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ドラーギ - オペラ『エル・プロメテオ』/ アラルコン ハープやカスタネット、銅鑼等が駆使されたスペイン語によるギリシア神話恋愛歌劇


オペラ『エル・プロメテオ』を観ました。

イタリアのリミニに生まれ、当時オペラ歌手として特にカヴァッリ作品への出演で名を挙げたドラーギ。オペラの作曲家としても多くの作品を発表しましたが、今日ではほとんど上演されることはありません。

ウィーンの図書館に残されている全3幕のオペラ『エル・プロメテオ(プロメテウス)』は、ハプスブルク家がオーストリアとスペインをともに治めた17世紀ならではの作。第1幕、第2幕は現存するものの、第3幕については台本のみで楽譜は紛失していました。

この失われた第3幕をディジョン歌劇場のアーティスト・イン・レジデンスであるアルゼンチンの指揮者、レオナルド・ガルシア・アラルコンが当時の音楽作りに合わせて大幅に補筆し蘇演したものが本作。

まず耳を惹くのがスペイン語でのオペラの歌唱の響きに合わせてか、オーケストラもカスタネットなどエスパーニャな音楽性でこの歌劇を彩っている点。舞台がギリシア神話の世界な為、ハープなんかの天上的な音も聴こえて。オペラ歌手の大仰な頭抜けた高音歌唱は普通の流行歌等を聴いている耳だとびっくりしますが、これは神々の世界を描いているということもあってこのオペラな突き抜けたハイトーンが最高にマッチ。特に女性陣のソプラノはまさに雲上の世界でした。

物語は人間と神々が入り混じる三角関係というか四角関係、いや五角関係なラヴストーリーなのですが、そこにプロメテオ(プロメテウス)が火を盗む逸話などが展開されて神話的な幻想世界が展開され、或いは石像の美女に命の火を吹き込む下りなんかは次世代の人間とAIの関係性を感じさせたりして面白かったです。銅鑼なんかも導入するドラーギの独自な音楽性と物語のチョイスは素晴らしく感じられ、あまり上演機会がないとのことですがこれからも発掘・蘇演してほしいですね。

by wavesll | 2023-05-21 16:40 | 舞台 | Comments(0)
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