飢餓海峡 予告編
『飢餓海峡』をみました。
昭和22年9月20日。十号台風の最中に北海道岩内で凶悪事件が発生。質店の一家三人が惨殺され、犯人は放火後姿をくらましたのだ。そして折からの台風のため嵐となった海で青函連絡船沈没の惨事が起きた。嵐の海は巨体をのみ船客532名の生命を奪った。死体収容にあたった函館警察の弓坂刑事は、引き取り手もなく船客名簿にもない二つの死体に疑惑を感じたことから質店一家殺しの犯人の糸口を掴む。逃亡中の男・犬飼は一夜を共にした娼婦・八重に、何も語らずに金を渡し去った。犬飼へ愛を抱き、唯一心の支えとひたすらに生きてゆく八重。それから10年後、皮肉な運命の歯車は回り始めた。一途な女の愛の執念は、愛する男を新たなる犯罪の渦中へと引きずり込んでゆくのだった...。という筋書き。
この映画の最大の美点はヒロイン鈴木八重の純朴の究極のような情愛。青森弁が極まったような序盤のシーンの女の情愛っぷりからその一途に思い続ける様がこの映画をぐいぐいと引っ張って行って。この左幸子演ずる八重のおかげで前半が全く飽きることがなく物語を津軽海峡から東京、舞鶴へと展開させて。
そして後半に浮かび上がるのが三國連太郎演じる逃亡犯、犬養。犬養は舞鶴で樽見京一郎と名乗り事業家・篤志家として名をはせていたが、八重が訪ねてくることで過去の犯罪が刑事たちに暴かれて行って。この過去の恥部を隠し別人に背乗りし現在は立派な人物になっているが過去を知る人が訪ねて破綻し…という展開は『砂の器』を思わせますが、『飢餓海峡』はこの八重の描写のいきいきと切実な人生模様と、この後に人を喰ったように三國連太郎が見せるヒールの論理展開で一味違うところをみせます。
ラスト、こうなるかぁという感じですが、最後まで手に汗握る展開で楽しめました。またソラリゼーションといわれるネガポジ反転したかのような画のカットも面白かったです。