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『新作歌舞伎ファイナルファンタジーX』ユウナの可憐さにやられ、魔法と機械と人種衝突の物語に泣く

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FFX歌舞伎をU-NEXTで観ました。なんと6hもの大作。ナウシカ歌舞伎も映画館で前後編合わせたら5hは超えてたと想うので、通し狂言ってこれくらいの長さなのかな。その分物語をしっかり描けて、巨大な感動がありました。情けないことに最後は涙。

この舞台の一番冴え渡っている点は中村米吉演じるユウナ。これが可愛いのなんのって。声まで完全に美少女なんすよ。自分はFFXはプレイしていないのですが、もうなんつーか、葦月伊織なんすよ、美少女ぶりが。歌舞伎の女形は男が理想とする女性を男自身が成し遂げるといいますが、聖子ちゃんカット的なヘアスタイルといい、声色といい、仕草といい、ちょっと魂消るくらいの可愛らしさがありました。

このユウナの可愛さで前半は引っ張っていったというか、ナウシカ歌舞伎の時も七之助のクシャナがとてつもない素晴らしさがありましたが、舞台演劇は恒星となる役者がいると一気に持ってかれますね。

題材的に歌舞伎が初見の人も多いことを考慮されてか物語の始まり辺りはほとんど会話が現代口語で、徐々に徐々に歌舞伎濃度を高めていくつくりなのは良かったと想いました。ファイファンをリアルタイムでプレイしていたのはVからVIIだったので、”なるほど、スポーツ選手が主人公なんて面白いな。XVの主人公がホストみたいだなんて話もあったけどFFは新しい「かっこよさ」の提示に熱心だなぁ”と想ったり。

と同時に、剣と魔法の世界に機械文明が入り込むファイナルファンタジーの世界観は、Xにおいて人種間・宗教間の対立や差別や因習を人と人の関わりや冒険の中で乗り越えていくという骨太なプロットになっていて”これすごいいいなぁ”と想って。

ユウナ以外のキャラも違和感がほぼなくて、特に尾上菊之助はナウシカの時より遥かに「ティーダ」に似合ってました。中村獅童のアーロンも素晴らしいし、中村梅枝のルールーも好かったし中村歌六演じるシドなんかまじイイキャラしていてw尾上松也のシーモアも髪型の再現といいFFの敵役感が現れる芝居で好かった。

FFVIIにも似た主人公自体のアイデンティティを問う物語はもっと描写が深められたかもと想ったり、やっぱりどうしても戦闘シーンがスピード感に欠けるところはある(石見神楽っぽい演出は良かった)けれど、これはホント、冒頭にも書きましたが泪がちょちょぎれて、感動しましたねー。好かったなぁ。

お値段が通常のU-NEXTの加入(これはお試し期間なら無料かつ600ポイント付与)に加え5500円を追加チャージしないとみれないのですが、HULUの舞台『千と千尋の神隠し』も1公演5000円以上かかったので、日本の舞台の配信の価格はそれぐらいで動いているのかもしれませんね。やー、これはがっつりいいものを観れました。

by wavesll | 2023-05-05 14:50 | 舞台 | Comments(0)
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