「ザ・ビートルズ:Get Back」|予告編|Disney+ (ディズニープラス)
The Beatles Mono Boxを経て、今こそみる時期に来たとDisney+で『Get Back』Part1, Part2, Part3をみました。
そこには当時のビートルズがあらわに映し出されていて。
この頃のビートルズは各個人別々にスタジオ入りし録音作業をオーバーダブすることが多かったことに対して、今回はTV特番でライヴショーを創り上げるドキュメントとライヴをやって、そのライヴアルバムを発売するというところから今回の『Get Back』は始まって。
ところが最初用意された大きな録音倉庫のような場では、雰囲気は最悪。何しろビートルズの録音だというのに音響はたいして良くないところだし、最初は8トラックの機材すらない有様。そして肝心かなめの作曲も上手くフィーリングが合わない。「解散」すらちらつくギスギスした空気の中でジョンはスタジオにいつもヨーコを連れ込んでいて、隠しマイクは他のメンバーが「ジョンがヨーコを取るからビートルズは解散するなんて50年後じゃ笑い話だ」なんて会話も。
そしてポールとジョンがあまりにジョージにがんじがらめに命令をしたせいでジョージはビートルズを脱退します。おいおいアルバム制作どころじゃなくなってきたぞ、というのがPart1。
本当にバンドと言うのは人間関係なのだなぁと。DISCだけを聴いているとまるで魔法のように生まれたかのように聴こえるけれども、そこには現実の人間としてのバンドメンバーの身体での働き、心情のぶつかり合いを経てのことなのだなぁと。けれど例えば不意に始まったセッションから「Get Back」や「Don't let me down」、「I've Got A Feeling」等がその姿を現すところなんかは本当にMagicが起きていて。そもそもこの曲の歌詞は当初は、当時英国で問題となっていた移民排斥へのプロテストソングだったのかなんて発見もありました。
Part2は幾らか状況は明るくなって。数度の話し合いの結果ジョージはビートルズに戻ってきて。そして黒人ピアニスト、ビリー・プレストンが制作に参加したのが本当に大きくて。彼の朗らかな笑顔と卓越したエレピがアルバム制作をポジティヴなものに変えていって。
ビートルズといえば何といってもポールとジョンですが、バンドのまとめ役でありサウンドメーカーであるポールのしっかり者さと、神経質そうに厳しい目つきをしたかと想えば「ホスト役のローリングストーンズです」なんて語りを演奏前にいれる茶目っ気たっぷりなジョンが対照的で。このアルバム・レコーディングでは数々のロックンロール、ブルーズなどのオールディーズも演奏されて、それが制作に推進力やインスピレーション、そしてノリを与えているのだなぁとまじまじみていました。そしてなんといっても「Let it be」が創られた瞬間のジョンのきらっきらした目。ロックンロールの魔法、バンドマジックだなぁと。
そしてルーフトップ・パフォーマンス。当初のTV特番ではプロデューサーは海外へ行くのに気乗りしないメンバーにしきりにリビアの野外円形劇場遺跡でライヴするのを薦めていましたが、レコーディングは遅れに遅れてどの会場も抑えられなくなり、苦肉の策でAppleの屋上でやることに。でもそれはPart1で誰かが言っていた「警察が止めに入るような場所でやろう」というアイディアが奇しくも実現したことに。
「Get Back, Get Back」と幾度も幾度もテイクが屋上で放たれて。この四人は確かに空中分解寸前だけど、素晴らしい音楽のマジックが鳴ればみな最高になり、それが彼等を繋いでいたのだなぁと。ビートルズのこの音楽達がいかにして生まれてきたかを8h弱の長尺で体感できる、得難い体験となりました。