楳図かずお大美術展にて≪ZOKU-SHINGO≫を観る 極彩色で画かれる純真なHorrible御伽草子

楳図かずお大美術展を六本木ヒルズでみてきました。

目玉は百一枚にも及ぶ一枚絵の連作による漫画《ZOKU-SHINGO》！総天然色の筆致渦巻く作品世界！楳図先生、枯れるどころかますます迸ってました！

もう悪夢を見ているようなドライヴがかった超スピードで物語が展開されて。漫画と美術って、たとえば山口晃が漫画作品を描いていたり、あるいはタイガー立石がコマ割りした絵画を描いていたりしますが、がっつり普通に面白い漫画作品を力篭った一枚絵の連作で漫画新作全体を描ききるというのは実はこの上ない横綱相撲な凄味を感じました。

≪ZOKU-SHINGO≫は撮影不可だったので、今か書くネタバレ感想は、是非ご覧になってからMoreをクリックされることを願います。

≪ZOKU-SHINGO≫、さとるとまりんというロボットの少年少女の冒険譚なのですが、おそらく世界滅亡後に再生しつつある未来が舞台で、そこではロボットの精神科などもある世界というのが”凄い世界観だな”と。

一枚一枚の画ヂカラが凄い！先生も左右対称を意識したと語られていましたが、点一つにおいてもアウラが込められていて極彩色で恐怖の物語が語られて。もうマダムが天井から落ちてくるシーンとか夢に出てきそうｗ風の筆致においても、ぐるりと回転する「氣」においても、GYAAAなどの絵画文字においても、もうなんというか一枚一枚が絵画として、そして漫画として成立していて。

顔が剝がされたときの今までの顔が走馬灯のように流れていくシーンや、椅子ロボットが走りくるシーンなど、うじゃうじゃと蠢く感じがまるでアニメをみているような躍動感のある画で。天上人が豹変するシーンもインパクトあった。また天上人が実は元々はロボットだったという点や、最後にさとるとまりんが人間になるのを選ばずに、自らのルーツへ想いを馳せるのも『ピノッキオ』の現代版にも感じて非常に好かったです。

純真なホラーという唯一無二の世界、堪能しました。