若柳慶次郎「長唄 棒しばり」 第三回慶次郎会より
移動式歌舞伎小屋、平成中村座が今年は姫路城の前で開催されて、そこで披露された「棒しばり」が古典芸能の招待で流れて。
「棒しばり」は狂言からインスピレーションを得た歌舞伎で、いつも酒を盗み飲んでいる次郎冠者と太郎冠者が、殿様が外出する時に棒にくくられ縛られてしまうが、留守の時に”やっぱり飲みたい”となって…というコメディー。
で、今回の平成中村座姫路公演で”うぉっ!”と想ったのは、棒に縛られる前に中村勘九郎が魅せた棒術の演舞の美しさ!素晴らしい回転演舞を魅せて。”これが歌舞伎の「きれい」か”と心に響いて。これは上にYoutube載せた公演よりも勘九郎の藝の綺麗さが凄かった。刮目させられました。
で、その所作に注目して「棒しばり」をみると、棒で腕を縛られているから横軸がはっきりしている分、中村勘九郎の体幹のなんと安定していることかと惚れ惚れして。全く無駄な動きのない美をみせて。その上で酔っ払った際の「ほつれ」もやるとか、扇子の曲芸までかますし、”これが型か…!”となんとも素晴らしくて。勘九郎さん曰く「お客さんを盛り上げよう盛り上げようとしてやりすぎるのを抑えるのが肝」とのことで。藝の匙加減だなぁ。楽しい40分強を過ごすことが出来ました。
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