女殺油地獄
「女殺油地獄」というタイトルに惹かれて古典芸能への招待で片岡愛之助版の歌舞伎を観ました。
これっがえっらい面白いのなんのって。愛之助演じる与兵衛は油屋の番頭である義理の父の目をかすめて店の金で遊女に入れ込む放蕩息子。ついに勘当されるも、両親の愛で同じ町内のお吉に与兵衛へ渡してくれと小遣い金を渡してくれたのに、それでも足りぬと与兵衛はお吉に迫り、ついには惨殺してしまうという筋書き。
この与兵衛のキャラクター・デザインがその辺にいる浮ついた兄ちゃんという感じで、現代で置き換えてもこういうドラ息子が両親を殺すみたいな話は、なんというか日常風景から一歩外れていくととんでもない奈落へ落ちてしまう一種のリアリティが感ぜられて。
与兵衛とお吉は普段から顔見知りでお吉は与兵衛に親切にしてくれていた描写も描かれているだけに、与兵衛が遂にお吉を殺す決心をするまでの愛之助の顔芸がとにかく見ごたえがあって。表情筋凄すぎw
で、ここからさらに超展開というか、与兵衛がお吉に襲い掛かるところで油の容器が倒れ一帯が油でヌルヌル地獄になってwついこないだ
ブルースブラザースをみて日本のバラエティの雛型だなと思ったのですが、女殺油地獄はこれオールスター感謝祭じゃないかとw二人ともヌルヌル滑りまくってなかなか斬れないwこっれ江戸時代の芝居小屋では大爆笑だろここw
与兵衛の何とも薄っぺらな人間性と、脇差を鞘に納めようとしてまた滑りまくる様だとか、顔芸だとか、こうして人間の業を笑いにするってのは日本のバラエティお笑いに現代まで貫通する主題だなぁとしみじみ笑いましたwこれを数百年前に書いた近松門左衛門は本当に鬼才ですね◎