Historical Movie «TITUS» (Anthony Hopkins) // History, Thriller, Drama, W. Shakespeare // Full Movie
冒頭から現代家庭での子供の大暴れないたずらの場面から始まります。そう、このミュージカル『ライオン・キング』の演出家が手掛けたシェイクスピアの古代ローマ歴史劇は、自動車も登場すればマイクも登場すればスーツ姿であったりゲームセンターであったり、現代文化の要素が入り組んだヴィジュアル・イメージになっているのです。
それが妙に心に留まっていて、この1999年の映画をTSUTATYAで借りたのでした。
こうした歴史劇に現代的なガジェットや服装を組み込む演出は、コロナ禍以降よくオペラをみるようになると、オペラでは結構取り入れられている演出で。『TITUS』も3h弱の長尺といい、映画というよりオペラをみているような感覚がありました。
ローマの将軍タイタスはゴート人を打ち破り、その捕虜としてゴートの女王タマラを始め捕虜として連れ帰るのですが、皇帝がタマラに篭絡され、壮絶な、身の毛もよだつような復讐をタマラ一族によって行われるのです。
一族が滅亡の窮地まで追い込まれながらも不屈のタイタスはそれをさらにリベンジする燃える展開。正直かなりエグい描写に前半はみていて暗鬱とした気持ちになりましたが、後半にかけてのまさかの(こちらも狂相をみせる)復讐劇は見入ってしまい、長時間の上映時間も全く苦ではありませんでした。
物語の中で随一の悪としてムーア人の黒人が出てくるのですが、”まぁシェイクスピアの昔だと黒人への差別意識はあったのかもな”とも思いつつも、被差別によって心根が歪んでしまった人間の業火をみるようでもあり、ラストシーンも含めて不穏さを撒くこの劇はディズニー的なハピネスとは真逆で大変楽しめるところでありました。
個人的には日本の時代劇もこんな感じに現代要素を組み込む演出のものをみてみたいのですが、あまりみれなくて。『真夜中の弥二さん喜多さん』なんかはそうなのかな?西洋だとオペラはじめ弾数がとにかく多いので、日本もこういうトライを数多く打っていってほしいところです。
タイタスを演じるアンソニー・ホプキンスの忠臣である一本気な老人が、邪悪な狂王たちへ復讐に燃える展開、絶望の淵を突き落とされてもそれでも不屈さを発揮するそのファイティング・スタイルは、なんか変な感想ですが、凄惨な映画ですが元気がもらえました。