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マシュー・ボーンの白鳥の湖、モンテカルロ・バレエ LAC~白鳥の湖~、マルコ・ゲッケ - シャラ・ヌール 男がヒロインになるSWAN LAKE

マシュー・ボーンの白鳥の湖、モンテカルロ・バレエ LAC~白鳥の湖~、マルコ・ゲッケ - シャラ・ヌール 男がヒロインになるSWAN LAKE_c0002171_17170530.jpg
Matthew Bourne΄s Swan Lake, 2012 - swan dance - long




NHKBSPの週末を飾るプレミアムシアター、今回は「現代の感性で演出された白鳥の湖三昧」ということで、5hぶっ続けで白鳥の湖が上演されて。

まず最初に流されたのがゴーティエ・ダンス「スワン・レイクス」。3人の振付師による白鳥の湖の新解釈で、ブラックミュージック的な演出の「スワン・ケイク」振付・音楽:ホフェッシュ・シェクターや全身タイツ系のコンテンポラリーダンスな「7人のダンサーのための無題」振付:カエターノ・ソト 音楽:ピーター・グレッグソンもあったのですが、中でもビヨークの音楽でカレル・チャペック的なロボットの幾何学なダンスをしたマルコ・ゲッケの「シャラ・ヌール」が良かったですね~。

そして今回個人的に一番響いたのがマシュー・ボーンによる白鳥の湖。
「男の白鳥」というセンセーショナルな改変で有名なこの舞台、一度見て観たいと想っていたのです。

主人公はある国の王子。母親である女王に愛されず、舞踏会でも上手くいかずやっと掴んだガールフレンドも下品な振る舞いで女王を始め不評でさんざん。そんな情けない王子がどっちらけになり場末でみた幻想に雄々しい白鳥たちが現れて。

まるで『ゴールデンカムイ』のラッコの下りを想う様な、筋骨隆々のウォーボーイみたいなガチムチ白鳥に、自らの男性としての弱さゆえの女々しさを抱かれて夢を見るような白鳥のマッスル群舞。そこでエンパワードされる王子だったのですが、今度は城での舞踏会に白鳥そっくりの黒鳥が現れて女性たちを誘惑して、あまつさえ女王まで虜にしようとして。これに精神的に耐えられなかった王子はさらなる悲劇を招いて…という話。

これはなんか、私自身もモヤシな方なので、なんかそういうオラついた格闘技系への強さへの憧れは分かる気がしましたね。と同時にそういう半端者が一番邪悪な感も分かる気がしました。

このマシューボーンの白鳥の湖があまりに凄い改変だったのでインパクトが薄れたのですが、最後に流れたモナコ モンテカルロバレエのジャン=クリストフ・マイヨーによる白鳥の湖も、「夜の女王」を黒鳥の生みの親役として登場させメイン所に使ったり、王子が本当に情けなくて強欲な女たちの求愛にほとほと疲れ果てたところで白鳥の少女に癒される展開だとか、白鳥に偽装していた黒鳥が正体を現して吼える瞬間とか良かったです。

全体的に現代演出は白鳥を男が舞ったり、王子のなよなよしさを前面に出したりして、ジェンダー的な部分も含めて新規領域を開拓している感が有りましたね。その中でもマシュー・ボーンの筋骨隆々な白鳥はかなり衝撃的な美しさがありました。

by wavesll | 2022-04-23 17:38 | 舞台 | Comments(0)
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