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ヴェルディ『リゴレット』 力なき道化と純真過ぎる娘の悲惨な歌劇

Giuseppe Verdi - Rigoletto - Pavarotti, Gruberova, Wixell - Chailly
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NHKBSPプレミアムシアターにてオペラ映画『リゴレット』を観ました。

ヴェルディによって描かれたこの歌劇、冒頭の享楽のパーティーに惹かれてみたらとんでもない悲劇で。

「リゴレット」というのはこのDVDジャケットに映っている人物ではなくて。このパヴァロッティ演ずる美男の公爵の太鼓持ちである道化の名がリゴレット。

公爵は次から次へと女をひっかけるとんだ女好きで、それに調子よくリゴレットは調子を合わせていたのですが、冒頭で公爵に唾を付けられた女性の父親から呪いをかけられて。

リゴレットには大事に大事に育てている娘がいたのですが、そのジルダは道化に仕返しをしてやろうとする者共にさらわれ、公爵の毒牙にかかってしまいます。そこでリゴレットは殺し屋に公爵を殺害するよう頼むのですが、ジルダは純真にも自分の身を捧げようとして…。

私自身が昔道化な役回りを集団でやったから分かるのですが、ダメキャラ、道化キャラをやっているとどうやっても軽んじられ、「ここだけは守りたい」と想う線も侵されるようになってしまいます。また心から純朴な人間は、自分の身をも軽んじて犠牲にしがちです。それらは、その当人を大事に想う人たちへの裏切りにもなるのです。この元々はユーゴーを原作とする歌劇を”最低限の牙というか、我が身の誇りを守る剱をきちんと持っていないと、幸せは守れないよな…”なんてことを想いながらみていました。

音楽的にはすっごく素晴らしい旋律に、和声が重なる場面のドラマティックさといいとても好いものがありました。オペラ映画として観て、普通に面白いストーリーだし演出も凄くいいものがあって、全体的に愉しめました。

by wavesll | 2022-04-03 17:38 | 舞台 | Comments(0)
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