化され遺跡化したような風景が浮かぶよう。

Shuta Hiraki氏の作品は2014~2018年の間に録り溜めていた生活圏内の様々な音を用いたサウンドスケープ的な内容で編集/作曲は2018年10月~2019年3月にかけて行いました。とのこと。

採音が静かにさざめいて、ゆるりとしたビートを形作って、軽く低音の弾力を感じて、精神が静謐の中で刺激され高められていく感じ。フィーレコと楽器の、音楽と生活音の狭間をゆらゆらと航行していく、”こういうの、いいよね”という今の私の皮膚感覚にはJustな盤(テープだけど)。

そしてFestival de FRUEに来日してくれたTeno Afrikaのこの盤でAmapianoの魅力に目覚めることが出来ました。またFLIP SIDE PLANETで知ったEnergy Exchange - Kreuzberg Kixも非常にクールで好かった。

11. Experimental

FINALBY() LIVE AT FUJIROCK'21


筒井響子 - ey! ダクソフォンによる木の暖かみのある質感の、森の獣のようなエクスペリメンタル


Dario Rossi - full set - Paris République, Sep 10 2015 クラブのピークタイムを人力鍋パーカスで鳴らすストリートミュージシャン

COVID-19の緊迫した空気の中で開かれたフジロックで、もうやりたい放題やってくれたEYヨが優勝。ステージ上の三角コーンが明滅してるな~と想ったら神人のようなエフェクトのかかったEYヨが出現し三角コーンを振り回し場を攪拌・攪乱!まるで新興宗教団体の教祖のような感じ。これ、ソフトで人を切り抜いてそこにエフェクトをかけることをリアルタイムでやったのだと思うけれど、現地でどうみえたかすげー気になるなー。凄過ぎました。

そして愛知を活動のメインとしながらも舞台でのオケの一員としても活躍もされるダクソフォン奏者、筒井響子さんの2021年作はダクソフォンの第一人者である内橋和久さんに師事する筒井さんによる本当に多様な音!まるで獣の声みたいな音からエクスペリメンタルな音まで出るんですよね。本アルバムでは木の質感が伝わる暖かみのある音が良く響いていて、それがミニマルな、電子音楽的な響きにもなるのがとても印象を残す素敵な盤でした。

またDario Rossiのこの鍋でクラブのピークタイムを鳴らすって読んでもワケワカメだと想いますが、みてください、ぶっ飛ばされますw

12. Rap

Daoko A(nima) HAPPY NEW TOUR 2021@Shibuya Sakura Hall 魂の頂、情念の焔、等身大な異次元の閃光、愛ある音楽


Dos Monos - Larderello 「イマの次代」な異界を開くラップ・アルバム


Tohji, Loota, Brodinski - KUUGA 艶歌トラップな妖境


ままごと『わが星』時空間をラップする平成後期の記憶がよみがえる演劇

名盤『anima』の網守将平(Key)、永井聖一(G)西田修大(G)、鈴木正人(B / LITTLE CREATURES、sighboat)、大井一彌(Dr / DATS、yahyel、LADBREAKS)をバックにしたDaokoのライヴ。

「VOICE」の生ドラムでの完全に声が開花したパフォーマンス、“歌劇でも始まるのか?”なイントロからのカオティックゴシックロックな「ゆめうつつ」に物凄く進化/深化したアレンジの「海中遊泳」でエモの深海へ連れてかれ、そこからの「anima」!これ、凄過ぎない?魂を擲って唄う姿、この日のピークは間違いなくここでした。裂帛の魔術が起きていた。そこからの「ゆめみてたのあたし」に込められまくって溢れ出るエモーション!この流れは凄まじかった…!

Dos Monosの新作は、テレビ東京でDos Monosと「ハイパーハードボイルドグルメリポート」のディレクター上出遼平がタッグを組んで制作している番組「蓋」のサントラとも言える内容。

ちょっとゲーム音楽っぽかったり非常にロックを感じさせるトラックに彼らの弾幕のようなラップが迫る楽曲たちは何か新しい音楽が開幕している感覚があります。ゲーム音楽的なセンスを取り入れるところはceroの新作とも共鳴している「イマの次代」感があり。「Y」と「地下熱」のその熱量、そのグルーヴからしてまっことヤラれました。

TohjiとLootaがプロデューサーに『Yeezus』のBrodinskiを迎えたコラボアルバム「KUUGA』。

大枠で言えばトラップなのでしょうが、歌になってるし、その節回しが歌謡曲っぽいというかボコーダーのケロ声が演歌のコブシ的にも聴こえて。別の方向から聴けばアラビアンな感覚もあるというか、最近アラブ的な節回しをスパイスに使うミュージシャンも多いですが、このEPは一種唯一無二なテイストで凄く面白かった。イキリというか、イキリを突き抜けてドープな妖境へ行っている感すらあるこのサウンド、凄いなぁ。

そして口ロロの三浦康嗣氏が音楽を担当した「わが星」は時空と星間をドラマにしたこの演劇として心の柔らかい部分をぐぐっと掴むエモさを持っていました。

13. Acid/Avan

下田逸郎 『飛べない鳥と飛ばない鳥』(1973) コンガ、ボンゴの鳴る「あの世感」のあるアシッドフォーク名盤


Erica Pomerance - You used to think (1968) アヴァン・フォークの傑作中の傑作、フレンチ・カナディアンの美味しい音楽


Călin Ioachimescu, Șerban Nichifor "Oratio II, Magic Spell, Miss Christina" ルーマニア発 耽美で幻想的な悪夢惑星のサウンド

Grouper - Shade まどろみに砂嵐なざらつく撓みの先にある清冽な唄


下田逸郎は宮崎県生まれのシンガーソングライター。下田の心あふるる歌声のアシッドフォークにコンガ、ボンゴの鳴りが入ると、坂本慎太郎みたいな幽玄の「あの世感」が生まれて惹きこまれて。後半の英語曲も含めて、アシッドフォークとして世界とも対峙できるクオリティとスケール感のある名盤。

カナダ東部のケベック州出身の詩人でありソングライターでもあるエリカ・ポメランス。1960年代から70年代にかけてフリー・ジャズ、サイケデリックのアルバムを多数発表していたニューヨークのESPレーベルから'68年にリリースされた唯一作。ヴォーカルのなんとも妖しさを湛える感じにギター、笛、ドラム。そしてタンバリン?の鈴の音が影世界の扉を召喚されています。

次はブカレスト出身の作曲家Calin Ioachimescu、そして同国のチェロ奏者兼作曲家のSerban Nichiforにより一音目から何とも幽玄で邪悪、耽美で明媚な幻想世界を探査しているような、冨樫が画く悪趣味で風変りな惑星に迷い込んだかのような。管弦、笛、電子楽器、そしてウィスパーが一つのミクロコスモスと展開調和されて。すぐさま惹きこまれ、そして気持ちが刺激され揺蕩いながら最後電子音が風に消えていくまで聴ききることになりました。

そして米ポートランド生まれのミュージシャン Liz Harris こと Grouper の12枚目のフルアルバムにして15年にわたる楽曲のコレクションとのこと。基本的な核心部はフォーキーなギターの弾き語りなのですが、声と音を重ねたその音像がざらつくノイズのレイヤーと撓む音響で処理されていて、一聴して”なんかこういうのありそうでなかったかも”と想って。非常に新鮮味をもってこの撓む澄明な唄を聴けました。とてもよかった。

14. Jazz

冬の早朝に関根敏行Trio - Strode Road


Teo Macero ‎– Acoustical Suspension (1985) マイルスのパートナーによるモーダル・ファンクの劇烈魅力盤


ベースミュージックとしてのGil Scott-Heron & Brian Jackson ‎– Winter In America (1974)

関根敏行は硬質なピアノで。クラブで火照った躰を冬の空気に曝し、もうひと音楽と言う時に小箱でこんなんかかってたら乙だなと。

TEO MACEROはマイルス・デイヴィスと新たなジャズを創り上げてきたサックス奏者/コンポーザー/プロデューサー。初っ端のThe Man With The Hornの太い音もいいし2曲目のSlow & Easyのヴィブラフォンなど序盤もいいのですが、後半に行くにつれてどんどんグルーヴが爽やかに高まって行って、4曲目のSummer Rainのシティポップのような音像に、表題曲である6曲目のAcoustical Suspensionの突き抜けるスバラシサ。

Gil Scott-Heronの低音Voiceに第一音のBrian Jacksonのエレピの音に”おぉ!これはイマの感覚で聴けるぞ”と。低音ががどがど来る感じがスゲーいい。Strata-Eastか、『Rare Groove A to Z』にも載ったブラックジャズ名盤なのか、とか付属情報も得ながらも、何よりもこの音、ゆったりとしてるけど低音を中心としたベースな音が最高でイマの耳で聴けました。

15. Ballet/舞踊

プレルジョカージュ振付 バレエ 「ル・パルク」「PLAYLIST #1」現代の映画をも超える程の心情が突き刺さるコンテンポラリー・バレエ


チューリヒ・バレエ『冬の旅』コンクリート打ちっ放し的ステージで舞われるシューベルトの冬の詩情


【日本舞踊Neo】「地水火風空 そして、踊」 接ぎ木感なく現代を消化し昇華した令和3年/2021年の日本舞踊映像の傑作

COVID-19で緊急事態宣言になってからこっち外出を控えていた時にNHKBSPプレミアムシアターでみていたバレエ・オペラ。音楽の身体による顕現としてバレエのノンバーバルな表現は素晴らしくて。

その中でも今年観たコンテンポラリー・バレエ、プレルジョカージュの振り付けの作品とチューリヒ・バレエ「冬の旅」は大きな感銘を受けました。また日本舞踊も「地水火風 そして、踊」という素晴らしい作品がありました。

16. Art-Music

ニューアカオ観光



DOUBLE FANTASY - John & Yoko展@Sony Music Roppongi Museum

クリスチャン・マークレー トランスレーション[翻訳する]展
第73回正倉院展


本年は音楽と美術の境界を越える展覧会が多かった。John & Yoko展では「Imagine」の直筆歌詞などがみれたり、クリスチャン・マークレー展では擬音が躍動したり、映画のサンプリングで四面で映像と音楽が流れたり”音が見えた”。また正倉院展でみた≪螺鈿紫檀阮咸≫は格別の宝物古代楽器で。

そしてニューアカオでの展覧会。メインダイニング錦で鳴り響く小松千倫「Endless Summer」のノイズ・エクスペリメンタルはまるでニューアカオの葬送。圧倒的な存在感がありました。

17. インド音楽への旅

西ベンガルの兇悪サウンドシステムDJ TAPAS MT

SU REAL, Pineapple Express 印DMにトランシー・プログレッシヴ・インディアン・メタル イマのインドの音楽シーンが面白い
RAF-SAPERRA - G'LASSY RIDDIM ブリティッシュ・エイジアンによる沼の様な粘度のVoとBeatのバングラ
Saagara - Saagara 南インドとポーランドの邂逅による超絶革新音楽

こうして続けてきた令和三年に出逢った音楽の旅もこのパートがラスト。

最後は来るべき年にDigりたいと想っている分野を。今年はインド音楽が現行チャート音楽、サウンドシステム、印DMにブリティッシュエイジアンからジャズまで私の中で発火して。”これはいよいよインド音楽の深淵を覗く時が来たのでは”と。

また来年も素晴らしいSound Gemを集める旅が出来ることを祈念して。皆さま、良いお年を。

by wavesll | 2021-12-31 12:31 | Sound Gem | Comments(0)
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