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『パリは燃えているか』 WW2でパリ解放に活躍したレジスタンスたちの群像とパリ市街戦の凄さをみて世界平和を祈念

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加古隆:パリは燃えているか


映画「パリは燃えているか」をみました。
このタイトルだと私なんかは映像の世紀のテーマソングの方が先に来ますが、当然映画の方が先。元々はナチが戦況が悪化する中で、ヒトラーが「もうパリを焼き払ってしまえ」と命令したのにパリが燃えていない様への言葉だったという話です。

映画冒頭にコルティッツ将軍がヒトラーからパリを任されて。彼が赴任したパリではレジスタンスたちが活動していて、物語前半はパリを解放するために動くレジスタンスたちの地下活動が様々なエピソードが群像的に描かれて。この部分、レジスタンス活躍映画として「パリは燃えているか」は傑作ですね。

そして映画後半は米軍がパリへ進軍し繰り広げられる市街戦。戦車がバンバン爆破され手りゅう弾もガンガン投げられ、銃撃戦も凄いし、市街戦映画としても「パリは燃えているか」は一つのレベルをみせているなと思いました。

この映画の正義は無論フランス・アメリカなど連合国側なのですが、裏主人公は前述のコルティッツ将軍で。ナチスが気が狂っていたのは普通戦争は相手の都市財産を我が物にするために行うのに、ヒトラーの狂気は自分と共に敵国都市も破滅させてやろうという肚で。実際にワルシャワは焼き討ちになってしまって。そこを冷静な政治判断でパリを燃やさなかったコルティッツ将軍の描かれ方はナチが絶対悪となりがちなハリウッド映画では異色では。

ちょっと話がズレますが、ナチが絶対悪というかナチ絶対否定観というのは実はベクトルが逆転してしまう脆さがあるようにも感じて。

先日NATIONAL GEOGRAPHICがドイツで生まれナチスが復活させた、「クリスマスマーケット」の驚くほど黒い歴史という記事を上げていましたが、ナチスってのは文化的なセンスが本当に上手くて。アウトバーンもそうだし、ポルシェ博士等数々の技術者はイノベーションを起こしたし、プロパガンダ映画も凄いクオリティだった。

これはつまり、文化的に素晴らしい魅力な事と人道的・国際社会的に正しいとされるかどうかって、言ってみたら関係ないんですよ。

ほとんどの人は「ナチスってセンスはあったよな」とか「ナチスのかっこよさは人々の心を掴んでたよな」とか言うと全否定で叩いてきたりしますが、それって恐ろしくて。「文化的に素晴らしい魅力の存在は人道・道徳的にも最上位」という観念があったとしたら大きな間違いで、文化的魅力と道徳・人道精神は独立し別個に評価せねばなりません。

それぞれを分けて考えないと色々と本当に不味いことが20世紀に起きましたよ。ということを我々は後世に伝えていかないといけないと思うんですよね。

と共にやっぱり優れた芸術作品には魂を打つものがやはりあると感じるし、それに真実味をみてしまうというのも人間のサガ。「パリは燃えているか」の中でもコルティッツ将軍は歴史的建造物を破壊したくなくてパリ焼き討ちを逡巡しますし、そもそもこの映画をみたらウクライナの市街戦や、あるいはロシア支配地でのレジスタンスなどに想いを馳せるのは不可避で。藝は藝でありながら藝を超えていく魅力があり、それは時の政治家に利用される危うさもあるフォースなのだと。そこは意識していきたいですね。

さて今日はXmas Eve。全世界がこの映画のように戦争が明けて欲しいと強く思う夕となりました。

by wavesll | 2022-12-24 16:46 | 映画 | Comments(0)
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