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ウィーン国立歌劇場『オーランドー』ヴァージニア・ウルフ原作、衣装はコム・デ・ギャルソンによる、時も性別も越えていくTheyを描いたオペラ

Olga Neuwirth: Orlando (world premiere) from Wiener Staatsoper
ウィーン国立歌劇場『オーランドー』ヴァージニア・ウルフ原作、衣装はコム・デ・ギャルソンによる、時も性別も越えていくTheyを描いたオペラ_c0002171_12412231.jpg


ウィーン国立歌劇場で世界初演された女性作曲家オルガ・ノイヴィルトの新作オペラ《オーランドー》をみました。

ヴァージニア・ウルフの原作で、エリザベス1世統治下から20世紀まで時空を超えて、時に男性、時に女性になって生きた青年貴族オーランドーの物語。今回は様々な分野の女性クリエイターが集結し、例えば衣装は川久保玲率いるコム・デ・ギャルソンが担当。さらに原作だと1928年で物語は終了していますが、今回の歌劇では初演された2019年までの物語が画かれるとの趣向。

まず惹かれるのがヴァージニア・ウルフの言葉たち。『波』でもさんざめくような素晴らしい文学体験をくれましたが、本当に繊細かつ瑞々しく端正な感性にあふれて。

そしてコム・デ・ギャルソンの衣装も、性別を超越するような、あるいは天野喜孝さんのファンタジー絵画のような新鮮かつ幻想的な素敵なアートワークで。エリザベス1世の衣服何て最高でした。

一方で、原作分が終了後の現代に繋がる展開には、ヴァージニア・ウルフが画いてない部分を、クイーンやレディ・ガガなどの歌詞をつかったりしたりしていたのですがどうも台詞から魔法が消えたように感じて。原作もフェミニズム/クイア文学でもありましたが、2019年当時がトランプ政権だったこともあったのか、直接的なLGBTQ+であったりの政治的な台詞たちはほとんど詩情がなくて、ちょっとそこは残念だったかな。

また時代が変わってきている今、この舞台が進化した姿もみてみたい、そんな想いに駆られる歌劇でもありました。

cf




by wavesll | 2022-05-29 12:54 | 舞台 | Comments(0)
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