VERDI, Macbeth / Netrebko - Chailly
NHKBSプレミアムシアターにてミラノ・スカラ座で上演されたオペラ「マクベス」を観ました。
シェイクスピアによって描かれたこの戯曲。魔女たちから「スコットランド王になる」という予言を受けたマクベスと、「王の父親になる」と予言されたマクベスの友人バンクォーが、冒頭のシークエンスでクルマを運転してビル街へ行くところなんか、中世と言う舞台設定と現代のテクノロジー情景がクロスオーヴァーした超演出。
ダヴィデ・リーヴェルデルによるこの超演出は、例えば「上昇」と「下降」の象徴としてのエレベーターを駆使したシーンや、あるいは舞台の背後が巨大なヴィジョンになっていて、爆撃なんかが映し出される戦争描写があったり、これは相当に面白い!ちょっと想ったのですがファイナルファンタジーがメカニクスと剣と魔法を両立しているというのは現代オペラ演出にもインスピレーションを受けているのかもしれませんね。
キャラとしてはマクベスの野心を煽り立てるマクベス夫人がもう本当にごうつくばりな態度の演技ですっごく好かったwまた殺人を犯した者にあらわれる幽霊と言うのは、その人間が持つ悔恨や贖罪の意識から幻影として出てくる思念体なのだろうなとも想ったり。
全く、悪いことは出来ないなと。罪の意識は精神を病みますからね。無論「憎まれっ子世に憚る」とも言いますが、それが大罪レベルまで行くと、己の身に返ってくるのだろうなと。そんな骨太な物語が、ファイナルファンタジーも驚く超現代との演出でフレッシュに上演されていました。