
もう十年以上前にスペインへ旅行して、その中で最も印象深かったのがアルハンブラ宮殿のあるグラナダの丘で、洞窟のような店で観たフラメンコ。カンタとギターとタップと、そしてフルートのような笛が入っていて、暗がりの中で情熱がむせ返る様に炎巻いていて。セビリヤでも端正なフラメンコショウをみたのですが、あの丘の洞窟のような店で観た熱情が忘れられなくて。帰国後からずっとあの横笛入りのフラメンコ音源を探しているのですが全然見つけられずに今に至ります。
そして今回U-NEXTに『サクロモンテの丘 ロマの洞窟フラメンコ』という映画をみつけて。”あの丘じゃないか?”とみてみたのでした。まさにグラナダのあの丘の名がサクロモンテだったのでした!
サクロモンテにロマの血を引くフラメンコ・コミュニティーがあって、その物語。映画に出てくるおじいちゃんおばあちゃんの親世代がサクロモンテの洞窟でフラメンコを魅せるショウを始めて。映画では3世代に渡るフラメンコの歌舞が披露されますが本当にこれが素晴らしくて!横笛は残念ながらなかったのですが、本当にあの、脳裏に焼き付く情熱の焔がフィルムに刻まれていました。
そして今回知ったのがサクロモンテの丘のフラメンコのルーツに「サンブラ(Zambra)」という芸能があって、これはアラビア語で「笛」を意味するそう!これは…私の音源探しに大いなる手掛かりにもなりそうだなと想いました。
残念ながらサクロモンテのフラメンコ・コミュニティは1960年代の水害で大きな被害を負ってしまって多くの人たちが立ち去ったそう。ただ、私がこのまなこで観たように今もサクロモンテの洞窟ではフラメンコが歌い踊られているはずです。あの熱気は忘れようにも忘れられないものがありました。