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仁義なき戦い とっぽい青年が極道の修羅となっていく、刺すような痛みが麻痺し地獄の輪廻へいく物語

【祝!東映オンデマンド サービス開始】仁義なき戦い【2022年12月8日(木)23:59まで公開】
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遂に『仁義なき戦い』をみることが出来ました。

日本暴力団抗争史上で最も多くの血を流した“広島ヤクザ戦争”渦中の人物である美能組元組長・美能幸三の獄中手記をもとにドキュメント作家・飯干晃一が書き綴ったのを深作欣二監督が映画化した傑作。

時は終戦まもなくの呉、MPや米兵が乱行をする闇市のなかで菅原文太演じる広能などの若者たちが蠢き、獄中の繋がりから盃を交わして広能は山守組の構成員となる。

本作で実は一番惹かれたのはこの冒頭から序盤の展開で、全く極道としては生きていなかった若者が『爆音列島』のように暴力の世界へ入っていく様、菅原文太演じる広能のくりっときらりと光る瞳が段々と暴力団の修羅へなっていく様。特に序盤の指を詰めるシーンや腹を裂くシーンから伝わる「痛み」の凄まじさは、完全にあっちの世界に広能がいなかったために視聴者である私と地続きに感じられたからこその刺すような感覚だったなと。

まるで幻影旅団の流星街での始まりをみるような序盤から、血で血を洗う終盤まで一気呵成に魅せるのですが、中でも特異であり魅力的なキャラが山守組長。ちょっとコミカルというか、情けなさが風体としてありながらもその脂ぎった野心と権謀術数による汚い「悪」さがいい味出してました。

それにしても松方弘樹などの俳優のヤーサンの迫力感が凄い。例えば高倉健の『昭和残侠伝』などで描かれる浪漫あふれるヤクザ像とは一線を画すヤクザのダーティーな破壊力が画面から満ち満ちていて。さらに序盤での殺害シーンの度にあの喇叭のテーマ曲が流れるシーンの強烈な印象、もう本当に一種スタイリッシュですらある尋常ならざる極道者の美的センスがフィルムからあふれていました。

by wavesll | 2022-12-07 05:09 | 映画 | Comments(0)
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