姫路城の前で開かれた移動式芝居小屋・平成中村座で「棒しばり」に次いで公演されたのが姫路城を舞台にした泉鏡花の『天守物語』。
富姫という妖かしの姫と鷹匠の男の恋愛譚なのですが、何しろ富姫を演じる七之助の妖艶さといったら!ナウシカ歌舞伎の時のクシャナでもその美には惚れ惚れしましたが、まるで上原光紀アナのような美人っぷりを発揮して、何ともたおやかで。
そして妖怪たちの宴で披露された長舌姥の舌が伸びる演出が面白くて!これ、どうやってるんだろう?空気を吹き込んで伸ばしているのか、それとも機械的なギミックなのか。文楽「菅原伝授手習鑑」の火花の演出もそうですが、こうした物理的な非現実的演出はCG全盛の今とても刺激的に感じます。
また獅子の演出も好くて。今回演出は玉三郎さんで、七之助さんいわくライティングからなにからズバっズバっとディレクションしていくのが神業だったとのこと。音楽もテルミンみたいな初期電子音楽で妖しみを演出していたし、素晴らしかったです。
そして何より最後、舞台の〆で芝居の奥の壁が開き、姫路城天守がみえる演出が凄い!今まで見ていた舞台の舞台が眼前に現れるという。これはほんと、ここで観た人は感動だったろうなぁ。こいつぁ最高ですね!