人気ブログランキング | 話題のタグを見る

歌舞伎「伊賀越道中双六~沼津」の所作と演技の権現に惚れ惚れ

歌舞伎「伊賀越道中双六~沼津」の所作と演技の権現に惚れ惚れ_c0002171_14195548.jpg
四国こんぴら歌舞伎で1987年に行われた 平作:十七代目中村勘三郎、十兵衛:二代目松本白鸚、お米:澤村藤十郎の出演での「伊賀越道中双六~沼津」がNHKBSPプレミアムステージで放送されて。

偶然に出会った旅人と荷担ぎの老人が、仲良く道連れになった。旅人は老人の娘に惚れて求婚するが、実は老人と旅人は生き別れた父と子と気づく。だが二人は仇討ち騒動の敵同士にそれぞれ深い義理がある身の上だった…というなかなかに波乱万丈な粗筋の舞台で。

今回の歌舞伎はまぁちょっと初心者なもので台詞が聴きとりきれなかったのもあり、半ば洋楽とかバレエをみるように感覚的に観て。

17代中村勘三郎の平作老人の、のっそりひょこっとした足運びにまず”これ狙って演じていたら凄いな”と感じて、さらに舞台中盤での澤村藤十郎演ずるお米の舞いのシークエンスが美しすぎて。歌舞伎は舞踊としても楽しめるのだなと。さらに平作も伴奏に合わせての所作がカチっと決まって。この歌舞伎のバックの謡い、フラメンコのカンタにも似た一種のコブシのようなパッションに満ちているなと。

さらに舞台のクライマックスでの二代松本白鸚が演ずる十兵衛が感極まる場面の、感情表現の凄さ、それを受けた上での平作の表情!もう人間業というよりもまるで漫画家が漫画のキャラに名演を描かせたような究極の演技というか。元々歌舞伎とかは実写版浮世絵だなと想っていたのですが、このカリカチュアな演劇が日本の古来から通じてきた演技の本流なのかもなと感じました。いやぁ面白かった。

個人的にも沼津は最近も『松籟の祀り 燦々ぬまづ踊りのテーマ』を聴くために訪れたりしたところで、芸能を通じて土地を重層的に感じられるのは嬉しいですね。




by wavesll | 2023-07-15 14:16 | 舞台 | Comments(0)
<< 歌舞伎十八番「勧進帳」キラーな... MIGHTY CROWN 「小... >>