
メトロポリタン美術館展を観てきました!いっや、こっれ…凄かった!
正直事前にTVとかで情報を仕入れているときは”そこまで心惹かれないし、マストで観るレベルではないかな~、でも金・土は20:00まで開いていて、今なら夜なら空いてるかもだし観てもいいか”くらいだったのですが、初っぱな
ロンドンナショナルギャラリー展で一目惚れしたクリヴェッリの画が出てきたところから会心の一撃食らいっぱなし!何しろラファエロやレンブラントがモブになる豪華さ!このメインヴィジュアルのラ・トゥールも生でみたら最高of最高で!
画だけは絶対に生でみないと分からない域の感覚があるんですよね。これはディスプレイ越しだと無理ですね。
なので、今回展覧会レポに紹介した全作品に画像リンクは貼りますが、あくまで参考(にもならない程度)とお考え下さい。この展覧会の真価は観て初めて体感できると想います。
会場に入るとまず目に入るのが
カルロ・クリヴェッリ≪聖母子≫。クリヴェッリは本当に大ファンになってしまった。この線画な感覚がありながら黄色・金色で彩られ果物が配された聖母子像、素晴らしい。
ダヴィデ・ギルランダイオ(本名 ダヴィド・ビゴルディ)≪セルヴァッジャ・サッセッティ≫といい
フラ・フィリッポ・リッピ≪玉座の聖母子と二人の天使≫といい初期ルネサンス絵画、好きだな~◎
ピエロ・ディ・コジモ(本名 ピエロ・ディ・ロレンツォ・ディ・ピエロ・ダントニオ)≪狩りの場面≫は半獣神が動物を撲殺してた。
ルカス・クラーナハ(父)≪パリスの審判≫も何とも妖艶な逸品。三美神が淫靡さのある少女として肢体をくねらせ、パリスに誰が美しいか迫る。黄金の林檎でなく水晶玉を持った伝令の神メルクリウスの鳥があしらわれた兜のデザインも秀逸。
エル・グレコ(本名 ドメニコス・テオトコプーロス)≪羊飼いの礼拝≫ こーの画はね、生でみると赤子から光が放出されていくのが飛び出してくるような迫力があって。すっごかった!
パオロ・ヴェロネーゼ(本名 パオロ・カリアーリ)≪少年とグレイハウンド≫も服の質感が良かったな~。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ≪ヴィーナスとアドニス≫も危険な狩りにいくのを引き留めようとしているのがよく出ていた。やはり犬がでかい。
ペーテル・パウル・ルーベンス≪聖家族と聖フランチェスコ、聖アンナ、幼い洗礼者聖ヨハネ≫は風のように舞ってるね。
グイド・カニャッチ≪クレオパトラの死≫もイっている目ですら可愛らしい。
ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケス≪男性の肖像≫なんてのがさらっと置いてあるんだもんなぁ、
ベラスケスと工房(1623–60年)≪オリバーレス伯公爵ガスパール・デ・グスマン(1587–1645年)≫も肩当の質感とか良かった。
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ≪聖母子≫の母なる慈愛よ。
そして遂に…
カラヴァッジョ(本名 ミケランジェロ・メリージ)≪音楽家たち≫!!!これも生でみると中性的な美少年の瞳にうっとり吸い込まれそうになる、蕩けてしまう感覚に襲われて。やはり物凄い画家だ、カラヴァッジョ。絶品でした!生でこそだな~。
遂に出た!
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール≪女占い師≫!!!この絵は直にみると凄すぎた!まず老婆のこの顔!顔の筋肉のこの表情!占い師が注意を引いている内に女どもが金品を根こそぎくすめようとするこの画、女たちの暗部が表現されながらも、生で観ると瞳の光る様と言い全体的にキラッキラに輝きを放っていて、まさにMasterpieceの名に相応しい!この直にいた時の感動は
フェルメール≪牛乳を注ぐ女≫以来かも…!ほんと生でみないとこの画はわからない!
シモン・ヴーエ≪ギターを弾く女性≫人間性も伝わるような表情、こういう女の人好きだなぁ。
ニコラ・プッサン≪足の不自由な男を癒す聖ペテロと聖ヨハネ≫は≪アテネの学堂≫みたいな感じ。
クロード・ロラン(本名 クロード・ジュレ)≪日の出≫で一息つくこの絢爛さよ。
ヨハネス・フェルメール≪信仰の寓意≫も地球儀やカーテンの柄、大理石の床、そしてキリストの磔刑と示唆に富んだ画だった。これとか
レンブラント・ファン・レイン≪フローラ≫がさらりと置いてあるのが凄味あるなぁ。
メインデルト・ホッベマ≪森の道≫はトトロが出てきそう。
アルベルト・カイプ≪家庭教師と御者を伴うコルネリス(1639–1680年)とミヒール・ポンペ・ファン・メールデルフォールト(1638–1653年)の騎馬像≫は顔の大きさが違和感あるのが面白かったw
ハブリエル・メツー ≪音楽の集い≫の男のいやらしい笑みw!そして
ヤン・ステーン≪テラスの陽気な集い≫はどんちゃん騒ぎの享楽でオランダの自由さを伝えてくれる。ヤン・ステーン好きなんだよなぁ、この手前のデブがヤン・ステーンらしいw
ジャン・シメオン・シャルダン≪シャボン玉≫というのも珍しい画題。
ジャン=バティスト・グルーズ≪割れた卵≫この人のリアルな筆致は凄いな!
アントワーヌ・ヴァトー≪メズタン≫は報われぬ恋に翻弄される喜劇のキャラクター。
フランチェスコ・グアルディ≪サン・マルコ湾から望むヴェネツィア≫がふっと色を落として、かつ緻密さも感じる人物達と港湾の描写で好かった。
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー≪ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む≫も明るい画でいい!
ギュスターヴ・クールベ≪漁船≫もまたいいクールベなんだよなぁ。
ギュスターヴ・クールベ≪水浴する若い女性≫の肉付きのリアルさと
ジャン=レオン・ジェローム≪ピュグマリオンとガラテア≫の足元は大理石なのがキスして人間に変わるまさに彫像な理想化された肉体と。
オノレ・ドーミエ≪三等客車≫はラフさが面白い。
クロード・モネ≪木馬に乗るジャン・モネ(1867–1914年)≫可愛い、こういうモネって初めて観たかも。
フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス≪ホセ・コスタ・イ・ボネルス、通称ペピート(1870年没)≫に
エドゥアール・マネ≪剣を持つ少年≫と巨匠の子ども画シリーズが続いたけど、モネのが好きだったかな。
オーギュスト・ルノワール≪海辺にて≫これも凄い印象的だったなぁ。ラフな筆遣いのパステルな背景から浮かぶクールな美女。
オーギュスト・ルノワール≪ヒナギクを持つ少女≫のあふるる魅力。
アルフレッド・シスレー≪ヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌの橋≫をみると”あぁヨーロッパ美術の時空旅もここまで来たかぁ”と。
ポール・セザンヌ≪ガルダンヌ≫のセピアな街の立体感と奥の山の立体感。そして
ポール・セザンヌ≪リンゴと洋ナシのある静物≫のテーブルや奥の壁は歪んでるのに全体として安定感のあるスゴさ。
クロード・モネ≪睡蓮≫の紫の睡蓮も好い。
エドガー・ドガ≪踊り子たち、ピンクと緑≫この時ドガは目が相当悪かったそうだけれど、少女たちの表情をひらりと捉えている。離れてみると素晴らしい表現に。出た!
フィンセント・ファン・ゴッホ≪花咲く果樹園≫!このゴッホの絵画史における革命さはここまで欧州絵画の500年をみてきて生でこの鮮やかな圧に触れると感電するように解る!スッゴかったなぁ。最後は
ポール・ゴーギャン≪タヒチの風景≫の穏やかに色味濃い島の風景で〆
まなこで生で絵画を観る歓びを実感しきれる、スゴ過ぎた展覧会でした。