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アシュターヴァクラ・ギーター 真我の輝き 訳:福間巌 読むだけで心的容量が拡がる感のあるインドの聖賢に愛された最も純粋な聖典

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Webで知った本書。インド哲学というのをしっかり読むのは初めてだったのですが、平易な言葉で「真我」について画かれ、読むだけでこちらの心の容量が大きく広がるような想いになって。素晴らしかった。

「アシュターヴァクラ」というのは『ラーマーヤナ』にも登場するキャラクターだそうですが、本書の著者は不詳です。けれど、その言葉たちの澄明さは、大いなる力を以て読者に語り掛けてきます。

そこで展開される論は、端的にまとめてしまえば「あなたは宇宙すべてである。観照者、気づきである。故に身体はあなたではない、真我に目覚めれば、『心』から解放される」というもの。

「己」が「宇宙」まで満ちていれば、俗世での怒り、悲しみなどはそもそも存在もせず、何にも心脅かされず、瞑想すら必要なくなる、と。こういうことが幾度も幾度も変奏されていきます。

仏教でいう「悟り」とはこういうものか、とか、あるいは我執を滅して心の安定を得るという意味ではマルクス・アウレリウス『自省録』からすらさらにその深奥に進む論な気も。あるいはそこで在る「神」はスピノザ的にも感じて(アシュターヴァクラ・ギーターでは神という概念すら認識する必要がなくなるそうですが)

ただ、現代日本視覚文化に触れている人間としては、『私』が溶けていく、完全たる存在になるというのは人類を補完する計画にも感じられたり、エヴァ旧劇の元ネタである漫画版『風の谷のナウシカ』終盤での、完全になることを否定し人間の業を引き受け生きる選択を想ってしまうところはありました。

自我・個人の意志という活動の源である力と、本書で画かれる圧倒的な心的空間・絶対的な真我の自由。この二つの間で揺れ動きながら、一種両輪を以てこの世界を渡っていけたらなぁと想う処です。少なくとも一読には真に値する名著だなと感じました。

by wavesll | 2022-01-29 07:15 | 書評 | Comments(0)
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