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モーツァルト オペラ『ポントの王ミトリダーテ』/ ベルリン国立歌劇場 宮城總による歌舞伎的演出でローマと闘う小アジアの王国の内紛歌劇を

Mozart - Mitridate
モーツァルト オペラ『ポントの王ミトリダーテ』/ ベルリン国立歌劇場 宮城總による歌舞伎的演出でローマと闘う小アジアの王国の内紛歌劇を_c0002171_16534543.jpg


14歳のモーツァルトが描いた『ポントの王ミトリダーテ』をベルリン国立歌劇場が上演したのを観ました。

今回、演出を静岡県舞台芸術センターの芸術総監督を務める演出家、宮城總(さとし)が行って。何しろ衣装が戦国武将の変わり兜だし、セットは金屏風的だし、歌劇『シッラ』の時も思ったけど日本人演出家が独創性を出そうとするとやっぱ日本的な意匠をクロスさせるというのが常套手段なのかなぁと少しモヤったのですが、この今でいう小アジアにあったポントという国がローマ帝国と戦った図を宮城氏は太平洋戦争の日本と欧米との戦いに重ねて見立てたという話をしていて”なるほど、そういう意図があったのか”と。

演出として、オペラ・セリアにおける神との対話的な、人物同士で話すというよりも正面を向いて独白的に謳うというのを復古したというのも、日本的な平面美とのクロスという点でなかなか面白く思いました。”鎮魂劇”というのは最後のランタンに込めたのかなとは思いますが、まぁこの歌詞を読むに復讐の物語ではあるなとは感じました。

ポントの王ミトリダーテの婚約者にミトリダーテの二人の息子が惚れていて、婚約者は弟を誘惑し、さらに兄の方はローマに通じていて、で、ミトリダーテも二人の息子と婚約者を疑っていて…という疑念と謀り事が入り混じる内紛劇で。ただやっぱりモーツァルトの天賦の才が爆発しているというか、音楽がもう典雅なんですよね。血生臭さすら感じる筋書きなのですが、この音楽によって一種の麻酔というか、優美さを生んでいました。

cf



by wavesll | 2023-05-20 17:09 | 舞台 | Comments(0)
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