「東映」とアマプラで検索すると出てくる映画たちの中でこの「無宿」シリーズとも言える謎の映画が数本あって。で、みてみたのですがこれがまた怪作でw
『アマゾン無宿』の方のあらすじは
ラスベガス、シカゴ、ニューヨーク、パリ、ロンドン・・・。今や不況のどん底へ追いやられた世界中の賭博場。そこの賭博師達が次に眼をつけたのは、日本だった。ニューヨークからは、国定忠治の流れを汲むというゴールドラッシュの熊吉が、パリからは、マルセーユ生まれの三代目混血児スペードのジャックが、そしてカイロからも中国からも、本屋敷の経営する国際ホテル地下の秘密賭博場へ繰り込んだ。さらに、期せずして、横浜港にアマゾン無宿の源次が降り立った。ある日の賭博場で、熊吉がイカサマをやったのが発端となり、源次と熊吉が対立。そこに一枚加わったのはジャックだ。源次は、いきなりポケットから二挺拳銃を引き抜いた。
「ヒマラヤ無宿」の方のあらすじは
ヒマラヤで探検隊が次々に襲撃されるという事件が起きていた。おりしも空前の雪男ブームの中、襲ってきた怪物こそが雪男に違いないと世間は騒ぎ始めた。ラスベガスでもどこの国が雪男を捕まえるかという賭けが始まるほど。その後、日本のヒマラヤ探検隊が雪男を捕まえたというニュースが飛び込んできた。隊長の土門健吉博士率いる探検隊が空港に降り立ち、野次馬と、そしてなぜか雪男の命を狙う大竹社長なる男と子分たちが待ち構える中、博士とともに現れたのは…チンパンジー。だがこれは土門がブームでパニックになることを避けるために使ったトリックだった。
とマジ謎じゃないですかw?この映画w
昭和21年(1946年)、日本を占領中の連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は、日本刀を振り回す剣劇(チャンバラ時代劇)は軍国主義を煽り立てる危険があり好ましくないので禁止するとの通達を出した。以後、連合軍(事実上はアメリカ軍)の占領中は剣劇が製作できないことになり、時代劇製作が中心であった京都映画界は大いに動揺し、対応策を迫られた。大映の時代劇脚本家である比佐芳武は、時代劇の大スター片岡千恵蔵のために現代劇を書くように指示され、試行錯誤と苦心の末に名探偵「多羅尾伴内」を主人公とする『七つの顔』の脚本を書き上げた。時代劇のチャンバラは拳銃による銃撃戦に置き換えられた。
という流れの中でつくられた片岡千恵蔵の現代劇モノとしての多羅尾伴内とは別の味をもったシリーズなのですが、何しろそのワル乗りぶりがかなりイカレたものでw
『アマゾン無宿』の方では日本の賭場を支配しようとする海外のシンジケートの陰謀を背景にした物語なのですが、片岡千恵蔵が水色のデカイマリアッチみたいなハットを被った中南米な出で立ちで出てきて、なんでもブラジルで百姓をやっていて日本に帰ってきたギャンブラー「アマゾン無宿」の源次という役どころwブラジルなのにメキシカンwここだけでも相当にカオスなのですが、
『旗本退屈男』や
『危うし!!快傑黒頭巾』で小憎たらしい敵役を演じた進藤映太郎がニューヨーク帰りだけどカタカナ英語なゴールドラッシュの熊吉というギャンブラーを演じ、あとフランス帰りのギャンブラーも出てきて、奇天烈なギャンブラー3人組がこの陰謀にユーモラスに関わって行って。
片岡千恵蔵はなんか時代劇な風味のある口調で怪しいギャンブラーっぷり兼ガンマン振りを披露するは流しで歌ったりもするは、敵が支配するヤクザは謎の宗教教団を組織してるはヒロインが発狂して精神病院にぶちこまれて精神病院で「発狂おまつり」が開かれて騒ぎ倒すとか、イマの倫理規定ではこれはもうお蔵入りにするしかない展開w片岡千恵蔵も発狂(したふり)w当時だってこんなの相当にクレイジーな脚本だろwさらには「大木牧場」での決斗シーンがあったり、全体的にワル乗りが過ぎるw
これをさらにワル乗り度を増したのが「ヒマラヤ無宿」。
こちらも片岡千恵蔵が主演なのですが、「アマゾン無宿」との世界線は繋がっているわけではなく、今回の千恵蔵の役どころはヒマラヤ探検で雪男を連れ帰ったというヒゲモジャの土門博士役。これでホントに雪男が出てくるのですが、それとは別に映画内の世間が雪男ブームで開催される「雪男メンズコンテスト」に土門自身が参加してギャランドゥで勝負したり、もうアホアホなコメディがかっとんだ展開でw”なんなんだこの映画は”となっていると最後にこの雪男騒動の裏に隠された陰謀が明かされて…という話で。
まぁとにもかくにもワケワカメなナンセンスになりかけるくらいのギャグ映画でありながら、最後は主人公役の片岡千恵蔵が物語を快刀乱麻に解決する物語がイマの感覚で観ると逆にこのお笑いセンスは時代にあった感もあったりwまぁ細かいことはどうでもいいw単純にこのハチャメチャっぷりを愉しんでたら終わっていく楽しい映画でしたw