人気ブログランキング | 話題のタグを見る

イリ・キリアン『時の架け橋』/ チェコ国立バレエ 大宇宙の自然システムを魅せるような舞踊



チェコスロバキア出身の世界的振付家イリ・キリアンの名作から4作品をチェコ国立バレエが上演した『時の架け橋』を観て。

まず『詩編交響曲』(1978)。
ストラヴィンスキーの音楽に合わせて繰り広げられる抽象的なダンス。

コンテンポラリーバレエは、無論台詞がないのもそうですが、何を踊っているかを知らない場合はまるで抽象画を解読するような「見立て読み」の鑑賞でもあって。

その中でも私が好きなコンテンポラリーダンスって、まるで大宇宙の運行システムや、あるいは原子と電子の軌道、あるいは大自然の本能の総体的な動きが抽象化されたような神が作りし「理」を表すようなもので。先日観たプレルジョカージュの『ミソロジーズ』もそうだったのですが、今回のこの『詩編交響曲』にもその波動を感じました。

次なる演目は『ベラ・フィギュラ』(1995)。これは逆に人間の営みが抽象化されているというか、性と愛がダンス化されていて。ちょうどこの間みたチェコ国立バレエ カフカ『審判』でも好演していたAlina Nanuも登場したのはテンション騰がりました。そして女性的だった『ベラ・フィギュラ』に対し『小さな死』(1991)では男の戦士の様が踊られて。これにも心躍らされました。

モーツァルトの「間奏曲」で緞帳の中の準備の様子が流れた後で、最後の演目『6つの踊り』(1986)。これが道化的な白塗りのキャラクターを男女が踊って、ちょっと今までの演目をパロったようなアクションもあったり、最後に軽やかな気持ちで〆てくれてよかったです。

イリ・キリアンはキャリアを英国ロイヤル・バレエ・スクールを経てジョン・クランコのシュツットガルト・バレエに入団、1978年から1999年までネザーランド・ダンス・シアター(NDT)の芸術監督を務めるなどするもチェコでの作品上演はこれが初めてだったようで。母国でこれからさらに一層輝いていくのだろうなぁと想いました。

cf



by wavesll | 2023-05-14 14:40 | 舞台 | Comments(0)
<< 母の日にWanda Jacks... プーランク - モノオペラ『人... >>