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明らめを超えて

38才になりました。

鴎庵の最古の記事が2004年11月なので、中断を挟みながらも18年も書いてるんだなぁと。
これだけ長期に書くともういい加減自分の筆力の評価は出たというか、世間的には跳ねるレベルにはないのだろなぁと想って。
実際、メイン趣味の音楽リスニングや旅にしても、世の中を見ると私より遥かに広く、深く、そして知識・調査に裏打ちされた文を書かれる方が数多いて。

35くらいまでは「Blogで一旗揚げたい」「音楽フリークとしてひとかどの人間だと認められたい」という欲があったのですが、その野望は砂塵と化していって。寧ろ今は“俺が楽しければいちばんいいじゃないか”という感じになっていって。

「誰にでも好かれようとするゲーム」をやめる、Twitterでいえば「いいね数規模拡大ゲーム」をやめると重みの圧から解放され気楽になるというか、逆に”これだけ好きなようにしか書いてないのにそれでも付き合ってくれる人がいる”という感動があったり。そうした人達を大切にしたい。

己の感性がマジョリティのストライクゾーンからずれていても広大なネットの海にはニッチがあって。承認欲求といいますが、他者からの承認が全くないのはつらいものですが、承認などある程度あれば十分な話で。規模拡大をするために”これ書いたらイメージ落ちるかな?”とかで書きたいことが書けないなんてのは本末転倒、感性が乏しく合わない奴には何みせたって価値がわかりゃしないのだから、感性が合う人に向け本当に価値のある藝について書いていければいいなと。

そんな、明らめからの承認欲求から抜け出る地点に今いる気がします。

ここ数年の私の口癖は「海邉、野邊の庵の畔に石舟を浮かべる」。石舟というのは『バガボンド』で柳生石舟斎を語る言葉で、川の表面は荒々しく時代の支配者が入れ代わり立ち代わりするけれど、水面下は静かに在る。歴史の表舞台に躍り出るのではなく、水底の石舟としてただひたすらに自分の技を磨いて後の世に伝承した石舟斎の生き方に、今あこがれるところがあります。中央でなく辺境において、一人キャンプのような心の解放がいいなと。

上で他人に認められる野望は崩れていったというようなことは書きましたが、私自身が望む筆力を手に入れるために技の改善を続けるのは当然の話で。なんでも雪舟は48才で中国に画業の留学へいったそうです。人生は技を磨いていく旅路なのだなぁと。世間的にもCOVID-19禍が3年目で状況が変化し始めてきたように、Webコミュニケーションで、私もあたらしい領域を歩き始めている気がする2022年の秋でした。



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by wavesll | 2022-10-18 01:29 | 私信 | Comments(0)
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